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キング・オブ・ドクター  作者: コッシー
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第1章 3 旅立ちと追跡者

思ったより書くのに時間がかかりました。

『能力』の存在が発覚したのは、菌が世界を侵略し出した2042年。だが、『能力』には2通りあった。1つは、傷や病気を治す、普通の医療に使える『能力』と、もう1つ。菌に対して天敵とでも言うべき効果を発揮する『能力』。

その菌に対する『能力』を持つために、あまりにも大きな犠牲を払った少年が、あそこに一人…


短い睡眠をつい先ほど終えて、目をこすってボケた頭を目覚めさせる。窓際に座っていた少年は起きたシャイラに気づくと、

「おおー、寝れたか?」

呑気な声を、朝っぱらから聞いてボケた頭が一瞬で鮮明になる。

「おはようございます。私は寝れたんですけど、あなたはちゃんと寝れたんですか?」

「いや、寝れてない。むやみに寝ると、俺の場合、他の奴が襲われかねないからね」

「はい?それはどういう?」

「それはまた今度、教える」


微笑を浮かべながら、少年は答えた。その言葉の意味を理解できなかったシャイラは、とりあえずこう言っておく。

「は、はあ」

「どうだ?妹の様子は?」

一度前の、苦しんでいた妹を思い浮かべて胸が苦しくなったが、今は違う。今は……

「まだ寝てますが、前と比べれば全然マシですよ。寝顔とかが段違いですもん。安心してる顔でしたよ」

「そうか、それならもうちょっとで起きそうだな。結構ギリギリになっちまったなー」


「何か今、意味深な発言しましたが、そこには突っ込まないでいきます。それにしても、無理しすぎじゃないですか?さっき話聞いた限りでは寝不足みたいですし、それにお腹、痛くなるのに『俺の事、宣伝するんだー!』って言ってここら辺一帯の人で菌のことで困ってる人の相談聞いて、しかもその原因の菌、排除しすぎたせいで昨日ほとんどトイレから動いてないじゃないですか」


だが近辺の人から信頼を得ていることだし、宣伝もできていないわけではないので少年の目論見通りといえばそうなのだが、一度『能力』を使うだけで腹痛に襲われるのは、なんというか気の毒だ。

「いやー、俺の目標は病院を持つことだから。今のうちにお得意様とか作っておきたいのですよ」

「はあ」


いまいち納得できない理由だ。痛い目見てまで、することなのか?

