バセットの最近の日常
久しぶりの投稿です。
まあ、作者の場合、時間がかかったからクオリティが上がるかというと全くそんなことはないんですけども。
今日は天気が良い。風も涼しいし、洗濯物を干せばよく乾くだろう。
とにかく今日は、すごく気持ちの良い日だった。
「兄ちゃん、金目のもん置いてきな」
こんな連中さえ現れなければ。
山賊って初めて見たけど、結構イメージ通りだな。人相が悪い男が三人。それぞれ短剣をちらつかせてくる。
「金目のもんがなきゃあ、代わりに後ろのお嬢ちゃんでも置いてってくれりゃあ良いんだぜ?」
下卑た笑いとその言葉に、腹が立った。
俺の後ろには、黒いワンピースを着た十二、三歳の美少女─同行者の月夜がいる。
正直この男たちに月夜をどうこう出来るとは全く思えないが、それでも、気分が良いわけがない。
俺は、月夜を自分の後ろに隠しながらその手を引いて、近くにあった熊ぐらいの大きさの岩に向かって歩き出す。月夜は珍しいことにおとなしく無言でついてきた。
「逃げられると思ってんのか?」
男たちがげらげら笑ってるが、無視する。
そして、なるべくそっと岩を殴り付けた。
ばがんっと岩が真っ二つに割れる。もっと思いっきりやれば粉々にも出来るんだろうけど、これで十分。
男たちの笑い声が止まった。
俺は男たちの方を振り返りながら、
「えーっと、怪我したくなかったら···」
男たちは、俺が言い終わる前にさっさと逃げていった。
「つまんないの」
今まで黙っていた月夜が口を開く。
「どうせ脅すなら、一人の頭引っ付かんで潰してから、『次はてめえらの番だ』ぐらい言ってやれば良かったのに」
「やりたかねぇよ、んなこと」
なんだその猟奇的な発想は。
だが、人間と感覚が違うのは仕方ないのかもしれない。
俺としてはまだ半信半疑なんだが、月夜は自分のことをサキュバス─つまり魔物だと言っている。
そんな馬鹿なと言いたいが、実際にこいつが魔法みたいなの使ってるのを見たことがあるので一概に嘘とも言えない。
「ほら、証拠隠滅にちょうどいい川もそこにあるし」
行って月夜はすぐそばを流れる川を指す。
「何をどうやって隠滅させる気だ···?」
そのとき、水面が突然泡立ち出した。
と、思ったら、
ざばばばばばばっ
いきなり川の中から何かが飛び出してきた。