1.幼馴染とは
新連載初めてみました。ダンジョン運営奮闘記とは別の毛色になりますが、お付き合いいただければ幸いです。
幼馴染という言葉がある。
文字通り、幼い頃に親しくしていた友人のことを表している。
そして良く言われるのが、異性の幼馴染がいるなんて羨ましいという言葉だ。
それは本当か?
僕はそのことに疑問を感じずには居られない。
だって考えても見て欲しい、異性の幼馴染と言っても、あくまで幼馴染な訳だ。幼い頃は仲良くしていたとしても、成長してからもずっと仲が良いとは限らない。
小学生低学年くらいまではまだいいだろう。しかしだ、小学生高学年、遅くとも中学生になってからはお互い異性を意識し始める年頃だ。
そんな中いつまでも幼馴染と仲良くという訳にはいかない。
まぁ、恋愛感情に発展してしまえばそうでもないのかもしれないが、普通に考えて恋愛感情抜きにしたら、お互い気まずくなるものだろう?
そうやっていつしか幼馴染とはそれなりの距離を保つようになって、ご近所さんと同じ扱いをするようになる。それが普通というものだ。
アニメやゲームによくあるような、幼馴染が朝起こしてくれるイベントや、両親の居ない時にご飯を作ってくれたりするようなことは、普通は起こらない。
同じ学校に一緒に登校したりすることも、ましてや弁当まで作ってくれるような存在など天然記念物と言ってもいい。
だから僕は声を大にして言いたい。
結局、異性の幼馴染が居て得をする奴なんて、世の中にはほとんどいないんだよ!
そう、僕こと神納スバル(かんのすばる)は、異性の幼馴染と疎遠になった人物……だった。
離れることがあればまた近づくこともある。それは本人の意思に関わらず訪れるものなのだと、僕は思い知ることになる……意外な形で。
これから起こる出来事は、僕と幼馴染の山本カナコ、それから一人の女性との間にあった、とある事件の記録である──