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10 軍学校

就職の時期がやってきた、もしくは進学


 初等部を卒業してから1年間の特別教育、これが終わると就職か進学のどちらかを選ばなければならない、政府からの支援は打ち切られ、一人で生活をして行かなければならない、もちろんスッパリ切られることは無いとは思う、多少は無理も聞いてもらえるだろう。


 俺は悩んだ末、進学することに決めた理由としては

 ちゃんとした教育の段階を踏んでいないからだ、初・中・高と、この国の人にとって当たり前の過程を過ごしていない人間を取ろうと思うか? 4年だけ勉強して世の中に出る。

 ‥‥まず無理だろう、もしかしたらこんな俺でも雇ってくれる経営者もいるだろうが、そこまで就職にはこだわらない、良い就職場所に入りたいならもっと勉強していい所に入った方がいい、それにもっとこの世界の事を知っておいた方がいいし‥‥、とは言っても進学の場合、入学資金やら色々お金が必要になってくる。


 そして悩んだ末俺は軍学校に入る事に決めた


 軍学校に決めた理由は、まず雇い主が個人ではなく軍になるということ、身元保証人として軍がなってくれるこれが一つ目

 在学中は衣食住が保証されるということ、これが二つ目

 そして入学金や必要経費などを無料にしてくれたことだろう、この事が軍学校に入る事を決めさせた

 

 軍施設の魔法陣を使わせてもらって以来、軍関係者の人が大体2週間に一度は必ず俺のところに訪れてくるようになった、最初は軽い世間話から、そのうち軍に入隊すると軍人しか契約を許されていない魔法陣や、軍人の召喚者しか使用できない召喚魔法陣もあるなどと、徐々に勧誘の方に話が向かっていった、


 魔法陣には興味があるし、まんざらでもなかったので軍学校に進学という方向で考えていた、しかも、入学金などが一切不要とするとまで言ってくれた。

 ただし、入学金などが不要な代わりに俺には『召喚科』に入ってほしいとのこと


 軍学校に入ることをミャマーさんとナタルさんに伝えたところ、快く承諾してくれた、

 俺には今現在、移動制限が掛けられているため、移動できるギリギリの場所にある魔法陣などにも連れて行ってくれた。

 覚えた魔法は、回想・収納・抽出・分離・洗浄の五つ、

「軍学校に入るんだったらこの魔法を持っていた方がいいからね、入った後だと色々許可とか必要で面倒だし」

 ミャマーさんとナタルさんは、俺が魔法を契約出来るよう各所に申請する為、毎日のように走り回ってくれた。

 

 この二人にはかなりお世話になった、ミャマーさんなんかは言葉が話せない時からずっと一緒にいてくれたし、まぁ、一時期いなかったけど。

 ナタルさんもミャマーさんの自宅謹慎が解けてからも、そのまま自分の担当の一人として残ってくれていたし、二人には感謝しかない、

 いつか恩返しできたらと思う。




 そして、この世界に来てからの4年目が終わる‥‥‥‥




 ◆◇◆



 今日の天気は入学日和ともいえる快晴、とは言ってもほとんどの日が快晴だけど、そして今日は軍学校の入学の日、今まで役所寮に住んでいたので親しくなった人達が結構いた。

 ここで過ごすことも無くなり今日からは軍学校の寮に移り住む、出発するときは結構な数の職員が見送ってくれた。

 

