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キング・オブ・ドクター  作者: コッシー
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第1章 1 初めまして

二回目の投稿です。未だに緊張が抜けません。自分でも口説い気がするんですが、これ以外に言った方がいい言葉が見つからないので、どうかよろしくお願いします!

世界は、ある『もの』によって侵略された。

そのせいで今まで街として機能していた場所は、今となってはただの残骸だ。そして、ある『もの』に侵略される前まで大通りと呼ばれていた場所には、建物には何か灰色の塊が。上からは、これまた灰色の、建物についているものと比べると小さなものが降っている。道にもびっしりと灰色の何かがこびりついている。その大きな道を裸足で歩く少年がいる。この光景は端から見れば馬鹿としか言いようがない。小さいとはいえ、人間が触れれば皮膚がただれ、最悪の場合、死に至る。そんなものが降っているにかかわらず少年は鼻歌交じりで呑気に歩いている。が、急に腹の辺りを抑えて呻く。ざまあ見ろ、と思うだろう。だが、少年はこう口にした。

「くっ、今日も来たか。我が宿敵!腹痛!」

これほど、呑気なのは、きっと頭が逝かれているからだろう。そう思う奴もいるだろう。

だが、ちゃんと見てみれば分かる。

小さな灰色の何かは、少年の頭に触れた直後に消し飛んでいる。もう一度、少年を観察してみよう。今となっては特に違和感のない白髪。簡素なデザインのマントを羽織り、靴は、先程言った通りない。裸足だ。そして、マントに隠された腕章。これについては後で触れよう。

すぐに激闘の末、宿敵を追い出したのか、立ち上がるとまた鼻歌を歌いだしながら、歩き出す。だが、また止まる。理由は少年の視線の先に、叫びながら走ってくる少女が見えたからだ。耳を澄ませば聞こえる。少女がどんなことを言っているのか。

「お願い!誰か、誰か助けて!妹を……どうか!」

少女の叫び声を聞いてから、少年は近寄っていく。少女の目の前まで近づくと、こう言った。

「あのさ、腹減ったんだけど、飯食わせてくれない?」

「えっ?」

完全に意表を突かれた様子の少女を見て、尚、続ける。

「いや、だからさ。腹減ったの。食べ物、食わせてくれない?」

笑顔で言った少年をにらめつけ、それでも良心に逆らえず、こう答える。

「そ、それはわかりました。ですから、妹を…助けてください!」

「よし!それは了解。なあ、名前何?」

あまりにマイペースな少年の態度に、少女は憎しみを抱いた。なぜ、それほどまでに呑気でいられるのか。聞いてみたい。だが、今はそんな時間はない。

「シャイラ、シャイラ・マルボス」

「オーケー、シャイラね。よろしく。早速だけど、妹さん、どうしたの?」

どうした、と言ったのか?この少年は。一体どこまで世間知らずなのか。この時代に、ここまで必死になることなど一つしかないだろう。菌による、病気の発症。または菌の体への侵食。他に何があるのか?それでも平静を繕わなければいけない。

「妹は…菌に侵食されてしまいました」

「なるほど」

納得した後、少し考えてから、急に少年の目つきが鋭く、冷たくなる。

「じゃあ、急ぐぞ」

気圧されたが、今、気にしている場合ではない。

「分かったわ」

先に走り出した少年を追いかけて、シャイラも走りだす。

少年は、急いでいた。

俺に、話を聞かれた。お前ののミスでお前は終わりだ!菌。

後ろで、声が聞こえたために一度止まる。

「そこ!その建物!」

「ここか…」

質素な家だ。むしろ小屋と呼んでもいいだろう。二人は中に入る。中も外装から察した通り、簡素だ。小さな電灯。ソファはなく、小さなベッドが置いてあるだけだ。だが、いる。シャイラが言った通り、妹らしき人がベッドに横たわっている。シャイラの息が整うの待ってから少年が、待っていましたと言わんばかりに言う。

「よし!飯だ!」

「はっ、はい」

そこらへんに、皿を置くとシャイラはどこにあったのか、建物の奥に入っていく。すぐに戻ってくると、パンを手に抱えていた。

「やったぜ!メーシメーシ」

子供のようにはしゃぐ少年を見ながら、シャイラは、ため息しか出なかった。どこまで呑気なのか。少年は、パンを皿に置いた瞬間から口に放り込んだ。

「もうちょっと、落ち着いて食べられないの?」

呆れ顔で聞くシャイラの言葉を、少し考えてから少年が答える。

「だって、ちゃんとした飯食うの二日ぶりだもん。いいじゃん」

付け加えよう。少年は呑気と、馴れなれしい、だ。よくもまあ、初対面の人にここまで馴れなれしく接することのできるものだ。考えているうちに、もう少年はパンを胃袋に収めていた。

「早っ」

思わずそうこぼしたが、それには目をくれずベッドに横たわっているシャイラの妹をじっくり拝見していた。ゆっくり一周してから、上半身の服を脱がし始めた。とっさに立ち上がり、叫ぶ。

「何を!?妹に何をしている!?」

だが、返事として帰ってきたのは、間延びした声。

「んー?診察だよ。妹、助けたいんだろ?」

「あなたに、一体何ができる!?」

「あー、言ってなかったか?俺は医者だ。英語で言うとドクターね」

「医者が英語でドクターなのは知ってますよ!?あなたがドクターなのは初耳ですよ!?」

「やっぱり言ってなかった」

頭を押さえて、嘆く少年。だが、手は止めない。

「やめて!」

それを聞いていたはずだが、少年は妹の服を完全に脱がすと、そこにあった黒い斑点を指指しながらシャイラに言う。

「おい、シャイラ。お前の親はどこにいる」

「えっ?親は…」

「この近くにいるのか、いないのかでいい。答えろ。大雑把に言ってお前の妹が死ぬ」

答えにくい質問だ。シャイラにとって今、親のことを聞かれるのは問題外だと言いたい。だが、その逃げ道を少年に潰されたせいで答える以外の道はない。

「親は、医者を呼んでくると言って荷物をまとめて出て行きました」

「そうか、そのせいだ。そのせいで、こいつは病状さえハッキリしないまま、こんな大事に至ったわけだ」

「大事?それはどういう?」

少年は妹にできた黒い斑点を指して、叫ぶ。

「これは、侵略じゃない!寄生だ!」

「寄生?」

聞いたことのない単語に首を傾げつつ、その単語が恐ろしい状況を肌で感じ取ったシャイラは、聞いた。

「寄生、というのは」

「侵略なら、普通、出る斑点の色は薄い赤なんだよ。それに対し、お前の妹さんは黒。この症状は侵略じゃない。菌の寄生だ」

そう言ってから、少年は何かを言おうとしてためらう。やがて、口にする。

「お前の妹の治療が成功する確率は、控えめに言ってもゼロだ」

シャイラは、そのあまりに短い、妹の余命宣告を受けて崩れ落ちた。

それをじっくり見てから、少年はため息をしてから続ける。

「普通の医者ならな」

「えっ?」

自慢げに胸を張って、答える。

「運が良かったな、シャイラ。俺ならお前の妹を治せる」

部屋の中にそよ風が吹き、少年の白い髪を揺らしていた。

恒例と言えるほどやってないけど、恒例と言いたい「見てください!」の意味の土下座コーナー!

土下座数 2

対して変わってなくてすいません。

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