再会
ディジーは帰国してから一月程で戻ってきた。
帰国中については課題を貰い提出している。
「久しぶりです。父に聞きましたがジルフォード君の治療は順調なみたいですね。」
帰国後の後始末が終わって教授の研究室に顔を出す。
エドは弟のお見舞いに行ったとのことで不在だった。
「ああ、君の父上から貰ったレシピがうまくハマったという話だ。
ただ・・・全ての患者に有効ではないことと必要な素材が希少なことで病の特効薬とはならないとアルベルトが言っていたよ。」
お土産を渡し、お茶の準備を用意しながらディジーが答える。
「そうですよね。月夜草の蜜がこちらで採れるようになれば治る患者も増えるんでしょうけど。」
「そうだな。こちらではやっと花が咲くようになった。」
「えっ?こっちはやっと新芽が出て育ち始めたところで花はもう少し先って状態なのに!凄いですね。」
「育っているんだ。」
「ええ。帰る前に覗いた時はわさわさと葉を茂らせて増えてましたね。
花はもう少し環境に慣れてからじゃないと厳しいのかな。」
「苗もかい。」
「種も苗も一緒ですね。元気に増えているからその点は安心なんですが。
そちらは厳しいんじゃないかと思っていたのですがもう花が咲いたんですね。
やはりこっちの植物だからかな。」
「ああ、そのことだが・・・」
秋休み、ディジーは教授に招待されて今回はお客として再びランカスターの城にやってきた。
ジルフォードは病院を退院し、こちらでリハビリに励んでいるというので会えることを楽しみにしている。
「初めまして、私は首藤菊音、ディジーと呼んでください。」
「初めまして、僕はジルフォード、ジルと呼んでください。」
和やかに会話を楽しんだ後、教授に連れられて城の近くの湖にやってきた。
「この先に月夜草を植えた温室がある。」
そういう教授の視線の先に妙に目を引く石碑がある。
えっと教授の顔を見上げた。
「月夜草を植えて1週間程経った頃だった。
こちらでは何とか枯れないって状態で元気が無かったんだが・・・」
と石碑を見る。
「気が付いたらあの石碑がそこにあった。」
「・・・」
「・・・」
「ここって聖剣所縁の湖じゃないですよね?」
「そう聞いている。」
「あの石碑がやってきてから元気になって花が咲いた?」
「そうだ。」
二人は石碑の前にやってきた。
向うで見た時と異なり苔むし、一部崩れた石碑である。
あの日の状態で自然に馴染んだ姿であった。
「やっときた!」
嬉しそうな声がする。
石碑から光の塊が2つ、現れた。
光はディジーの傍をクルクルと周り、目の前で泊まった。
「マヤとテトラ?こっちに来たの!?」
「うん、主様がここなら大丈夫だって!」
光の鱗粉が降り注いでいた。
ひとしきり会話した後、4人で石碑を囲む。
「昔からずっとここに在ったみたいだね。」
「うん!主様がそうなるようにお願いしたって言っていた。」
テトラの言葉にディジーは教授と顔を見合わせる。
「お願いした?」
「ここの守り手に頼んだって言った。」
今度はマヤが答える。
ディジーは周囲を見回し、
「確かに居られますね。」
「分かるのか。」
「ええ、元々ここは靴屋の小人が居るから他に比べればずっと強い力に満ちた場所ですが・・・」
「どうした?」
「月夜草が育つのとは少し違う環境だと思っていたから厳しいかと思っていました。
マヤやテトラが居るなら大丈夫でしょう。」
「そうか。」
マヤとテトラがディジーの顔の周りに集まった。
「ねえねえ。ディジーのところの主様に挨拶がしたいんだけど。」
「お願いできますか?」
えっと暫く考えてから顔を上げる。
「守り神様の許可が出れば可能です。
移動には前の様に依り代に宿ってもらうことになりますが。」
「えー。」
そういうテトラの頭をマヤが叩く。
「無理を言わないの。済みませんが許可を取って貰えますか。」
「少し時間を頂くことになると思います。
それで良ければ。」
「有難うお願いね。」
閲覧、有難うございます。




