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青年と夜の森
初登校でございます。諸事情により投稿してからも少しずつ改稿があるかもしれませんが……ご了承下さいませ。
「どうしてこうなっちまったんだろうなあ」
空虚な表情を浮かべた青年が一人、鬱蒼と茂る夜の森の中に佇んでいる。
「彼女に振られるわ、保証人になった友人には借金押し付けられるわ……。いや、ほんと最早笑えてくるな」
乾いた笑みを浮かべた青年の視線の先には、太い木の枝から垂れ下がる一本の縄があった。縄の先端は首輪のように輪っかになっており、なんとも言えない不気味な雰囲気を放っている。
「……もう、いい加減疲れた」
青年はぽつりと呟くと、縄に両手を掛け──輪っかに首を通した。
縄の軋む音が鈍く辺りに響いたが、轟々と鳴り響く森の騒めきに掻き消されて、誰の耳にも届く事は無かった。