12_門の意味
「お帰り」
4人はローザとマルクスの出迎えを受けた。
「どうだった?」
「えーと」
居間に戻って二人に向こうでの様子を話す。
「門の向こうには行かずに戻ってきたと。」
「はい。100以上の世界を覗いたりしたんですがどれもピンとこなくて。」
「100以上、それは凄いな。」
マルクスは紅茶にブランデーを垂らし、香りを楽しんでいる。
「門の中で見えた光景、扉から扉へ渡る光の柱。
そして周囲の何かを吸い込む扉。」
ディジーの最後の言葉にエドは首を傾げた。
「何それ、僕は見てないけど。」
それに対し、タイガが答える。
「僕も見た。エドの背中側だったし、随分離れた場所だったから気が付かなったんじゃないかな。」
「私やタイガの背中側でも起こっていたかもしれないけど、私が見たのも相当遠くだったしね。」
「それで、あの光の柱は前回までの僕達じゃないかと思っているが何かあるのか?」
教授の言葉にディジーとタイガは顔を見合わせ、一つ頷くとディジーが話し始めた。
「扉の中で、扉の目的と河川管理の話をしましたよね。」
「ああ。一度開くと癖がつくっていう話だったな。」
「であの門ですがもしかすると河川管理の堤防と同じ役目を果たしているんじゃないかと思うんです。」
「ガス抜きか。」
マルクスの言葉に頷いた。
「高まった歪みを解消するために門を開け、別の世界に力を逃がす。
それが門の本来の目的ではないはないでしょうか。」
「試練は関係ないと。」
「少なくとも門にとっては関係ない。そう思います。」
沈黙が降りた。
「じゃあ。ディジー達が見たという周囲を吸い込む門というのは?」
「燃料不足か何かで力を必要とした世界が門から力を奪おうとしている?」
「僕が見た光景では周囲を吸い込む風圧か何かで他の扉が開いて光の柱がその門に流れていってましたね。」
「・・・」
エドが恐る恐る言葉を発している。
「もし僕達の近くでそういう門が現れたら?」
「一緒に飲み込まれたんじゃないのかな。」
聞きたくないと言わんばかりにエドが首を横に振った。
「話を戻そう。」
教授の言葉に皆が視線を合わせる。
「門の本来の役目に試練は関係ない・・・これについては私も異論はないよ。」
「そうじゃな。」
「だけど、私達もマルクスさんや父も試練を受けた。これをどう見る?」
「あの門を設定した人達が制御するために扉に制限を掛けたんじゃないかと思う。」
「氾濫を制御するためにわざと氾濫を起こす場所を設定し、台風の時に条件が整うと水門を開放して溜まった力を逃がす。
この水門を開放する条件に試練を設定した。」
「誰がって?門の番人か。」
「多分そう。」
「好き勝手に開くと危なそうだし・・・」
「そうだな。その手の水門の管理は国の仕事のはず。
そして不用意に近づけば逮捕される。」
「アーサーが死んだのもその門の防衛機能に引っ掛かった結果なのだろな。」
「それじゃ僕達って一体なんなの。」
「門を開ける条件、鍵の役目なんだろうね。」
「思い返すと最初の時はもの凄い力で押し流される様の向こうに渡った。」
「三人とも気絶していましたね。」
「二度目は確かにすごい力だったけど僕とリチャードは気絶しなかった。」
「一度経験して慣れたからと思ったけどもしかすると力が最初程力が溜まっていなかったからが原因なのか?」
「有り得る話ですね。」
「最後の試練があまり起こらないのは条件だけでなく、2度のガス抜きで扉に力が足りてないというのもあるのか。」
「その可能性は高いと思います。」
居間に集う6人は黙ってカップに残った冷めた紅茶を飲み干した。
全員に新しい紅茶を注ぐ。
「最後の試練はまともに終わった例の方が少ないと聞いているが・・・」
「秩序を示す・・・一応いろんな形の秩序を見てきた訳よね。」
ローザの言葉にディジーは頷いた。
「はい。今回のこれが試練なんでしょうか?」
沈黙が居間に満ちている。
「分からんな。」
「ええ、分かりませんね。」
「門が関わっているのは間違いないが試練なのか?」
そう言葉を交わす、ローザとマルクス。
黙ってカップを両手で包んでいたタイガが言葉を吐き出した。
「マルクスさん。これが試練なのかどうなのかどうでもいいです。」
タイガに視線が集まる。
「マルクスさん、僕達が見た光景を他人に夢か何かで見せるよう道具って作れますか?」
マルクスは顎に手を当てしばし考えている。
「石板に似たような道具はいくつかあるが何に使う?」
タイガは疲れた顔で答えた。
「あいつらに見せてやりたいんですよ。あの世界を。
自分達の望みが齎す結果と言う奴を。」
「あいつら?」
首を傾げる教授、エドに対し、ローザやマルクスは誰かは分かったらしい。
ディジーもだ。
「あーあ、最近私やあの人が相手にしないもんだから貴方のところに来ているの?」
「ええ、いい加減にしろって思っています。」
「・・・やっぱり・・・最近大人しいと思ったらそういうことね・・・」
疲れた顔に怒りを滲ませるタイガにローザは頭を抱えていた。
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