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ヘキサグラム~我ここに在り  作者:
閑話2

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緑の手

その日、菊音は妹と家の守り神のいる神域に向かった。

神域の中心、守り神の祭壇の前で持ち帰った品々を捧げ、許しを請う。

「大いなる守り主様、貴方様の庭でこれらを育てたく思います。」

跪き祈る二人を柔らかな光包む。

同じように祭壇の品々にも光が降ってきた。

「ありがとう存じます。お礼にこの蜜をお納めください。」

菊音は月夜草の蜜が入った小瓶を掲げた。


「ここかな?」

守り神の示した場所で二人は鍬を手に土を耕す。

暫く作業を続け、薬草の周囲に柵を巡らした。

最後にご神水を撒いて深く礼をする。

「これで終わり、椿、後はよろしく。」

「はい、承知しました。」

二人は満足そうに周囲を見渡す。

歴代の須藤家の者達が集めてきた薬草や霊木、妖精樹、精霊樹がこの神域には植わっている。

ここで育てられ生み出されたものは人のみならず各地の守り主達を癒し称える為に使われている。

二人は神域を後にして自分達の家に戻っていった。


「お疲れ様。」

義姉がお茶を用意して待っていた。

傍らには遊び疲れた甥が眠っている。

「これでやっと一息付ける。」

菊音はちゃぶ台に突っ伏した。

「昨日はたいへんだったものね。」

ここと同じような神域は幾つもある。

昨日は各地の神域の守り手が集まり自身の神域で育てる薬草を選ぶ場が設けられていた。

神域には向き不向きがあり、育つ薬草も異なる。

どれをどこが育てるか喧々諤々賑やかな争奪戦が繰り広げられていたのだ。

持ち帰ったものの特権で須藤家の分は先に避けてある。

当然それを集まった者達も知っている。

欲しいものを得られなかった者達がそれを狙って交渉したりと大わらわな状態となっていた。

そうして、菊音の持ち帰った品々は伊勢に出雲など各地へ届けられた。


そして今、須藤家の神域にそれらを植え終えた。

「育ったら株分けして余所に回さないとね。」

椿は神域の守り手の中でも優れた緑の手の持ち主と知られている。

緑の手としての能力は本人の資質だけでなく神域の主との相性も重要である。

なので椿が余所の神域で同じように育てられる訳ではない。

が、各地の神域で培われた知見は有益であり、守り手達は研修と称して各々の神域を訪れている。

暫くは活発な交流が図られることであろう。


「30年前、お義父さんが持ち帰った時も大変だったみたいね。」

賢者の石板と各種の薬草、それらはとんでもない騒ぎを引き起こしたらしい。

あくまでも国の裏側の話で表に出ることは無かったが当時を知る家の者たちは遠い目をしていた。

今回はそこまでのインパクトは無いがそれに近いものがあった。

賢者の石板には持ち帰った薬草達の効能や育て方も載っており、それが騒ぎに拍車をかけている。

神域で育てられているものは効果が高いが量が少ないので基本的に国を守る存在に対して使われ、一般には出されることはない。

そして今回もまたこれらの存在が表に出ることはないだろう。

菊音はそれを残念とは思わない。

全てに行き渡らせる量が無い以上混乱を避けるために隠すしかないのだから。


閲覧、有難うございます。

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