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エッジワース伯妃はキエンク公爵夫人の言葉を繰り返し思い出していた。貴方にもあんなパーティーが必要、とは?
自分が寂しさから軽々しく他の誰かを欲するような女だと思われているのだろうか。
まさか、キエンク公爵夫人だけでなく、周りからもそういった目で見られていたのだろうか?
いや、むしろ私に対する憐れみは恋の一つくらいしても良いという寛容さにまで達してしまったのだろうか。
そう考えると羞恥で顔が赤らんだ。本音を言えば、寂しさが完全に消えたわけではない。最近はイザベラの仕事を手伝うことで、夫のことを考える時間は前より減ってはいたが、それでもふとしたときの虚しさが突然襲ってくる。
別荘で彼に身を任せなくて良かったと彼女は痛感していた。なぜなら、そうしてしまうことで忘れ難い思い出を増やすことになるからだ。
夫婦であればそれが普通なのに、そうすると辛くなるから拒否しただなんて、確かに憐れみを持たれても仕方ないかもしれない。
それは誰にも言っていなかったが、察せられても仕方がない。別荘から帰って一度も夜を共にしていないのだから、関係の修復がされていないのは明白だ。そもそも、自分たちの間には修復するほどの繋がりも無いのだから。
しかし、その時嫌な予感に胸を締め付けられた。夫が、クロエルドが、別荘でも妻と寝なかったと吹聴していたら?あの女にそれを言ってなだめていたら?
部屋に乗り込んで問い詰めてやろうか。エッジワース伯妃は自分が抑えきれなくなるのを感じた。あの女の前で、泣いて罵ってやろうか、それくらいは許されるのではないか?いや、そんなことをすれば、それこそあの女の思う壺だ。
自分の夫に対しての執着を認めることになるではないか。それに、今度こそ夫を無視すると誓ったはずだ。メイディ・ロッド、お前は何度誓いを破れば気が済むのか?前に踏み出すことを決め、実際に今、拠り所を見つけたではないか。
そう自分に言い聞かせて、彼女は額に手を当てながらゆっくりと息を吐いた。




