3 お見合いの日と、愛がなくて消えたこども
昔、トラウマの被害に悩んでいた時に書いた処女小説があった。
記憶をなくした女の子が、無理やり狂った愛する博士に
「たくさんの男とヤってこい(この場合のヤるは殺る)」と命令され、博士のために兵器になってしまうという話だった。
女の子は元々、家族に愛されていた。何も困っていなかった。
だが彼女は完全に壊されて、蘇った時に兵器になっていて、自分と同じ目線で話せる少年と出会い、その少年と純粋な恋をするのだった。
純粋な恋だけが特効薬って答えが出ているじゃん。
なのに、どうして兵器コースを用意したんだろう。
たった一人に好かれたいと思うのは普通だと思う。その人に守られたいと思うのは普通だと思う。
貸し出されるようなのは愛情じゃない。
どうせ眠らされて勝手に好き放題されるんでも、たった一人の好きな人ならよかった。
後で聞いた話では、 もし私がその場に行っていたら「ワンストップ結婚」コースだったらしい。
でも、無理やりとはいえ他の人に勝手に汚された体で、これから結婚を誓う人には会いにいくのはためらわれたから。
どうして、一人の人に愛された体で、結婚する人に会わせてくれなかったのだろう?
その夜、彼が部屋に来た。 おそらく、結婚予定だった人。
小さく「あぁ……」と嘆息しながら、
中絶させる薬を私に飲ませた。
翌朝、私の子供は消えていた。
私はその人の子供が欲しかった。産むつもりだった。
たった1日でも私を信じて「預けて」くれなかったんだなあって思って、ただ泣いた。
この人は、私を支配するためにいうことを聞かないと中絶させる薬を使ってきていた。
私はもう二度とその喪失をしたくなかったのに、愛されてないからこんな目に遭うのだ、と自分を責めた。
ーーだって、愛がある環境なら、子供は守られるでしょう?
相手は私がトラウマで性行為に苦しみがないようにと安易に考えたようだが、そんなことより体の関係がなくても、たった一人自分を対等に見てくれる存在と恋をする方がよほど特効薬なのだ。
チームにはおそらく医学者も含まれていたが、全くもって見当違いの方向の演出で、夢のRTA妊娠ワンストップ結婚は壊されてしまった。
結局、他人に貸し出された経験と、愛されていないという事実が、 新しいトラウマとして積み重なった。
彼らは「トラウマ治療のため」と言い訳をしたが。
私はその中の誰と結婚させられるのかもわからなかったが、ちゃんと起きている間に信頼できる人間関係があるたった一人に愛されることだけが特効薬だ。
どうしてこんなことを考えた人がいたのか、と思えば、見当違いの演出か、まあいじめの延長なんだろうなとしか思わなくなった。
誰かがスライドでその結婚を乗っ取ったらしく、私の代わりに別の女性がその筋肉質の男性とスピード婚したと聞いた。
その瞬間、全てがどうでもよくなった。
私はその筋肉の人と結婚がしたくて拷問のような環境に耐えていたのに、じゃあどうしたらその人と結婚できたのですか? と。
その人たちは同僚として男性たちに接する環境があったらしいけど、私はなかった。つまりこちら側から人間関係を作ってもらうことが一切できない。
顔も見えない状態で、どうしたらよかったのか。
私は結婚するために拷問のような環境に耐えていた。
相手はもしかしたら単純にしたくなかったのかもしれなくて、これほど逃げ道を用意していたのかもしれない。
でもそれなら、妻になれないのなら、そもそも前提として、こんな関係は望んでいない。
仮初お飾り期間限定妻でもなんでも、事前通達があれば理解したことである。
どうしてわざわざ人が行けなくなる状況を作り出すのか意味がわからなかった。
ただ、たった一人に、対等に、誠実に愛されたいだけだった。
私は彼と結婚するために、拷問のような日々に耐えていた。
なのに、なぜ私はその人と出会う機会すら与えられなかったのか。
顔もよく見えないまま、
人間関係を築くチャンスすら与えられず、
ただ「実験台」にされただけだった。
ねえ、どうして私は、一人に愛されないのだろう。
純粋な恋だけが、私にとっての本当の特効薬だったのに。
私はただ、
一人の人に守られ、
一人の人にだけ体を預け、
一人の人にだけ「愛してる」と言われたかった。




