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ヘキサグラム~我ここに在り  作者:
最終章 我ここにあり・二つの世界

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11_覗き窓の向こう側

手近な覗き窓の前に4人は集まった。

「触るのは覗き窓の蓋だけで取っ手には絶対触らないこと!」

決め事を唱和してそっと覗き窓の蓋を開ける。


・・・そこからは凄まじい光と爆音が響いていた・・・

「戦争?」

覗き穴の向こうには焦土が広がっている。

破壊された建物に戦車?兵士らしき人の死体?

4人は覗き窓に蓋をし、そっとその扉から離れた。


別の扉の前に集まる。

顔を見合わせて一つ頷いた後、覗き窓の蓋を開ける。

静まりかえった静寂の世界。

柔らかい光が尖塔に降り注いでいる。

生き物の気配はない。

再び覗き窓に蓋をして扉から離れた。


「極端な世界だね。」

エドの言葉に皆が頷いた。

「どっちも死の気配が色濃い。」

教授の言葉にエドが驚いている。

「えっと最初はともかく次のは凄く綺麗な景色だと思ったけど?」

「そこに生き物は居た?草木は生えていた?」

「・・・ない・・・」

「そういうこと。あそこはどう見ても滅びた後の世界よ。」

落ち込んだエドは周囲を見回して声を上げる。

「どうした?」

「・・・さっきの扉が無い・・・」


「選ばなかったから消えたか遠ざかったのかな。」

「そうみたい。」

自分達の近くにはまたさっきとは異なる扉が出現している。

この扉にも覗き窓があるので覗こうと立ち上がったところ、

「伏せて!!!」

ディジーの言葉に4人は身を屈めた。

その上をまた光の道が通り過ぎていく。

落ち着いたところで周囲を見回すと光が通り抜けたと思われる扉は消えていた・・・


気を落ち着かせて近くの扉の向こうを覗く。

そこには塩の柱となった女性の姿があった。

遠くに燃え盛る都市が見える。

「今度はソドムとゴモラか。」

隣の扉を覗く。

そこにはさまざまな生き物を載せた船が荒らしの中、出航しようとしていた。

「箱舟ね。」

その隣の扉を覗く。

そこには雷で崩れる塔の姿がある、

「バベルの塔?」


「・・・今度は旧約聖書の天罰シリーズ?」

「みたいだね。最後はモーゼの出エジプト記か。」

海が割れる光景は中々荘厳だった。

「覗く分には良いけど行きたくないね。」

「同感。」

教授やエドも頷いている。

「あれ?キリスト教徒なら行ってみたいと思わないんですか?」

ディジーの言葉に教授は首を横に振った。

「ランカスターの館周辺に教会は無いし、洗礼も受けてない。」

「って大丈夫なんですか?それ。」

「言わなきゃバレないよ。」

「と言うことはエドも?」

「うん。お祖父様は錬金術師ということもあってキリスト教は距離を置いている。」

「そうなんですか。」

「そういう君達は?」

「僕達は実家の神様を祀る神道の信徒です。」

「教会とか平気なのか?」

「郷に入っては郷に従え、その土地の神様には敬意を払えなので問題ないです。」

「宗教戦争は起こりそうないか。」

「属性によって対立する神様は居ますけどね。」

「例えば?」

「森の神と鍛冶の神なんかは対立しやすいですね。

鍛冶の為、木を切るって炭を作るので。」

「そういう時ばどうしているんだ?」

「お互い協定を結ぶんですよ。

切った木の本数以上の木を植えるとか。

木材を提供する代わりい鍛冶で出来た製品を譲り受けたりとか。」


また別の扉群が周囲に現れた。

今度の扉には何かのシンボルが刻まれている。

よく見ると下にはヒエログリフがシンボルを囲むように刻まれていた。

「この扉には覗き窓が無いですね。」

「代わりにヒエログリフ、これは破壊の神セトか。」

「却下、そんな世界には行きたくないです。」

「これはオリシスとイシス。」

「なるほど。破壊と秩序ですね。」

しばらく教授が扉のシンボルを読み解いていく。

ラーにアヌビス、ホルス、ハトホル・・・

4人は扉をあけることなくその場を離れた。


「今度はケルト?」

扉にはダグザに関わるシンボルが刻まれている。

覗くと一人のドルイドを囲み豊穣の祈りを捧げる光景が広がっていた。

次の扉は犬の姿が描かれている。

覗き窓の向こうには番犬と争う少年の姿が見える。

「クーフーリンか」

「そう言えばアーサー王もこの系列でしたね。」

「もしかするとこの扉のどれかは前回の世界に繋がっているかな?」

「そうかもね。」

「探します?」

「止めておこう。ここはここまでにして他を当たろう。」

そう言って別の扉がある方に移動した。


それから暫く覗き窓を覗いていたが行ってみようと言う世界は無かった。

「一旦戻ります?」

「そうだね。戻れるのかな。」

自分達の周囲には幾つもの扉がある。

「どれが自分達が出てきた扉なんだろう?分かる。」

エドの言葉にディジーは頷いた。

「ええ、こっちです。」

「何で分かるの?」

「こういう時には必ず目印を付けておくんですよ。」

迷うことなく歩き出すディジーとタイガ。

「何時そんなことを?」

「ここに来た直後ですね。」

「扉の向こうに母さんやマルクスさんの気配があったから間違いはないと思いますよ。」


そうやって一つの扉の前にやってきた。

その扉にはヘキサグラムが刻まれている。

「うん、この向こうに母さんの気配がする。」

「開くと良いけど。」

そう言ってディジーは扉に手を掛けた。

閲覧、有難うございます。

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