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リゼの悪役令嬢日記  作者: 風野うた
番外編 双子とルイス

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33、双子とルイス 30

楽しい物語になるよう心がけています。

誤字脱字等のご連絡は感謝いたします。


 「触れ合うと、こんなに幸せな気分になるのですね」


 耳まで真っ赤になった顔で、リゼは言う。


こんなに可愛くて、愛しいリゼ。


お前は、おれの心の中の激情を知らない。


なのに、その宝石のように輝くエメラルド色の瞳で一点の曇りもなく、おれを信じるのか?


少しでも気を抜いたらおれは理性を忘れてしまいそうなのに。


「ああ、そうだな。もっと触れたくなるのが難点だけどな」


 おれは、自分に言い聞かせる。


リゼの心が欲しいのなら、エゴを押し付けてはダメだと。


「ルイス様、眉間に皺が寄っていますよー」


 リゼはおれの眉間の皺をその細い指先で撫でてくる。


「私が頓珍漢なことばかり言うからですよね。すみません」


「いや、おれがリゼを触りたいと我儘を言ったのが悪かったんだ。済まない」


「何で謝るのです?私、ルイス様を触ってみようなんて、考えたこともなかったですから、新鮮でしたよ」


 そう言いながら、無邪気におれの胸板を素手で撫でる。


んー、これは何の苦行だ!?


「リゼ、それ以上触られると、おれは自分を止められなくなるぞ」


 おいおい、そんな曇りなき眼で、おれを真っ直ぐ見るな!と叫びたくなる。


「止められなくなったら、次はどうなります?」


 あ、これ、真剣に手順を聞いているのか。


正直に答えるべきなのか?


身包みを剥がされて行くような気分になるんだが。


「多分、服を脱がす」


「それで、次は?」


 リゼは、何故か楽しそうに、上目遣いでおれを覗き込んでくる。


まさか、おれをからかっているのか?


いや、リゼに限って、それは無いだろう。


「体中に、キスをするかも知れない」


「キャー!!そんなことを!!」


 リゼは両手で顔を覆って、ギャーギャー言い出した。


「そんな他人事のようにされると複雑なのだが、、、」


「恋人ってスゴイですね!」


 おれの話を聞けよ、リゼ~。


かなり勇気を出して“おれの欲望”を言ったんだぞ!!


「ああ、おれと恋人になりたくなってきたか?」


「はい、とっても」


 いや、そんな簡単に垣根を取り払うようなことを言われたら、、、。


「わたし、ルイス様の中身に興味が出て来ましたよ」


「あ、中身、、、。はぁ?中身にか!?」


「はい、とっても筋肉があって、引き締まっていて、カッコいいです」


「・・・・・・」


 どうしよう。


リゼが真っ直ぐ過ぎて、太刀打ち出来ない。


「それは、ありがとう」


「ルイス様って、脱いでも凄そうですよね」


「・・・・・」


 えっ、おれ今、何て言われた?


“脱いでも凄そうですね”って、どういう意味だ!?


「私なんて、ガリガリで全然ダメですよ」


「ええっと、リゼのいう凄いは筋肉があるという意味か?」


「筋肉があっても、ムキムキマッチョはあまり好きではありません。細身なのに実は筋肉がしっかりついているルイス様タイプが好きです!」


 リゼ、何を語り出すんだよ。


「あ、珍しいですね。ルイス様の顔が赤い!」


「体が凄いとか褒められたら、恥ずかしいだろ」


「まー、まー、そう言わず、自信を持ってくださいよ」


 そう言いながら、リゼは、おれの胸を叩く。


勿論、素手で。


おれ、完全に翻弄されてないか?


極め付けは「わたし、ルイス様の身体が大好きです。もっと触ってみたいです」と、こんなことまで言ってくる始末。


「なら、一緒に風呂に入るか?」と、精一杯の仕返しを口にしたのだが、本気で思案しだした。


 ごめん、おれの負けだ。


勢いで、アズの二の舞にはなりたくない。


「リゼ、やっぱり今日も風呂は別々に入ろう」


 おれは、ギブアップを告げた。


「仕方ないですね~」


 リゼは満面の笑みを浮かべる。


何なんだ!?その勝ち誇ったような笑みは!!


「では、私が先に入りますねー」


 そそくさと、バスルームへ向かうリゼを目で追いながら、底の知れない彼女に身震いしてしまった。


あれ、無意識におれを手玉に取っているなら、飛んだ悪女だぞ!!


