騒動の後
「姐さ~ん、ホントに行っちまうのかよ」
月夜にすがり付くようにメイレンが言うのに、
「うん」
月夜は良い笑顔であっさりと頷く。
「だってメイレン、一緒にいても反応薄いからつまらないんだもん
まだバセットの方がぎゃーぎゃー騒ぐから面白い」
「おい」
勝手なことを言う月夜に突っ込むと、メイレンの隣にいたアスラとシオンが前に出てきて、
「今回は本当にありがとう」
『ありがとうでした』
シオンが前足を差し出して来たので、とりあえず握る。シオンは繋いだ前足を上下にぶんぶん振った。毛と肉球がふかふかしててちょっと気持ちいい。でもこれは、握手、なんだろうか?
「じゃあ、俺たちはこれで」
「またね」
俺と月夜が別れの挨拶をすると、
「姐さん、いつでも待ってるからな」
「他の女神に会うことがあったらよろしく~」
『お元気で』
俺たちは手を振ると、三人?に背を向けて歩きだした。
「で、どうよ?」
しばらく歩くと月夜がそう声をかけてきた。
「どう、って、何が?」
「魔物に知り合いが出来たこと」
確かに、知り合いと言えば知り合いか。
あの三人?は、これから先も、一応俺のことを気にかけてくれるだろうし···。
合成獣になってから、知り合いや友達なんてもう二度と出来ることないと思ってたけど─。
「まあ、悪くない、かな」