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ストラップ/おやすみ

今回は話が二つ入っています。

 *****ストラップ*****



「裁縫なら出来るよ!私、女の子だもん!」


「なら、裁縫でストラップとか作ってみたら」


「あ、それいいね!」


 と、いうことで、フェルトと綿でストラップを作ることになった。俺も一応作ることに。

 天海はうさぎを作るらしい。天海の提案で、俺は羊を作ることになった。


「出来上がったら見せ合いっこしようね」


「ああ、そうだな」


 そう言ったきり、俺達は喋らなくなった。


 羊、羊か。イメージはまぁ大体出来てるかな。でも絶対うさぎの方が簡単だよなぁ。羊も可愛いんだけどさ。


 俺はとりあえず縫っていくことにした。隣で天海が苦戦しているのが目に入ったけど、さすがに裁縫で手を出すのはダメだと思い、気にしないようにした。自分のだけに集中しよう。


「……あっ!」


 突然、天海が叫んだ。


「何、失敗したの?」


「あ、うん……。縫ってたら布がくしゃくしゃになっちゃったの」


「あー、俺も昔よくやったな。ちょっと縫ったら伸ばすんだ。そうしないと今みたいになっちゃうから」


「うん。忘れてた。やり直してみる」


「おう、頑張れ」


「……やっぱりお母さんみたいだね」


「せめてお父さんでお願いします」


 ―――――――――――――――――――――――


 数十分後。


「出来たーーーっ!!」


「良かったね」


「うん!見せ合いっこしよう、見せ合いっこ!」


「はいはい」


 俺達は同時に床に置いた。俺は羊を、天海はうさぎ……だよなこれ?


「わっ、まーくんの可愛いね!でも私、今回のは結構自信あるんだよ!」


「そ、そうか……」


 これうさぎなのか……?


 何か目の大きさ違うし、耳の長さも違うんだけど。耳の先とんがっちゃってるし。頭と体の色違うし……赤と紫だし……。


「どう、可愛いでしょ?この耳とか目とか!今回は上手くできたんだー!」


「そ、そうなのか。良かったな」


「……何か言いたいことあるなら言っても良いんだよ?そんな気遣わなくても……」


「えっでも……天海が傷つくと思うし」


「大丈夫だよ~。ほら、言ってまーくん!」


「えっとじゃあ……まず、何で頭と体の色が違うんだ?」


「えっ、可愛いかなって思って」


「……次に、目の大きさ違うし」


「そ、そうかな?これでもましな方なんだけど」


 ましな方!?いつもどれだけ違う大きさなんだ!?


「……え、えっと、耳の長さが違ってて、先がとんがってるけど……」


「えへへ、耳の長さはちょっと失敗しちゃって……。とんがってるのは仕様だよ。可愛いと思うんだけど……」


「そうか……ならいい」


 天海にとってこれは可愛いんだな。人によって価値観は違うし、俺があれこれ言うもんじゃないな。あ、もしかしたら、天海はあいつと気が合うんじゃ……。


「か、可愛くないかな?もしかして私、裁縫も下手なのかなぁ……」


「えっ、いや、下手じゃないよ。個性的なデザインをしてるだけで……」


「こ、これ、出来るだけシンプルに作ったつもりなんだけど……」


「……ごめん」


 これでシンプルか……。自分流に作ったらどうなるんだろう。さらにホラーっぽくなるのか?それ、子供泣くレベルじゃないか?


「まーくんは女子力高くていいね……。私には一体何が出来るんだろう……」


「だ、大丈夫だって!料理と裁縫が全てじゃないだろ!ほら、掃除とかさ!」


「あっ!私、掃除は好きだよ!」


「おお!それだ!」


「よーし!これからは私、掃除に命を賭けるね!」


「いや、命は賭けなくていい」


「うん……だよね……」


「とりあえず、天海はこれから料理を練習しよう。カレーくらいは作れるようにしないとな」


「えっ!まーくんが教えてくれるの?」


「他に誰がいるんだ」


「やったー!楽しみー!」


 そう言って、天海は元気よくバンザイをした。



 *****おやすみ*****



「……まーくん」


「Zzz……」


「……寝ちゃったの?」


「Zzz……」


「……今日はいろいろとありがとう。……それだけ」


「Zzz……」


「……おやすみなさい」


「Zzz……」


「……Zzz……」


「……」


 数分が経って、天海は完全に寝てしまった。


 はぁ、寝てるわけねーだろ。布団に入ってまだ数秒だったのに。やっぱりあれだな、天海はストーカーじゃなかったら普通に可愛いな。悪い奴じゃないし。でも一緒に暮らすのかぁ……。大丈夫かなこの先。俺、いつも他校の友達と遊ぶからなぁ。火・水・木・金・土とバイトだしなぁ。一緒にいられる時間は結構少ないと思うんだよな。それでもいいんなら俺は別に構わねぇけど。……天海次第かな。


 俺は天海の顔を覗き込んでみた。


 何事もなかったかのように眠っている。あの時、もしかしたら天海は自殺しようとしてたのかもしれない。俺はまだ天海のことを何も知らないから、もしかしたら知らないうちに天海を傷つけてしまうこともあるかもしれない。それでも天海は……許してくれるだろうか。


「……」


「Zzz……」


「……おやすみ、天海」


「……むにゃむにゃ、まーくんダメだよぉ、そんなことしちゃ……」


「……」


「Zzz……」


「……寝言か」


 俺ももう寝よう。おやすみ、天海。


 そうして、二人暮らしの一日目は終わっていったのだった。

裁縫のとき伸ばさずに縫ってて、よく布がくしゃくしゃになったよね。

あるある。



天海が全然ヤンデレっぽくないですね。学校に行きだしたら、多分まだヤンデレっぽくなれると思います。

なので、ヤンデレを期待されている方はもうしばらくお待ち下さい。


ヤンデレ難しい……。

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