 でもって、今いる場所は以前来たことのある軍施設の門の前、以前コスモを契約した場所だ。この軍施設内に軍学校が存在している。

 一緒にいるのは車で送ってくれたミャマーさんと、同乗者のナタルさんだ


「さぁハヤトここから先はついて行ってやれないが、しっかりな!」


「ハヤトならぁ、絶対に大丈夫だからー、がんばってね」


 送り出す言葉を投げかけてくれる二人


「わかったよ、じゃー行ってく━━」

 途中まで言いかけて止まる、ここから新しい人生が始まる、今まで色々と助けてもらったこの二人にはちゃんとお礼を言わないと。


 俺は体を二人の方に向け

「二人とも今日まで色々とありがとう」

 いつも子供っぽい話し方しかしていなかった俺が、急に真面目な顔で話だしたので二人とも少し驚いていたようだった。


「ミャマーは俺が、怪我でベッドの上にいたときから4年間ずっとだったね、一生懸命言葉を教えてくれたことは今でもよく覚えているよ、ナタルは途中からだったけど、いつも親身になって接してくれてたね、感謝してる。二人が俺に親切にしてくれたことは一生忘れないよ、今日までありがとう」


 二人に対しての感謝の気持ちを言った後、俺は抱き着かれた、そして思いっきり泣かれた。


 ミャマーさんに


 あれー?こういう時は女のナタルさんの仕事なんだけど


 ナタルさんは目に少し涙を浮かべてほほ笑んでいた

「ハヤト、しっかりね!」


「ハイ!」

 ナタルさんの言葉に俺も笑顔で答える、一方俺の耳元では


「ハヤ゛ドォーーーーしっかriygyodagよー」

 号泣だ、それにしてもいつも締まらない男だなーと思う、


 俺とナタルさんは顔を見合わせ、互いに苦笑いを浮かべていた。




 この世界に来てからの5年目がここから始まる




 ・・・・・・・


 ・・・・・





 5年目が始まったとたん4年目に帰りたくなった、1年前の俺に少し説教してやりたい


 軍施設内にある校舎へと向かう、周りには同じく今日から軍学校に通い同級生になるであろう人たちも向かっている、これから4年間彼らと一緒に、もしくはそれ以降も同じ兵士として生きていくことになる。


 校舎の中に入ると奥の方が何やらザワザワと少し騒がしい、何かがあるんだろうか? 奥に進んでいくと講堂のような部屋で、「入学おめでとう」的な雰囲気の場所だった。

 意味不明な垂れ幕やらパンフレットのようなものを配っている人など、そのウチの一角にやたらと人が集まっていた。


 はて?なんだろうと思いそこに行ってみる

 そこは軍の歴史などが展示されている場所だった、そのなかでつい最近の出来事の方に、人だかりができている、

   

 見たいけど人がいすぎて見れないなーなどと思っていると、そのうちの一人が俺の顔を見て

「あっ!」

 と声を出した、釣られて他の人たちもこちらを振り返り見てくる、


 えっ?何、なんでこっち見るの?


 いきなりのことでオロオロしてると、サーッと人垣が割れた。


 俺の真正面には今まで皆が見ていた物があった


「ヘッ!?」


 目の前にあったのは、以前コスモを召喚したときに取られた写真のパネルだった


 これがアニメだったら背景は真っ黒、主人公は真っ白、さらには「ピキッ」という効果音も出ただろう、それはそれはとても酷いパネルだった。

 

 槍を突き刺す瞬間の写真、刺されているのはこの国の軍服を着たお偉いさん、刺された人は「刺されたー」という顔をしている、しかも嬉しそう。

 

 写真に見切れる撮影スタッフの方(軍服のお偉いさん)、


 俺の代わりに魔法を発動するため後ろに隠れるものの、笑顔の顔がしっかりと隙間から見えている結構偉い方の軍人さんなど


 しかし一番酷いというか腹だたしいのは、しっかりと表情を作っている俺自身だということだ。

 思いっきり突き刺すように見せる為に、眉間にシワを寄せ歯を食いしばったり、いかにも魔法を唱えているかのように口を大きく開けていたり


 あの日、俺は嫌々撮影されていたが、段々と気分が乗って来て、その結果として目の前のパネルがある


 頭が真っ白になり、動けなくなった俺の周りでは



「あの人が例の‥‥‥」


「おもしろ召喚者」


「あの噂の‥‥‥‥」













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