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episode2-4 ~宣言~ 完

 桐江聖次郎の妻・桐江知枝(ともえ)

 微かに癖のある黒髪に、色白の肌。

 和禰人らしい、ふっくらとした顔立ち。

 モスグリーンのシンプルなトレーナーに、細い脚線の浮き彫りになるパンツ。

 アクセサリーと言えば首から下げたか細いシルバーネックレスと、薬指にはまった例の結婚指輪程度。

 その居ずまいは、質素ながら貧相さを感じさせないと、評される事が多い。

 その昔、聖次郎と出会った当初はベリーショートに刈り込んだ髪とパンクファッションで決めていたそうだが、今や欠片も面影は無い。

 彼女の作った料理が、広いテーブルの上を埋め尽くしていた。

 ほうれん草のおひたしに、揚げ湯葉を乗せたもの。

 艶やかな飴色のタレに塗れた、鶏南蛮。

 甘辛く仕上げた牛ごぼう。

 水菜と豆腐のサラダ。細かくカットしたトマトが散らばり、彩られている。

 (さわら)と鮭の刺身が、大皿の上で大輪の花を咲かせている。

 パンのような威容の厚焼き玉子と、ミルフィーユのように繊細なコントラストの出汁巻き玉子。

 味噌仕立てのスープに、花弁のように数多の野菜が漂うけんちん汁。

 天ぷらの衣は淡く薄く、封じられた季節野菜や海鮮類の姿がうっすらと見て取れる。

 軍属は、量にして常人の二倍は食べる。

 つまり、彼ら彼女らを食わせる調理人は、倍の仕事を要求される。

 真珠のような光沢の新米が、大ぶりの茶碗に山と盛られている。

「お口に合えば、よかったのですけど」

 知枝が、夫の甥に敬語で尋ねた。

「慣れ親しんで居ります。

 この牛牛蒡(ぎゅうごぼう)は、今から五年前より、生姜の配分を変えた様ですね。

 味醂(みりん)も増えて居る」

 夫人の目が、素直な驚きに見開かれた。

「本当に、ルカ君にしか見えないねぇ」

 おっとりと言う夫人の隣で、桐江准将も重く、本当に重く頷いた。

 道場でルカの剣を見たのが二日前。

 そして、その折に、

 件の未来人(ルカ)を名乗る男を家に招きたいと希望した。

 それは、いとも簡単に実現した。

 あのヴィルヘルミネと言う託宣オペレータと鉢合わせにならないように、と言う条件付きなので、甥の一派とは別個に会う事となった。

 まず桐江聖次郎は、論を交わすよりも先に、道場で未来人(ルカ)と手合わせをした。

 そして把握した。

 未来人(ルカ)の流派は、まごうことなき上倉一刀流。

 基本的には、本物とされるルカと同質の太刀筋だ。

 ルカが祝福異常を発症せずに四、五年休まず研鑽(けんさん)すればこんなものだろう。と言うレベルだ。

 師範から見れば子供の棒振りに等しいが、それでも戦場の一線では通用して余りある剛剣だ。

 ただし、桐江准将が感じた彼の剣の未熟さは、斬撃の精度だけを見ればの話である。

 先読みの正確さが生存率に直結する上倉では、特に経験年数が問われる。

 この流派において“勘”とは、反射行動にまで昇華された経験則――その情報量であると、冷徹に定義されているからだ。

 様々な腕力の敵、様々な体格の敵、重軽・鈍敏様々な敏捷性の敵、あらゆる武器の形状(競合種であれば器官)、あらゆる地形……死闘を乗り越えるごとに、上倉の剣士は直勘力が養われてゆくのだ。