「はぁ」


 一人になった部屋で、おれは大きなため息を吐いた。



 ベルカノン邸、最終日は本来ならば、夕刻に次の視察先へ出発する予定だった。


 ところが、身ごもった姫をここに匿ってもらうことになった都合で、おれの護衛はここへ残すことにした。


ミヤビも姫の影として置いていく。


おれとリゼは宰相と共に夕刻には王都へ戻る。


それから、アズと姫の結婚式はおれが想像していたよりも、かなり早くなりそうだ。


ベルファント王国は純潔を重んじる。


姫が身ごもっていることは極秘中の極秘でと国王に念押しされた。


そして、結婚式の日取りも最短でというお願いまで、、、。


となると、おれの立太子の日取りも、確実にすっ飛んでしまうだろう。


国内の“領地の視察計画”も、いったん練り直さなければ、、、。


「殿下、息子たちが大変お世話になりました。何でも二人の助っ人を、同時になさられたとか?」


 宰相は、ベルカウのシチューを、スプーンで掬いながら、おれに話しかけた。


「そんなに大層なことはしてない。二人のいる場所を行ったり来たりしたくらいだ」


「いえいえ、それでも常人には到底出来ないことなので、子供たちは驚いたようですよ」


 宰相は視線をレノンとベンジャミンに向けた。


ふたりは食事をしながら、頷いて答える。


 最終日の昼食は、全員そろって、ベルカノン家のダイニングでいただいている。


全員とはいっても、調子が悪い姫と、それに付き添っているアズはここにはいない。


おれの横では、リゼがベルカウのシチューを美味しそうに食べている。


「夫人、一つお聞きしたいのだが、リゼは幼少期、どんな子供だった?」


「エリーゼですか?そうですね、いつも外で遊んでいましたわ。ブロイ君や庭師のお孫さんも一緒に」


「ルイス様、そんなことは私に直接聞いてくださいよ」


 横から、リゼが不満そうに口を挟んでくる。


「いや、家族から見たリゼを知りたくて」


「いい話なんて出てきませんよ」


 リゼは口を尖らせる。


小鳥のようで可愛い。


「殿下は何を聞いても、そうやって優しい目で、エリーゼを許しそうですよね、フフフ」


 夫人は笑う。


おれって、そんな風に見えているのかと少し驚いた。


「うん、ルイス兄様は、姉様に甘々だもんね」


 レノンが茶々を入れる。


「でも、お風呂は断られたんだよねー」


 あ、余計なことを、、、。


レノンの一言で、食卓の空気が凍り付いた。


さすがに、宰相の前でそんな話題を出して欲しくはなかったのだが。


「レノン、それは違うわ」


 勢いよく、リゼが口を開いた。


おれはとっさに手を伸ばし、リゼの口を塞いだ。


リゼが恨めしそうに、おれを見る。


いや、だって何を言い出すか分からないのに野放しには出来ないだろ。


「ふふふっ、もう何?殿下も焦ることがあるのですね」


 夫人は、とっても楽しそうに笑い出した。


この感じ、リゼに似てる!!


ああ、やっぱり親子なんだなー。


おれが感慨深く夫人を見ているうちに、おれの手はリゼの口から離れていた。


「お風呂を断られたのは私の方よ!!」


 あーーーーー!!シマッタ!!


リゼ、何でそんな余計なことを言うんだ!!


