68 私欲
タクティア・ラティウスというこの男性は、どうやら俺が隊長を務めるこの部隊に配属になるらしい、彼が言うには、色々と引継ぎやら自身の持つ元々の仕事やらで忙しかった。
仕事中、気が付いたら寝てしまっていたようで、起きた時には顔合わせの時間をとっくに過ぎてしまっており全力で走ってきた‥‥と
普通なら遅れたことに対して怒ってやりたいが、階級があからさまに俺よりも上なので怒ることも出来ないし、正直どうしたらいいか分からない、それよりも何で俺よりも階級の高い人が俺の務める隊の隊員になるんだろうか? サッパリ分からない、罰ゲームですか?
「所で何故、俺が隊長になったこの部隊に?」
タクティア・ラティウスは、ニッコリとほほ笑み
「私が志願したからです」
と、言い切った
「はぁ‥‥何故?」
「貴方に興味があるからですよ」
タクティアは嬉しそうにそう言った
あ、この人変な人だ、俺に興味があるから隊員になった‥‥あからさまに俺よりも階級が上の人が‥‥
うん、もう一度よく考えてみたけど、やっぱり変な人だこのタクティア・ラティウス、タクティア‥‥あれ?首相が会えって言った人か、この人だったんだ。
「一応私は参謀なんですが━━」
参謀‥‥何でいるんですかねここに?
参謀は分かりやすく言ってしまうと、作戦を考えたり、こうした方がいいですよ、あーした方がいいですよと、助言を言う人
俺の参謀のイメージと言ったら、アイツ気に食わないから前線に送って殺してしまおうといった悪いイメージしかない、腹黒的な‥‥もちろん漫画に影響されたイメージだけど
「ソルセリー救出の時、先に貴方に先行してもらうという作戦は私が発案したんですよ」
この人か、この人のせいであんなにしんどい思いしたのかよ、思いっきり文句でも言ってやりたい気分だけど、そんな勇気が出ない俺自身が情けない。
「はぁ、そうですか‥‥」
「貴方の事は以前から資料で拝見していましたから、あの時貴方しかいないと思ったんです、大きな賭けでした。私の発案した策は2つとも成功はしませんでしたが、結果的にはソルセリーを救出することが出来ました。なので貴方には感謝しかありません、ありがとうございます」
「・・・・」
タクティア・ラティウスは、自分が発案した作戦が実行された後の事を話してくれた。
2つ目の策は秘密裏に彼自身が裏で実行した事、だがそれも情報が漏れてしまっていた。
その事で情報を漏らしたであろう人物を2人特定出来た事、その後策が破られた事の責任が彼に全てのしかかり、その後は軍に居場所が無かった事、そしてソルセリーの帰還‥‥
先ほどからこの人はやたらとテンションが高い、少し興奮した口調で話をしてくる、さっきまで放置され泣きそうだった俺は、急に湧いて出たようなその高いテンションについて行けず「ええ」とか「はあ」しか言えなかった。
しかし彼は先ほどまで笑顔だった顔を急にやめ、薄笑いの様な顔をした。
何か悪いことを考えている顔だ。
「ベルフ・ラーベがこう言ったんですよ、『まんがと呼ばれる兵法書』とね」
兵法書‥‥確かにベルフには深部を移動中そう言った。
ベルフが言うには、俺は物の考え方や行動が他の人と違うと、その考え方、そして行動の元となる物は何か? と聞かれた。
ちょっとだけ哲学っぽい事を聞いてきたんだけど、俺の場合ほとんどが漫画やゲームの知識で動いている、その中に出てくるテンプレと呼ばれるもの
「娯楽作品の知識を生かしている」とは恥ずかしくてとても言えず
「漫画と呼ばれる兵法書に書かれていた物をいつも参考にしている」
「兵法書‥‥なるほど、ハヤトの居たという世界の物か‥‥どうりで考え方が違うはずだ」
ベルフは妙に納得し色々と俺の兵法書(笑)の事を色々と聞いてきた。
話を盛るのが好きな俺は、普段の生活から軍事の事まで万物の事が全て集約されていると話を大きくしてしまった。
若干悪い笑みを浮かべたタクティア・ラティウスは更に話を続ける
「私は貴方の持っている知識や考え方の元になっているその兵法書、それを少しでも吸収したくてこの部隊に志願したんですよ」
「そうですか‥‥」
今更その兵法書はただの娯楽作品、とは言いずらくなる空気になってきた
「その知識や考え方‥‥ベルフ・ラーベに聞いただけでも参考になる事がありました。そして私は思ったんです、その知識を独り占めしたいって」
少しだけ自分に酔っている感じでタクティア・ラティウスは話を続ける
「首相は貴方を手放さないと確信していましたから、首相に有利になるような条件を出し、了承してもらい、軍には私が貴方の監視の意味を込めて、自ら同じ隊に所属すると言って説得し、貴方の隊を作るのに成功したんですよ」
‥‥やっぱり変だわこの人
元々存在しない物を、私欲の為に部隊を一つ作ったって事?
