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ヘキサグラム~我ここに在り  作者:
最終章 我ここにあり・二つの世界

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05_阿頼耶識

時間になったのでタブレットを立ち上げる。

簡単な近況報告の後、日中の出来事に触れた。

「そちらもですか。」

ディジーは深いため息をついた。

「そうなると今回の一件、最後の試練の可能性が高いですね。」

「そうだな。」

「でもさ、今回は見てただけで戻ってきたよね。」

「ええ、多分ですが、単なる先触れで本格的には始まっていないということなのでしょう。」

「・・・」

沈黙の後。エドが口を開く。

「前はどうなったのかな?」

それに対し、ディジーが答える。

「父から聞いたのですが始まる前に父は日本に戻ってます。」

続けて、教授。

「そして何かことが起こる前に父は亡くなった。」

「ということはお祖父様も情報は持ってないということ?」

「そうだろうね。持っているとしたら番人達じゃないのかな。」

「番人って?誰」

「「・・・」」

エドの言葉にディジーと教授はしばし沈黙する。

ディジーが答えようとしたところで周囲が白く塗りつぶされた。


「またか・・・」

そういう声が近くで聞こえた。

「教授?」

「リチャード、ディジー」

姿は見えないが近くで声がする。

「今回は近くにいるみたいですね。」

「そのようだ。」

「なんでだろ?」

「会話していたらから?」

意味もなく小声で会話していたら何かの気配を感じてそちらに意識を向ける。


・・・そこは何か近未来風の場所だった・・・

相変わらずお互いの姿は見えないが声は聞こえる。

「わっ、ここどこ?」

「なんか見覚えのあるような無い様な場所ですね。」

目に映る人々は端末を片手に小声で短く会話して歩いている。

喋っている内容は短く何というか省略されこれで通じるのかというような感覚を覚える。

暫く周囲の会話に耳を傾けていたが、教授の声が聞こえてそちらに意識を向ける。

「多分、元になったのは英語だろうが・・・暗号か?」

「そうですね。単語の羅列?単語もかなり省略されているように思います。」

「うーーん、前に聞いた高校生位が身内だけで盛り上がって話している会話に似ている気がする。」

「言いたい意味は理解しました・・・身内だけのチャットのやりとりみたいですね。」

自分達がお互いの姿が見えない様に向こうもこちらが見えていないし、聞こえてもいないのだろう。

そしてそこの住人達はお互い端末だけを相手に会話をしていて周りは見えていないようだった。

そうこうする内に意識は元に戻っていた。


「今のは一体・・・」

画面同士で顔を見合わせる。

3人とも見ていただけ、何もしていないし何も出来ないのだろう。

そんな気がする。

「何か3D映画でも見ているような気がしますね。」

「そうだな。インタラクティブじゃない。」

「姿だけじゃない。こっちの会話も聞こえてない感じ。」

「午後のは昔のスペインの街並みだったが・・・」

「200年程前のセビリアって言っていたね。」

「そう思いました?私も資料で見たものと似ていると思いました。」

「今回は近未来?でもなんか古臭い気がする。」

「そうですね。昔のSF映画か何かのよう印象を持ちました。」

ディジーとエドで暫く会話をしていたが・・・

「教授、あの世界に何か見覚えてがあります?」

黙っている教授に話を振った。

ディジーの問いに暫く黙考を続けていた教授が顔を上げる。

「昔資料として見た映画を思い出した。」

「何の映画ですか。」

「1984年」

「なにそれ?」

クエスチョンマークを浮かべるエドに対し、ディジーは納得の表情を浮かべた。

「ジョージ・オーウェルですね。今から80年程前に発表された小説を元にした映画でしたか。」

「ああまあ内容や表現はさておき、あの時点で50年後の世界を予測して書かれた小説だ。」

興味があるなら小説を読むか映画を見てみろとエドに言う。

「予言?じゃなくて予測?当たっているの?」

さらにクエスチョンマークがエドの顔に増えた。

「当たっているというかジョージ・オーウェルが危惧した世界は一部現実化していると思うね。」

「実家のお隣が特にそう。」

ディジーの言葉にエドは鸚鵡返しに「実家のお隣って・・・」と呟いている。

さらにクエスチョンマークが増えたようだ。


「エドやディジーも口にしていたがなんか見覚えのあるとか近未来?でもなんか古臭いとか。・・・」

また黙考に入った教授に対し、エドが首を振った。

「ディジーは知っていたみたいだけど、僕は1984年なんて読んだことも無いし映画も見てないよ?」

「阿頼耶識・・・」

「何それ?」

「無意識の領域、個人存在の根本にある、通常は意識されることが無い部分

簡単に言うと人の無意識の部分は人類共通で繋がっているという考え方かな。」

「それで?」

「エド自身は知らないかもしれないけど多くの人が認識しているから無意識では知っているとでも言えば良いのかな。」

「よく分からない・・・あの世界、映画の世界なの?」

「いや、色々アップデートされているから映画そのものとは言えないだろう。」

「でもベースになっているのは間違いないでしょうね。現代風にリメイクしたとでも言えるかも。」

「でも1984年なんて半世紀はいかないけど40年以上昔だよ?」

「年に拘らず、書かれた時点で50年程未来の世界を予測したと思いなさい。」

閲覧、有難うございます。

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