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なろうラジオ大賞4 投稿作品

初めて飼った猫を拾ったのは夏祭りの帰り道でした

 小5、友達と一緒の夏祭り。

 広島焼き食べて、リンゴ飴食べて、クジ引いてーー当たったのはプラスチックのヨーヨー。

 作りが悪くて、友達と別れた後の帰り道で壊れちゃった。

 糸が切れて、その先が茂みの方へ転がっていったら、三毛猫が出てきたんだ。

 三毛はヨーヨーにじゃれついて、最初は自分で転がして遊んでたけど、暫くすると動かなくなったそれを不思議そうな顔で見ていたんだ。

 僕が転がしてやると、お尻をフリフリ、飛びかかっていった。

 三毛が家までついて来ちゃったから、駄々を()ねて飼うのを許してもらったっけ。

 名前はミーくん。

 ミーくんはボールが大好き。

 ひとりでもボールで遊んでたし、ボールを抱いて寝てることもあった。

 元々野良だったせいか、時々窓をカリカリして、家族の誰かに窓を開けてもらってパトロールへ出ていった。

 中3の春。

 パトロールに出かけたミーくんは二度と戻らなかった。

 事故かもしれないし、オスだったから新しい縄張りを見つけたのかもしれない。

 ただ、元気でいてくれたら良いな。



 次に猫を飼ったのは28の時でした。

 お嫁さんが出来て、娘が生まれた年。

 奥さんが猫と一緒に娘を育てたいと言ったので探しました。

 見つかりました。

 偶然、友人が仔猫の貰い手を探していたのです。

 アイちゃんは、オッドアイの白猫でした。

 娘ととっても仲良しで、いつも一緒で離れません。

 世話は私と奥さんでしてるのに、娘が学校から帰ってくると、飛んで出迎えに行くのです。

 娘が大学受験の頃には随分とお婆ちゃんになっていて、お気に入りのクッションからほとんど動かなくなりました。

 県外の大学に合格し、娘が一人暮らしを始めてすぐにアイちゃんは天国へ旅立ちました。

 娘はその知らせを聞いて、人生で一番泣いたそうです。



 ワシが最後に猫を迎え入れたのは、婆さんを亡くした翌年じゃった。

 最後まで面倒みれるか不安じゃったが、もしもの時は娘が引き取ると言ってくれたので、飼うことにしたんじゃ。

 アイツのお陰で孫もいっぱい遊びに来てくれたっけのぉ。

 元気を沢山貰ったから、アイツの最後まで頑張れたんじゃ。

 娘や孫に看取られて、ワシもすぐに逝ったがのぉ。



 ***



 転生したら猫。

 ミーくんと同じオスの三毛。

 これも偶然であろうか、拾われたのは夏祭りの日。

 我が輩は安全な家から絶対に出ない。

 20年は生きるつもりである。

 なんなら嫁に行くまで頑張ってやるから、初めて飼う我が輩をせいぜい大切にしてくれるがよい。

 娘っこ。

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― 新着の感想 ―
[良い点] とてもほっこりするキャットニャンドラマですね! 最後はしんみりするのかなあと思っていたら、まさかの展開がーー! 〉我が輩は安全な家から絶対に出ない。   ここの一文がすごくいいですね。 …
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