でも、俺も自称空気が読める男、実はそんなのありませんよとは言わない
「なるほど、つまり俺が元居た世界で培った兵法書の知識が欲しいという事ですか」
ここでそんな物は無いと言ってしまったら、参謀の地位を利用して敵軍の真っただ中に突っ込まされそうだから言わないでおく、もちろんこの考え方も兵法書(笑)で得た勝手な知識だけど
「ええ、是非とも」
タクティアがニヤリと笑い、俺もつられてニヤリと笑う
「フッ、フフフ」
「フフ」
「「 フフフフフ 」」
相手が笑ったから俺も一緒に笑ってみた、俺は空気の読める男
『マンガ』と呼ばれる兵法書が今日、正式に誕生することとなった
◇◆◇◆◇
「えい! やぁ!」
雲一つない青空の下、タクティアが振るう刀を俺は腕を組んで見ていた。
「これでも剣技が得意だったんですよ」
と言われ、どのくらいの物か見て見たくなった。
武器や防具、それと魔法の改良などは一人で出来ても、剣技の練習は一人では出来ない、デュラ子にお願いしたら
「こんなまがい物は使いたくありません」
練習用の刀の使用を拒否したので出来なかった。
ずっと相手が欲しかったのでこれ幸いと思っていたのだけど‥‥
「えい! えい! はぁはぁ」
まだ10回ほどしか刀を振るってないのに息切れを起こしているタクティア、腕の力だけで刀を振るえず体全体が動いている、体が前に後ろにと、まるで音楽室にあるメトロノームみたい
「やぁ! やー!」
掛け声がもう‥‥ね、本当に得意だったんですかね?
「あー、もう大丈夫ですよ」
「そ、そうですか、はぁはぁはぁはぁ‥‥、どうですか、中々の物でしょう?」
「えぇ、まぁ‥‥」
中々の素人でしたよ
・・・・
・・・・
現在いる場所は大陸東部、緩衝地帯にある最初のキャンプ地、軍に正式に所属し最初の任務は魔物の間引き、そしてハヤト隊の人員はたった二人、あと数名いるみたいだけど、その人たちは現在所属する部隊の都合上来年からになると言われた。
なのでしばらくの間は俺とタクティア・ラティウスの二人だけになる、剣技が全くのタクティア、他に彼の持つ魔法は『収納』『照明』『重力』『分離』の4つ、明らかに戦闘向きではないレパートリーでよく戦地に行こうと思う、欲に目がくらむと人間は判断力が落ちるんだな~と思った。
俺も気をつけよう
この任務に入る前に心残りが一つあった、例によって喫茶店のオヤスが
「出来ました」
と言って来た、小豆とチョコレートが完成したと、小豆は多分大丈夫だけどチョコレートがこれでいいのか分からないので確認して欲しいと言われた。
ただ、本当に出発直前だったので残念ながら確認が出来なかった。
チョコレートの作り方は禁断の魔法『回想』を使い知ることが出来た。
犠牲にした思い出は、中学1年の時、小さいほうをしようとトイレに入ったら、大事な所に髪の毛が付着していたのでそれを取ろうとした所・・・
「痛っ!」
となった。噂には聞いていたがこれが陰毛という物か‥‥と、自分の部屋でパンツを脱ぎまじまじと見ていたらそこに丁度姉の洋子が‥‥
なお、夕食時に両親にバラされた
「・・・・長、 ハヤト隊長」
なにやら呼ぶ声が聞こえる
「ん? え、何です?」
俺を呼んだのはタクティアだった
「集中している所申し訳ないのですが、その白いのは何でしょうか?」
俺の頭や体に積もっている物を指さす
「これは雪ですね」
「ユキ? ですか」
「ここは常に一定の気温だから雪何か見た事無いと思いますけど、俺の居たところだと1年の内の数カ月は物凄く寒い時期があるんですよ、その時に雨の代わりに空から降ってくる物です」
雪とは言ったが実際は雪を名乗るのもおこがましい代物、正確に言うと溶けかけたかき氷、もっとフワッとした雪を作りたいのだけど調整が中々難しく、降り積もった俺の頭や体はもうびちゃびちゃになっていた。