 ルカ・キリエと言う若者に倍する年月をこの流派で生き延びてきた桐江聖次郎が、まず負ける要素は無いように思われた。

 事実、先の手合わせでは一本たりとも取らせなかった。

 だが、何度か危ない場面はあった。

 都合四合、未来人(ルカ)の剣は、桐江准将を捉えそうになった。

 あまりにも甥の剣に似すぎた剣。

 躱せて当然のそれに、危うく掠りそうになった。

 四度も、だ。

 具体的には、蹴り等の体術やフェイントを交えた剣が、現代のルカよりも格段に鋭い。

 勝利に対して非常に貪欲だと言う事だ。

 道場に破壊が及ぶ事にも頓着していないらしく、自分の家を壊したくない准将としては、やりづらい事この上無かった。

 極め付けのエピソードがある。

 突然庭まで飛び出したかと思ったら、池まで准将を誘き寄せた挙げ句、一撃を浴びせようとしてきたのだ。

 どうやら未来人(ルカ)の方は水上歩行の洗礼を施された靴を履いていたらしい。

 対する准将は、足にどうしても水の抵抗を受ける事となり、分が悪かった。

 本来ならば支障の無い程度の水位だが、上倉同士の戦いでは、フットワークの極々わずかな乱れさえも、致命的な隙になる。

 確かに「道場から出てはならぬ」とは一言も言っていないが……さしもの桐江聖次郎も、これには唖然とさせられた。

 准将の知るルカは、対人戦でこのような(から)め手をあまり使わない。

 特に稽古のような場面では、真っ直ぐに打ち込んでくる傾向が顕著だ。

 そうしなければ礼を失する、と考えている節があった。

 これは、ルカという人間が骨の髄にまで刻んだ特性であり、剣を合わせると言う極限の状況下ではどうしても避けられない癖でもあった。

 やむを得ず搦め手を使った直後のルカの剣は、決まって精彩を欠いていた。

 心が剣の冴えに直接影響を与える。

 それが、上倉一刀流の特長でもあり、弱みでもある。

 では、甥の三年後を名乗るこの男はどうか。

 池への誘引のような、卑怯と謗られかねない行為。

 そこから繰り出された剣には、何の迷いも無かった。

 そして、その迷いの無い剣は――迷いの無い時の甥が振るった剣と、全く同じだった。

 未来人(ルカ)の剣は、ルカの剣。これは認めざるを得なかった。

 だが、そこには感情による揺らぎが欠落している。

 常に、一定のクオリティを保って放たれる剣。

 これもまた、上倉としては真髄とも言える領域――無我の境地とは言えないだろうか。

 もし、この男が三年後のルカになりすます為に、ここまで剣を磨いたと言うのなら、尋常な執念ではない。

 そして、そんな妄執を剣の動機とする者は、無我の境地とは対極にある。

 念に取り憑かれた剣士に、上倉をここまで究める事は出来ない。

 矛盾している事だ。

 まだ「彼はタイムスリップをしたルカ本人だ」と言う方が可能性が高いようにさえ思えた。

 上倉を極めた桐江聖次郎だからこそ、剣を合わせる事で、この矛盾に気付いてしまった。

 仮にそうだとするなら。

 たった三年。

 そんな短期間に何があれば、ルカが―― 一人の人間がこのような変質を起こす?

 その答えも、出ない。




 道場に面した庭の隅、彼岸花で赤く彩られた場所がある。

 細い肋骨のように閉じかけた花弁が曙光を湛え、振り子のように揺れている。

 その極々小さな花園の中で、リナが屈み込んでいた。

 未来人(ルカ)が背後から近付き、影が彼女の頭上を覆っても、身動(みじろ)ぎ一つする様子は無い。

 かすかに茶色がかった黒瞳で見ているのは、一抱え程度の小さな石碑。

 和禰人は、世界で最も葬儀と埋葬に金をかける民族だ。

「ここに眠って居る子の名前は分かりますか?」

 リナは振り向く事無く、どこまでも無色透明な声で、それだけを呟いた。

「きなこ。

 命名者はリナ・キリエ・キシン。

 セントバーナードの雌。ブリーダーは、嶋見(しまみ)県の山本美佐雄(みさお)

