歯車伯爵
よろしくお願いいたします
歯車伯爵は喫茶店で優雅にあつーい珈琲を飲み干す。
相方のバドーはサンドイッチを食べながらブツクサ言っている。
歯車『食べながらブツクサ言わないでくれたまえ。バドー、確かに仕事はないのは困り者だがね』
バドー『歯車伯爵は仕事いらねーのかよ。お、電話だ。仕事だぜえ!もしもーし、便利屋でーす』
歯車伯爵は珈琲に黒砂糖をふたつまみ入れた。
甘くかぐわしい香りが辺りを包む。
バドー『大変だ伯爵、事件だ。スコットヤード、いや警察がロンドンの路地裏にて惨殺された。死体には〔美しきクリミアの戦慄〕と書かれてあったらしい』
歯車伯爵は珈琲カップを叩き割る。
歯車『ドクタークリミアか。あの女はまだ実験台を探しているのか』
バドー『なに?昔の女、妬けるねえ』
歯車『バドー、私の肉体は9割が義体なのは知っているね』
いわばクリミアに義体の製造を頼んだわけだ。しかも9割の人体手術ができるということはドクタークリミアはかなりの腕前。
もしくは医療技術や改造能力をもった異能力者の確率が高くなる。
俺と伯爵は戦闘向きとは言えない。
もしも改造能力により、肉体を著しく強化させた兵士なんか現れたら即アウトだ。
バドーはタバコをふかしはじめた。
歯車『やめてくれバドー、ここは禁煙席だ』
バドー『固いこと言うなよ伯爵、それよりドクタークリミアの目的はなんだろうな。ていうか実際に手術を受けたあんたならわかるだろ。奴は異能力者か?』
歯車『彼女は確かに異能力者だ。しかし義体の手術や医療技術には、一才、能力を使用しなかったよ。おそらく彼女なりのプライドだろうね』
ありがとうございます