きっかけはオル&トロスに雪遊びをさせてやろうと考えて始めたがかなり難しく、これが結構細かい魔法の調整やらでいい練習になることが分かり、たまに練習をしている
「冷たいですね、『氷』魔法ですか?」
「使っているのは『氷』と『水』あと若干『重力』ですね」
重力を掛けることで天井を作り、ごく小さな水適を冷やす、これで何とかそれらしい物になる
「へぇ~」
タクティアは俺の頭に乗っている雪をつまみ、指先で溶かしていた
「それで何か用事があって呼んだんですか?」
「はい、準備が全て整いましたので報告に来ました」
タクティアは元々俺がする仕事を引き受けてくれた。物資の調達の手配から報告など、特に報告や日報などは必ず私がしますと言っていた。
この隊で得た情報は一切他には漏らさず、自分だけの物にするためらしい
参謀がそれでいいの? 虚偽の報告とかすると罰則とかあったはずだよ?
「ありがとうございます、では昼から出発しましょうか」
「了解です」
とタクティアは返事を返し俺の居る場所から離れていった
びしょびしょになった鎧や体を『洗浄』でキレイにし、少し冷えた体を太陽で温める、こたつに入っている様なじんわりとした温かさがまた癖になる
離れていくタクティアの後ろ姿を見つつ、軽くため息を吐く
面倒な事になったな~
正直な気持ちだ。
一応形は俺の部下になるけれど階級でいったら明らかに俺よりも上、俺の兄が働いている会社の部署に社長の息子が配属されたと夕食時に言っていた。
「うちの部長も凄くやりにくそうだったよ」
などと言っていたけど、今まさにその状況になっている、これからずっとあの人が飽きて隊から外れるまで接待しなければと考えると頭が痛くなる
それともう一つ面倒なのは、タクティアは何かと話を聞きたがる、主に俺の持つ知識について、正直大した知識などないのだけどタクティア曰く
「何でもいいですよ、私の知識欲が満たされるのなら」
参謀だから三国志とか、日本の戦国時代とかで実際使われた策なんかが喜びそうだけど、昨日はたまたまその時手に持っていた石で
「この石、細かく砕いて行くと、それ以上は絶対に割れないって所があるんですよ」
中学で習う『原子』の触りの部分だけをちょろっと言って見ると、思った以上に食いついてきた。
地球以上に文明が発展しているとは思うけど、色々な物をすっ飛ばして魔法で何でも解決できるので、科学・基礎研究などはからっきしだった。
こんな話でもいいなら、ちょっとずつ小出しにして思いっきり引っ張ろうと思う。
という訳で寝る前に1日1つ、俺の持つ知識を話すことになっていた。
子供を寝かしつける為にお話をしているように感じる‥‥
・・・・
・・・・
昼食を取りキャンプ地から出発することとなり、召喚獣のオル&トロスを先行させ、その後をタクティアと共に進む
「こうして魔物と対峙するような場所は初めてなので、少し緊張しますね」
と言いつつもどことなく嬉しそうなタクティア
なるほど、という事はゴブリンを捕まえて『最初の殺し』をしてもらわないといけないな、てことで、ゴブリンゴブリンっと
・・・・
・・・・
「はぁ はぁ はぁ」
あれから結構歩いたが、見つけようと思うとかえって出てこない、そもそもそう簡単にいる訳でもないが
「はぁ はぁ はぁ」
そしてさっきから後ろが五月蠅い
「大丈夫ですか?」
後ろを振り返り、今にも倒れてしまいそうなタクティアに声を掛ける
「ええ、大丈夫ですよこれくらいは、どおーってこと無いですよ! ははは‥‥」
