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 「カーレット侯爵令嬢は、月の乙女の私物をたびたび破壊した。それだけでも悪役令嬢として断罪する理由として十分だ」

 「その現場を目撃した人がいるのですか?」

 「君の姉は狡猾だから、見られないようにしていたのだよ。だが証拠ならある。月の乙女の自室があらされたさいに落ちていたハンカチだ。犯人が犯行現場で落としたのだろう。このハンカチを見たまえ。ドクロのマークが描かれている。まさしく、君の姉が選びそうなダサいハンカチじゃないか」

 「王子は、このドクロのハンカチが姉のハンカチだと言いたいわけですね?」

 「そうだ。ダサいハンカチだろう」

 「残念ながら、このハンカチをわざと残して、姉を犯人に仕立て上げようとした人は、姉のダサさをなめてますよ。姉のダサさは次元が違います。このドクロのハンカチはセンスがいいんです」

 「センスのいいドクロのハンカチなんかない」

 「では、実際に姉のハンカチを持ってきました。どうぞ、手に取ってください」

 「うおっ」

 「ちゃんと手に取って見てください」

 「これ毒があるだろ」

 「それっぽい色がついているだけです。さあ、手に取ってください」

 「いやだ。触りたくない」

 「では、裁判長」

 「断る!」

 「何故ですか。色のセンスが悪いだけのハンカチですよ」

 「限度があるだろう。触ったら呪われるぞ」

 よし、裁判長をしている学級長もあとで殴る。

 「では、陪審員のみなさん」

 一斉に首を横に振る陪審員達。

 こいつらも殴る。

 「私の姉はダサいレベルが違うのです。クソダサいのです。こんなセンスのいいドクロのハンカチを持っているはずがない」

 妹のエルルは念入りに殴る。


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