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第11話 転移者は王都へ


 橘莉紗は、馬車の窓から流れる景色を眺めていた。揺れの激しい馬車の旅は、自動車の快適さとは比べるべくもないが、徒歩よりはましだと思い我慢した。


 王都に向かうこの2日間、2台の馬車とそれを護衛する騎馬兵の集団は、2度、街道沿いの村だと思われる周囲を簡易な柵で囲まれた家屋の密集したところを通った。だが、そこにはなぜか一人の人影もなかった。


 都会育ちの莉紗にとって、村を通り抜ける際に見た茅葺や藁葺の屋根を乗せた、土壁の素朴な住宅の連なりは大変珍しく、異世界に来たのだという感慨を強くさせた。だからこそ、そこに人影が全く無いのがとても奇異に感じられた。それは転移者の誰もが同じだったようで、真崎葵が、同じ馬車に乗っているサーゲイル・ロードにこの疑問をぶつけた。


「実は、この辺りで少し前に大変厄介な流行り病が広がりまして、ここの住民は大半が亡くなるか、それとも病を避けて他所へと移り住んだのです。——いや、ご心配なく。今はその流行り病も治まっていますので」

「そうだったんですか。僕はてっきり、どこかに消えちゃったのかと思って」


 真崎は冗談ぽく言ったが、ムッとするサーゲイルの顔を見て、


「ごめんなさい。何か悪いこと言ったみたいで、悪気はないんです」


と、慌てて謝罪する。一方サーゲイルは、「いいんですよ」と笑みを見せて、後は黙り込んでしまった。


 そんなことがあって、次の日の昼、馬車に揺られること3日にして、一行はようやく王都に入城した。


 王都ヴォルビリスは、このイドリース王国で最大の都市で、人口30万を誇る。二重の城壁に守られ、中央に王宮を構える。城門は東西と南の3つ、それぞれ王都を中心に街道が敷かれている。東の街道より進んだ一行は、東門から王都に入ったが、王都の東側は商人街が広がり、大小の商店が立ち並んで活気に溢れていた。


「これだよ!ファンタジーの世界はさ、これなんだよ!よ~し、無双するぞ!」

「葵、あんた調子に乗りすぎよ」

「そうだぞ、アオイ、後衛のお前のお守りが俺の役目のようだからな」

「アダムさん、ファンさん、僕は調子に乗ってるんじゃなくて、やる気が漲ってるんですよ!」


 旅の中ですっかり打ち解けた転移者たちを見ながら、莉紗は複雑だった。みんなが感じているだろうハリウッドのファンタジー映画の中に迷い込んだような興奮も分かる。でも、あの神谷という青年を一人残してきたのに、誰もそのことを気にする様子がない。冷たいと思うのだ。また、この王都の活気には、サーゲイルの言う邪神の脅威などまるで感じられない。一体、何が本当なのか・・・・。


 莉紗の気持ちを他所に、一行は用意された宿舎に入り、旅の疲れを癒すことになった。明日の国王への謁見に備え、入浴も準備された。これには、6名全員が喜んだ。

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