 被毛は腹部がホワイトで、頭部から背部の大半はレッドブラウンに覆われて居た。

 享年五歳。

 最終的に計測された体長は七七センチメートル、体重は七三キログラム」

 そうですか、という形に唇だけを動かしてから、リナは立つ。

「残念ながら、不正解ですね」

 ようやく未来人(ルカ)を振り向いたリナの面差しには、やはり何の感情も浮かんでいなかった。

「最終的に計測された体長は四二七センチメートル。体重は四一一キログラム」

「それは、競合種個体のデータだ」

 返す未来人(ルカ)の声にも、感情の色は無いように思えた。

「成る程。

 貴方の認識では、競合種進化は死亡と同義なのですね」

「法的・生物学的、共にそれが定説だ」

 むしろ未来人(ルカ)の考えは、世界的に見れば多数派(マジョリティ)のものだ。

 はっきりと意識を残した滅病初期の人間でさえ、もう死んだものとみなされる。

 畜生の成れの果てがどう扱われるかは、推して知るべしという事だ。

「私は、貴方自身の認識を尋ねて居るのです」

「私自身の」

「貴方は最初から、競合種や滅病キャリアーは死者と等価であると考えて居たのですか? 法的に定められて居るから」

 その問いに、未来人(ルカ)はひと拍子置いてから、

「競合種と初めて交戦して以降、競合種進化は死と同義であると、私の認識は修正された」

 ルカ・キリエが生涯最初に交戦した競合種は、

 セントバーナードの雌。


 今にして思えば、何故気付かなかったのか。

 叔父夫妻の居ない深夜。

 十五歳になったばかりのルカが庭に飛び込んだ時。

 その時にはもう、競合種と妹の距離は致命的に近付いていた。

 正確には、競合種にはなりきっていない。

 進化途上だ。

 現在進行形で四肢が肥え、骨格が増殖してゆく。

 有り余る骨が肉を突き破り、甲殻のようにセントバーナードを(よろ)いつつもある。

 競合種の完全体がもつ、人間への攻撃性は、今のところ見られない。

 だが、いつ、あの前肢がリナの幼い矮躯をくず肉に変えてしまうかはわからない。

 平屋の道場よりも体高を増しつつあるセントバーナードを、寝間着のリナは呆けたように見上げていた。

 十二歳にもなって、競合種の驚異を知らないわけではあるまいに。

 ショックで放心しているのか。

 妹の内心を斟酌(しんしゃく)する暇はなかった。

 ルカは、成長期の身体には長すぎる西洋剣を大きく振りかぶり、リナの前に躍り出た。

 即ち、進化に戸惑い頭を振り乱す、セントバーナードの前へ。

 即ち、

 きなこの前へ。

 ――叩き、叩き、斬る! 斬らなければならない!

