初めて飼った猫を拾ったのは夏祭りの帰り道でした
小5、友達と一緒の夏祭り。
広島焼き食べて、リンゴ飴食べて、クジ引いてーー当たったのはプラスチックのヨーヨー。
作りが悪くて、友達と別れた後の帰り道で壊れちゃった。
糸が切れて、その先が茂みの方へ転がっていったら、三毛猫が出てきたんだ。
三毛はヨーヨーにじゃれついて、最初は自分で転がして遊んでたけど、暫くすると動かなくなったそれを不思議そうな顔で見ていたんだ。
僕が転がしてやると、お尻をフリフリ、飛びかかっていった。
三毛が家までついて来ちゃったから、駄々を捏ねて飼うのを許してもらったっけ。
名前はミーくん。
ミーくんはボールが大好き。
ひとりでもボールで遊んでたし、ボールを抱いて寝てることもあった。
元々野良だったせいか、時々窓をカリカリして、家族の誰かに窓を開けてもらってパトロールへ出ていった。
中3の春。
パトロールに出かけたミーくんは二度と戻らなかった。
事故かもしれないし、オスだったから新しい縄張りを見つけたのかもしれない。
ただ、元気でいてくれたら良いな。
次に猫を飼ったのは28の時でした。
お嫁さんが出来て、娘が生まれた年。
奥さんが猫と一緒に娘を育てたいと言ったので探しました。
見つかりました。
偶然、友人が仔猫の貰い手を探していたのです。
アイちゃんは、オッドアイの白猫でした。
娘ととっても仲良しで、いつも一緒で離れません。
世話は私と奥さんでしてるのに、娘が学校から帰ってくると、飛んで出迎えに行くのです。
娘が大学受験の頃には随分とお婆ちゃんになっていて、お気に入りのクッションからほとんど動かなくなりました。
県外の大学に合格し、娘が一人暮らしを始めてすぐにアイちゃんは天国へ旅立ちました。
娘はその知らせを聞いて、人生で一番泣いたそうです。
ワシが最後に猫を迎え入れたのは、婆さんを亡くした翌年じゃった。
最後まで面倒みれるか不安じゃったが、もしもの時は娘が引き取ると言ってくれたので、飼うことにしたんじゃ。
アイツのお陰で孫もいっぱい遊びに来てくれたっけのぉ。
元気を沢山貰ったから、アイツの最後まで頑張れたんじゃ。
娘や孫に看取られて、ワシもすぐに逝ったがのぉ。
***
転生したら猫。
ミーくんと同じオスの三毛。
これも偶然であろうか、拾われたのは夏祭りの日。
我が輩は安全な家から絶対に出ない。
20年は生きるつもりである。
なんなら嫁に行くまで頑張ってやるから、初めて飼う我が輩をせいぜい大切にしてくれるがよい。
娘っこ。