僕の彼女
彼女が好きだったらお菓子を作るために買い物をした帰り道、近所の子供達に絡まれた。
「お兄ちゃんあそぼー」
「また今度なー」
適当にあしらった後、子供たちは僕の袋の中を覗こう言った。
「お菓子だ!お菓子作るの? ぼくの家も今日お母さんがおやつ作ってくれるんだ」
「おぉ、いいじゃん」
「お兄ちゃんは誰と作るの?」
「彼女と一緒に作るよ」
僕はなるべく笑顔のままそう答えた。
そんな話をしているうちに家に着いてしまった。
「じゃあねお兄ちゃん!」
「またなー」
家に入って靴をしまうために左に置いてある靴箱を見た。
僕は止まった。
靴箱の上の鏡に、僕が昔彼女にプレゼントした上着を着た人かげがあった。
彼女だった。
僕は泣きながら横にいるであろう彼女に腕を広げてハグをした。
「ただいま」
返事ない。けどそれでいい。
そのままお菓子を作り、2つのお皿に分けて食べた。
「美味しいね」
返事はない。
そのまま特にやることもなくひたすらぼーっとした後、寝ることにした。
僕はLINEを開き、彼女におやすみと送った。
一年前から既読はつかない。
今日は彼女の命日だ。