 雑多な念に満ちた思念は天に届かず。

 ただの未熟な子供が振るう金属棒は、セントバーナードの外骨格に激突して跳ね上がっただけだ。

 少年の判断は迅速だった。

 静止したリナを掴んで、正門側へ放り投げた。

 そして、これが勝ち目の無い戦いである事を理解した。

 無造作に投げられたリナは、猫のように体勢を正して着地した。

 セントバーナードが、身体を伏せて低く唸りだした。

 未だ「食物連鎖の長たるべし」という本能の侵食に戸惑い、犬としての自分が失われていく事に苦しんでいる。

 だが、その据わらない目は、今や道端の石ころに等しい少年に焦点を結ぼうと暴れている。

 錯綜する意識の中、剣で打たれた事でルカを敵と見なしたのかも知れない。

 黒い鼻が。

 かつて、木の実のようだった鼻が吸気を始めた。

 あの鼻をリナに擦り付けていた、きなこの姿が、

 変わり果てたセントバーナードの巨体と重なる。

 ――叩き、斬、

 竜巻にさらわれた大木の幹が、ルカを襲う――ように感じられたのは錯覚。

 実際は、照準も曖昧なまま振られた、セントバーナードの前足だ。

 今度も奇跡的価値を持たなかった袈裟斬りはあっさり弾かれ、ルカ少年の身体はきりもみのような回転を加えられた挙げ句、地面に強く叩きつけられた。

 ――打撲傷多数、肋骨骨折、右肩脱臼。 

 肉体の損傷箇所は、充分にわかる。

 だが、ルカ少年の内心はすっかり恐慌をきたし、治療に必要な儀式思考が練れない。

 今更ながら気付いたのだ。

 これが、初の実戦だと。

 ――不味(まず)い、不味い、不味い不味い不味い不味い!

 ――あれはきなこだ。けれど、競合種になってしまう! 競合種になったら、リナが殺される!

 ――けれど、あれは、きなこ……。

 ――不味い不味い不味い不味い!

 セントバーナードの眼球が、ひとりでに弾けた。

 空洞となった、眼窩(がんか)

 その内側から水晶体が膨張し、生き物のように蠢く。

 競合種としての、もっと性能の良い眼球に作り直すのだろう。

 目が出来上がれば、次は確実に仕留めにかかってくるはずだ。

 剣を振りかざしてきた敵を、八つ裂きにする為に。

 セントバーナードが悠長に兄妹を生かしているのは、今は自分の進化に全霊を向けねばならないからだ。

 それが終われば、兄妹の命は数秒と保つまい。

 軋むばかりで動作しない身体。

 同世代の子供なら泣きわめくか失神するであろう激痛に、全身を浸しながら、ルカ少年は。

 ――姿が変わっても、きなこは、きなこなのでは無いのか。リナの前で、彼女の愛犬を殺すのか。

 ――僕には、出来ない……。

 そうして躊躇の末、リナを死なせる。

 本末転倒だと言うことは、幼い少年ですら理解していたのだが。

 リナは、どう考えているのだろう。

 きなこが死ぬくらいなら、自分が死んだ方がマシだと思っているのであれば。

「兄さん」

 一瞬、兄にはそれが、少女の声には思えなかった。

 愛犬の競合種進化を目の当たりにした女児とはとても思えない、平たく冷静な声だったからだ。

「駆除して下さい。

 あれはもう、きなこではありません」

 少年はどこか、その言葉を待ち望んでいたようにも思えた。

 ――肋骨の癒着、修繕。

 ――臓器系の損害確認。

 きなこの眼窩に、巨大な鉄球のような、漆黒の眼球が完成した。

 完治を待つ暇は無い。

 身体の動作に差し支える損害のみを治癒し、臓器系統は放置。

 脚部の骨を速やかに再生。

 跳ね起きたルカ少年は、明確な視線を向けてくるセントバーナードと再び対峙した。

 だが。

 そこまでだった。

 入り込む隙が、無い。

 先の先を読み、無心の太刀を浴びせる上倉一刀流。

 自分を駒とした詰め将棋にも等しいその剣を学んだ少年だからこそ、理解できた。

 眼が完成した今、どのように打ち込んでも、叩き落とされる。

 どう足掻いても勝てない。

 だが、退いても殺される。

 上倉の理路整然としたメソッドが、少年に死の宣告をもたらした。

 詰み、だった。

 まだ、身の程がわからないまま突貫し、何もわからず即死出来れば楽だったに違いない。

 伏せたまま、セントバーナードは唸りをあげた。

 地中を掘削し、撹拌するような音だ。

 セントバーナードの脚は、膨張し続けていた。

 だが、当初に比べて緩やかな成長だ。

 恐らく、完成が近い。

 脚が出来上がれば、セントバーナードの方から能動的にルカを襲うことも出来る。

 リナとセントバーナードの距離は、二〇メートル程度。

 進化完了まで、推定一〇秒も残されているのかどうか。

 自分を殺すのに三秒かけたとして、リナが最速のタイミングで逃げてくれたとしても……間に合わない。

 ルカは決意した。

 ――叩き、斬る!