途中で拾った木の枝を杖代わりにして体を支えてる、ただその枝が意外に太く明らかに重そう、無い方がよさそうだけど‥‥俺の今手にしている地中探知用の杖を貸してあげてもいいんだけど、俺自身この杖を使った『探知』に慣れておきたいので今は貸してあげられない
「この辺りで少し休みましょうか?」
少し可哀そうになってきたので休憩を挟むことにする
「だ、大丈夫ですよ! まだ行けます」
「まだって事は結構今辛いんじゃないですか? 時間的にも余裕がありますから無理をしないで休みましょう、それに完全にへたってしまうと逆に後々大変ですから」
タクティアは申し訳なさそうな顔をして
「そうですか‥‥どうもすみません足手まといになっているようで」
「いえ、この辺りは魔物も極端に少ないですし、どっちかと言うとただの見回りみたいなものですからゆっくりと行きましょう」
ずっと中で仕事をしていたんだ、いきなりこんな事をしたら体が持たないだろう、それは俺自身もよく知っているから仕方ない、休憩を取ることになったのでオル&トロスを呼び戻す
「ありがとうございます、本当は結構辛くて、はは‥‥駄目ですね」
少し落ち込んでいるタクティアが近くの石に腰を下ろした時、先行していたオル&トロスが戻ってきた
「かぁ~、もうへこたれてんのかよ! なっさけない奴だなぁ!」
「あまりご主人の足を引っ張ってもらいたくはありませんね、ダイモみたいな細い体をしているからです、もう少ししっかりしてもらわないと」
「あはは‥‥、すみません‥‥」
元々落ち込んでいたのに更に落ち込ませてしまった
「お前ら‥‥」
どうもこの二匹は俺以外だと少々高圧的な態度になる、うちの召喚獣がスミマセンとタクティアにあやまった。
あまりにも落ち込んでいたためその日の野営の時に、昨日の続きで分子を教えた
「水ってね、昨日言った原子が3つ繋がって出来た物なんですよ」
いわゆる『H2O』中学で習う水の分子、タクティアはその話を聞き目を輝かせて聞いていた、ちなみに俺は、水の『H2O』と二酸化炭素の『CO2』しか覚えていない、忘れてしまったよ、これ以上となるとあの禁断の『回想』を使うしかない、何とか話を伸ばして引っ張りたかったけど、今日は特別だよ?
もっと! もっと! とせがむタクティアを、まぁまぁと落ち着かせ
「一辺に教えても脳が途中でそれを受け付けなくなるんです、これは俺のいた国の研究で実証されたことですから続きはまた今度にしましょう、それよりも今日の疲れを完全に取る方が大事ですから今日はもう休みましょう」
と、今でっち上げた国の研究結果を盾にしてその日は休んでもらうことになった
明日からどうしよう‥‥
・・・・
・・・・
任務2日目
あっ、魔物の反応
反射的に反応があった場所に対して魔法を放つ
ちゃくだ~~ん、今!
小さくドンと音がして魔物に当たったのが分かる‥‥あ!
「しまった‥‥」
「どうしましたか?ハヤト隊長」
「魔物を殺してしまったんですよね‥‥、ほら、初めて隊に配属された人は最初に魔物にとどめをさすことになっているじゃないですか」
「‥‥なるほど『最初の殺し』ですね?」
「はい、それをやってもらおうと思ったんですが‥‥」
「急に魔法を放ったんで何事かと思いましたが‥‥では取りあえず見に行きますか?」
着弾地点に見に行ったところ魔物の姿は無かった‥‥が、肉片が所々に散らばっていた
「見事にばらばらになっていますね‥‥結構大きな魔法を使ったんですか?」
「いえ、分からないですね、特に気にもしていないで魔法を使ったので‥‥」
魔物は木っ端みじんになっていた、しかも、その魔物は探していたゴブリンだった
「次は気をつけますから‥‥」
「いえ、私も特に『最初の殺し』とかしたいという訳ではないので‥‥」
暫く歩き、タクティアが「はぁはぁ」言い出した頃、魔物の反応があった
魔物反応1、見つけた!
