表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
キング・オブ・ドクター  作者: コッシー
7/8

第1章 6 戦闘② 憂鬱な戦闘&決着

やばい!やばいやばいやばいやばい!このままだと、薬が切れる。

しかもあのアルカ・カワードとか名乗った奴、なんか薬飲んだのか、相当気配がおかしくなってやがる。

視線はアルカに合わせて、全速力で思考を巡らせる。逃げる?多分無理だ。戦う?持つかなー?

「終わらせますか」

「いやー、やめてもらったりできます?連れ去るとか言ってましたけど、絶対、痛いじゃん」


「いえいえ、できる限り加減いたしますので」


見ていたはずだった。しかしアルカの姿はそこに見えなくなっていた。

「あれー?なんかデジャヴ!」

「そうですねー」


聞こえた方向、上。だが、わずかに右より。なら、左にずれる。あれ?結構遅くね?なんで、来ないんだ?


この時、気配を感じた少年のタイミングは、アルカが飛んだ瞬間だった。ありえないほどに研ぎ澄まされた感覚がこれを可能にした。

すぐに上を見るが、アルカはまだ結構上にいた。遅くね?俺、いつあの場所に気づいたんだ?まあ、いいか。どうせ、倒さなきゃいけないんだ。

空促歩を使い、一気にアルカのいるところまで上昇する。全く予想していなかったのか、アルカは俺が同じ高さまで来たことに気づくや否や、目を限界まで目開いた後に、すぐに空中で体勢を整え、すぐに拳を向けてくる。

「なぜすぐに気づいたのですか?まだ私が飛んで、数秒しか経っていませんよ?」

「ああ、そうなの?なんかさっきと雰囲気違うけど大してあんたの身体能力、変わってないと思うよ」


実際、それは少年の勘違いだった。アルカが飲んだ薬は効き目が切れれば、動けなくなる、というデメリット付きだが効き目が切れるまでは身体能力が3倍以上になるという激薬、速体剤だ。それを飲んだにもかかわらず、その動きが、気配が、普通に見えた。それは、少年の身体能力、動体視力、その他すべてをアルカを凌駕していたからに他ならない。3倍にしたとしても、少年に追いつくことすら不可能なのだ。

だが、そんなことは知らないアルカは、自分は速体剤を飲んだんだ、その事実を心のよりどころにし、少年に攻撃を試みるが、空中だというのにまるで地に足をついているようにひらりひらりと避けられる。

「あー、アルカだっけ?あんた…」

急に名前を呼ばれ、一瞬戸惑いを隠せなかったが、それでも繕い、答える。

「なんだ?小僧」

「いや、大してことじゃないんだけどさ。あんた、今のうちにこの戦いやめたほうがいいと思う。弱すぎる。俺の師匠、あんたの100倍くらい強い。師匠が来る前に終わらせたほうが身のためだ」


その軽い口調で、そんなことを言われたアルカはすぐに首筋に血管を浮き出し、激怒する。

「はあっ!?ふざけてんのか!?今更そんなことができると思ってんのか?クソガキがぁ!」

「仕方ない、師匠が来る前に退散しといてもらうよ」


そう言うと、少年はアルカの視界から、あえて消えた。

「またか!うざいうざいうざいうざいうざいうざいうざいウザいウザいウザい!!」


アルカは、速体剤の効果で身体能力は上がっているが、その代償として精神を徐々に徐々に蝕まれていっている。それを分かっている少年は、これ以上悪化させないために、あえてそう言い挑発した。そして、気配を完璧に消し、背後に回ると、後頭部をめがけて、右手を振り抜いた。

「ガッ……アッ!」

「ほとんど理性飛んでるやつに、負けるかっての。もっと強くなってから、出直してこい!」


後頭部に吸い込まれるように命中した拳の衝撃で、アルカが今まで浮いていた場所から、真下に前回転しながら勢いよく落ちた。

少年も着地すると、後ろから誰かの、否、少年の知っている人の声がした。

「大義であったぞ、我が従僕」

土下座数 10

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