 セントバーナードの右側面に踏み込み、剣を横に振る。

 左前足に比べ、右足の成長が一回りほど遅れている。

 激突。

 まだ、満足に振り上げる事さえ出来ないらしい前足に、西洋剣が食らいついた。

 刃が数ミリ潜り込んでから、押し戻された。

 裂けた毛皮から、遅れて血が溢れた。

 きなこだったものの体温を感じさせる、鮮やかな赤だった。

 傷が塞がった。

 少年の抵抗は全くの無駄だった。

 右前足が高らかに振り上げられた。

 蚊を叩き落とすかのような、軽々しい動作だ。

 そして、

 ルカを襲うはずだった前足は、

 横一文字に切断された。

 バランスの悪い土台から、ボールが無造作に転がり落ちたかのような光景だった。

 針のように細い疾風が通りすぎた直後、切り離された足首は、淡々と地に落ちた。

 一寸遅れて、奥にあった木が幹から両断され、繊維質の千切れる音を立てた。

 遅れて、倒木。

 凄まじい地鳴りがした。

 ルカの背後から、何者かの投じた物(恐らくは短刀の類)がセントバーナードの足首を切断した挙げ句、木に刺さってようやく止まったのだろう。

 投げナイフで競合種を斬る。

 およそ人間業では無い。

 その妙技の主は、正門から堂々とやってきた。

 腰に備えたサーベルも抜かず、無防備に、まっすぐ歩いてくる。

 桐江聖次郎だ。

 背筋をぴんと立て、きびきびとした足取りで、セントバーナードの懐へ歩み寄る。

 先程のルカが間合いに踏み込めずに悩んだのは、何の為だったのか。

 それほどまでに軽々な接近だ。常人には、自殺志願者にしか見えない。

 セントバーナードは吼えた。

 それだけで、周囲幾キロメートルもの万物が引き裂かれるかのような音だった。

 切れた足首を気にする暇さえ惜しく、残された足だけで桐江聖次郎の前へ踏み込んだ。

 桐江聖次郎が動く素振りは見えない。

 だが。

 厚手の布を力任せに裂いたような、異音がした。

 それも六回。

 しかし六回ともほぼ同時に鳴った為、兄妹には一回にしか聴こえなかった。

 セントバーナードの首が落ち、脚が全て両断され、胴体は輪切りのように三分割された。

 断面から、無数の臓物が舌を出すようにこぼれ出した。

 セントバーナードの巨体が一瞬にして崩壊した、冗談のような光景。

 それに遅れてようやく聴こえたのは、まるで鞘に剣を納めたかのような音。

 事実、納刀の音が今さら追い付いたのだ。

 競合種の一撃殺し。

 現代でこの偉業を可能とする人間は、たったの三人。

 聖次郎は、うず高い肉塊の山と化したセントバーナードの成れ果てに対し、深々とお辞儀をした。

 剣で何かを仕留めた時、彼が行う動作だった。

 そして桐江聖次郎は、兄妹を顧みて――、


「競合種も滅病も、意思疏通が不可能であるだけで、記憶は在るのかも知れませんね」

 リナの淡々とした呟きが、回想の終わりを告げた。

「脳儀学的には、必ずしも間違いでは無い。

 だが、その推測を基に、私が対象の行動原理を変える事は不可能だ。

 競合種は、例外無く無差別殺人に及ぶ。

 桐江准将がきなこを仕留めねば、あれはお前や近隣住民を殺害して居た。

 生前の関係がどう在れ、その本性がどう在れ。

 それだけが、事実である」

 未来人(ルカ)は、やはり何の情感も無く告げた。

 リナはただ、何も埋葬されて居ない墓に淡々とした視線を落とすのみ。

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