タクティアにハンドサインで魔物を発見したのを伝え、息を殺し反応があった場所に近づく
「オークか‥‥」
ゴブリンの方がよかったんだけどこの際どっちでもいいだろう、『風』魔法を使い足を狙う、キレイに足を切断出来ればいいけれど、オークは足が短いから‥‥、胴を傷つけないように魔法を放った
ヒュン!
放った魔法は切断までとはいかなかったが、見事にオークの足を切りその場でオークが倒れる
「行きましょうか」
「え、ええ‥‥」
少しだけ顔色が悪くなったタクティアが俺の後に続く
その場に倒れ叫びまくるオークの手足に、『収納』から取り出した4本の槍を突き刺し動けないようにする
「ささ、どうぞどうぞやっちゃって下さい」
「は、はぃ‥‥」
ガタガタと体を震わせたタクティアが、オークに近づき持っていた刀を頭目掛けて振り下ろした
ありゃ、心臓か喉を狙って突き刺した方が簡単なんだけど‥‥、まぁいいか
振り下ろされたオークは悲鳴をあげる、まだ生きている
「まだ生きていますよ」
俺を見たタクティアは怯えた顔でコクリと頷きオークの頭に向けて刀を振り下ろす、タクティアは極端に力が無いのか何度も何度も魔物に向かって振り下ろした。
ギャァギャァと叫ぶオークに対し
「うわぁぁぁぁぁあ! うわぁぁぁあ!」
と、叫びながら刀を振り下ろすタクティア、顔面を切り刻まれても尚死ねないオークになんだか気の毒になってくる
何十回振り下ろしただろうか? やっとのことでオークの命を取る事が出来た
「や、やりましたよ、無事にオークを退治できました」
「頑張りましたね」
頑張ったって言い方はどうかと思うけど、肩で大きく息をし地面に両膝を付いている今のタクティアには一応合った言い方だと思う
「では行きましょうか、大丈夫ですか?歩けます?」
「ええ、両腕はもう動かないんですが歩くことは大丈夫です、行きましょう」
フラフラとしながらもタクティアは立ち上がった。
タクティアは戦力にはならないという事が今日で分かった、無抵抗のオークにこれだけ時間をかけてしまったからだ。
多分武器が合ってないと思う、いっそのこと銃を持ってもらったら‥‥、でも魔物に近づくだけでも怯えていたくらいだから、囲まれたりしたらパニックを起こして仲間に発砲するかもしれない、だから今は銃を持たせるのは危険かも‥‥
いっそのこと敵を倒す事を諦めて、時間稼ぎ出来るような武器があったらいいのか‥‥、ちょっと考えてみるかな
その後もタクティアと一緒に任務をこなして行った、任務はいずれも魔物の間引きだったので大きな問題も起きることはなく
そのまま数カ月過ぎた‥‥
◇◆◇◆◇
「さて、行こうかタクティア」
「ええ、行きましょうか」
首都サーナタルエの軍本部、俺とタクティアは残りの隊員を迎えるべく隊員が既に待機している部屋に向けて歩き出した
「部屋に行ったら誰もいませんでしたってことは無いよね?」
「ははは、それは無いですよもう既に集まっています」
「そお? でもな~タクティアの例があるし」
「あの時の事はいい加減忘れて下さいよ、あの時謝ったじゃないですか」
チラリと腕の時計を見て、時間道理にドアの前に付けるように歩幅を調整する
「それで? いい加減隊員の名前くらいは教えてくれたっていいんじゃないの?」
「それは部屋のドアを開けるまでの秘密です、その方がワクワクするでしょう?」
悪戯っぽい笑顔を浮かべタクティアは笑う
話をしながら廊下を歩き、時間丁度に部屋のドアの前に立つことが出来た
「タクティア、どう? 汚れとかないよね?」
くるりと回転する
「大丈夫ですよどこも汚れてはいません」
「ん゛ん゛っ、あーあー、こういうのは最初が肝心だからね」
喉の調子よーし
ドアの奥からはクスクスと笑う声が聞こえてくる、おっと、どうやら丸聞こえだったみたいだ
俺は一回咳ばらいをしてからドアノブに手を掛け、そしてそのドアを開けた