他愛のない話をしているうちに、昼過ぎぐらいの時間になっていた。

「あ、そろそろお昼ですね。どうしましょう」

「んー、俺ちょっと連絡したいやつがいるんだけど…」

そこで少年は言葉を止める。少し間が空いたが、シャイラもその意味を理解する。

「お姉ちゃん……おはよう」

「うん、こんにちは、だね」


後ろを振り向いて、ようやく目覚めた妹の間違いを優しく直す。一応少年を見ると、大きく伸びをしてから待ちわびた!と言いたげに笑って、

「ようやくですかー、患者さん。なかなか起きないので心配しましたよー」


突然、医者まがいなことを言い出す少年に口出しする前に、妹が聞く。

「患者さん?誰のこと?」

キョロキョロと部屋の中を見回して、シャイラが無事なのを確認してから、

「お姉ちゃんじゃない。なら…、もしかしてお父さん?」


純粋な意見に思わず苦笑する少年だが、すぐに顔を引き締めると答えた。

「悪いが、患者さんのお姉さんでもお父さんでもお母さんでもないですよ。あなたです」


記憶をたどっているのか、難しい顔をしている。だが不可解な点に気付いたようで首をかしげる。

「何か気付いたみたいですね、患者さん。忘れてるところは、菌のせいで寝込んでたので覚えてないだけです。気にしないでください。あ、直したの俺ですー」


シャイラはその軽さに実際には数秒、体感時間では数分間絶句した。一体どこから来るんだ、この異様な軽さは。少年は言い終わると、床から立ち上がりシャイラの方を見ると、

「おーし、お前の妹も起きたことだし荷物まとめて」


「え?どうしてですか?」

「いやー、お前たちの親来るとめんどくさいし、後早めに妹さん安全なところに隠さないと色々危険なんですよねー」


「それはどういう?」

「いやね?菌に一度でも感染か侵略か寄生されたやつは、なぜか菌にもう一度菌に何かされる確率が異様に高いんだよね。それがなくても、一度菌に寄生されてるんだ。あんたらの親にも組織の奴らにも気味悪いだけだと思うんだよ。もうこれ以上妹に嫌な思いさせたくないだろ?なら、荷物まとめてここら辺から、おさらばするぞ。安心しろ!あてはある!」


信じがたい話だが、そんな話は少年には何度かされているシャイラ。しかも、その大部分が嘘を言っているとは思えない表情で。仕方ない、と表情でかもし出しておきつつ、了承する。

「分かりました」


短めに言うと、妹の手を引っ張って荷物をまとめさせる。


思ったほど時間は掛からなかった。

「できました?」


今度は、待ちわびた!ではなく待ちくたびれた、の念がこもった言葉が送られた。

「できました。けど、一体どこまで行くんですか?」

「ん?結構近いよ?」

「あっ、そうなんですか」


突然少年が、何かの気配を感じた様に目を見開きながら勢いよく立ち上がる、

「ど、どうしたんですか?」

「マズいな…、時間、ほとんどないみたいだ」


こちらを見て、少年は催促する。

「荷物まとめ終わった!?そろそろ出るぞ!」

「はっ、はい!まとめ終わってます!」


「なら、すぐに出るぞ!」

「わ、分かりました!」


妹の手を引っ張って、家の外にでる。一瞬、ためらう。菌に地球を侵食されてから両親と共に作って、この八年間、ずっと住んできた、そういう思い入れの深い家だ。

だが、そんなことは言っていられない状況なのは、少年の今の落ち着かない態度を見て分かる。

どのくらい、歩いただろうか?少年から出る緊迫した空気のせいで、時間が全く分からない。

「あの…あと、どのくらいですか?」

「もうちょっと…と言いたかったけど追いつかれたな…。悪い、後ろに看板、見えるか?見えたら、そこに向かって…走れ!」


人影は見えない。言う通りにするしかない。妹を見て、

「走れる?」

「うん!」


「なら、いくよ」

「お願いしますねー」


さーてと。シャイラと、その妹はあの店に行った。なら、手加減しなくていいよな。

「いつまでも姿隠してないでいいんだけど。早く姿現せよ!」


少しの沈黙。そして誰かが姿を現す。

「いやー、バレてないと思ったんだがなー?だから嫌だったんだよ!果ての集落に、腕の立つクセに医者の免許持ってない奴がいるって噂が流れてるから、調査してこいとか、ふざけてんだろ!」

「そういう愚痴は組織に言ってくれ」


なぜ、俺にそんなことを言うのか。現れた青年はフードらしきものを被っていて、顔は見ることができない。だが、現在の医者の証であり、政府に認められたことを意味する、正式に政府から配布された腕章を腕につけている。服がブカブカなせいで体格も定かには分からない。が、相当に鍛え上げていることは、奴が醸し出す空気で分かる。突然、青年が何かを思い出した様にいきなり視線が天を仰ぎ、そして視線が俺をもう一度見た時に、ニタァと口が開き不敵な笑みを浮かべながら言う。

「あー、そういえば!名乗っていませんでしたね!私はアルカ・カワード!あなたを連れ去りに参上いたしました!短い間ではございますが、宜しくお願い致します!」

土下座数 5

自分でも、未だに土下座した後のメンタルが無事なことにびっくりしております。

ただ次回は時間がかかりそうです。

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