「へー、エリーゼ姉様そうなんだ!?」


 黙って食事をしていたシータが、大きな声を出す。


「そうなの。だから、私が断ったっていうのは間違い」


 話を変な方に修正しないでくれ。


おれ、宰相が怖くて、首を右に回したくない。


「エリーゼ、殿下。一つお願いがあります」


 宰相の低い声が響き渡り、おれの心臓がギューッとなる。


「何?お父様」


 リゼは、全く動じず、宰相に挑む。


仕方なく、おれも右に居る宰相の方を向く。


「アズール殿とマーゴット王女殿下の結婚式が先に執り行われることになりました」


「それで?」


 リゼはおれと話をする時とは別人のように宰相へ鋭く切り込む。


「あなた方の結婚式までは、くれぐれもお子を作られませんように、よろしくお願いいたします」


 宰相はリゼではなく、おれに向かって言った。


「その心配は微塵もないわ!!」


 リゼは立ち上がり、宰相に啖呵を切った。


シマッタ、、、油断した。


リゼを止め損なってしまった。


「そ、そうかい?いや、君たちは、もうずいぶん前から、寝室を共にしているだろう?」


「仲良く熟睡しているだけです!!恋人らしさの欠片もなく、ええ、そうよ。全く問題ないわ」


 リゼ、それ以上言わないでくれ、、、。


おれは、どんな顔をしたらいいのか分からなくなって来た。


「エリーゼ、それを私は信じていいのかい?」


「勿論よ。私達に子供が出来ることはないわ」


 皆の視線が、おれに突き刺さる。


痛い、痛過ぎる。


「殿下、信じて宜しいですか?」


 宰相は、非情にも、おれに確認を取ろうとする。


「ああ、その可能性は全くない」


「では、何故、一緒に、、、(寝る必要が?)」


 宰相は失言とも取れる発言をした。


まあ、そう言いたくなる気持ちも、男なら分かる。


「あなた!別に仲良く一緒に寝ているだけでもいいじゃないの。それは二人の自由だわ」


 夫人がフォローを入れる。


だが、何となく心を抉られたような気がするのは何故だ!?


『ルイス様、私、何かマズかったですかね?』


 このタイミングで漸く、リゼは自分の発言が、マズかったと気付いたようだ。


『ああ、一般的に健全な男女は、仲良く枕を並べて、ぐっすり眠ったりはしないからな』


 おれたちが念話でやり取りをしているとベンジャミンが手を上げた。


「ベンジャミン、どうしたんだい?」


 宰相が尋ねた。


「ルイス兄様と姉様が、仲良くベッドで眠ることの何が変なの?」


 あ、リゼ二号がここにいた。


どうする、宰相?


「ああ、そうだね。私が少し変な気を回し過ぎたようだ。ベンジャミン、後で、ゆっくり話そう」


「うーん、分かった!」


 とりあえず、食卓での大惨事は防げたようだ。


ベンジャミンが聞き分けのいい子で良かったな、宰相。


『みんなのこの反応を見る限り、ルイス様って、かなり私を気遣ってくれていたということですよね?』


 リゼが、念話で聞いて来た。


『気遣うというのは違う。リゼが、おれと同じ気持ちになるまで待とうと思っていただけだ』


『で、私がその男女のあれこれを全く理解してなかったということで、ルイス様は待ちぼうけに?』


『リゼ、その雑に確信を突いてくるのは何なんだ?ああ、その通りだ』


『今後はご相談の上、ご期待に応えられるか検討しますね』


『微妙に壁は立ててくるんだな。分かった。割り切って、今後はドンドン欲望を口にしていくから、覚悟しておけよ!!』


『あはははは』


 いや、笑い事じゃないんだよ。


おれは、単なるヘタレとして、皆に晒されているこの状況に気付いてくれ!!


「まあ、殿下がエリーゼを本当に大切にしてくださっていると分かり安心いたしました。余計な話を持ち出してしまい申し訳ございませんでした」


「いや、親心だと分かっているから、気にしなくていい」


 宰相が力技で話をまとめて、この話題は終わった。


おれのベルカウシチューの皿が空になっている。


話しながら、口に運んだ記憶はあるのだけど、全く味を覚えていない。



「ルイス兄様、王都に遊びに行くのって、王女様たちの結婚式でもいい?」


 レノンが、おれに聞いてきた。


「ああ、それは良いアイデアだな。ベールを持つ手伝いでもしたらどうだ?」


「あら!!それは素敵ね。いいんじゃない?」


「ボクとレノンとベンジャミンで持ったら良いかもしれないねー」


 シータも話に入る。


「王女様が良いって言ったら、ぼくは喜んでお手伝いするよ」


 ベンジャミンが、シータとレノンに向かって言った。


この二日で一番変わったのは、ベンジャミンだろう。


周りにいる人のいいと思ったところをどんどん吸収している。


今の語り口調は、ロイっぽい。


 さてさて、ベルカノン領のベルカノン邸、わずか三日間の滞在だったのに、猛烈に濃かった。


毎週末、ここへ通うとなると、これから楽しくなりそうだ。


リゼも出来るだけ連れて来てあげよう。


姫も喜ぶだろうし。


おれは、将来のちびっ子側近たちを眺めながら、こっそり、リゼのシチューをスプーンで掬って飲んだ。


「あ!!」


リゼが恨めしそうな目で、おれを見る。


いや、これ滅茶苦茶旨いじゃないか!!!


「リゼ、これ旨過ぎるよな?」


この味がしなかったって、おれ、どれだけ動揺していたんだよ。


まだまだ、修業が足りない。


もっと強い心を身に付けよう。


「本当に美味し過ぎますよねー!!ルイス様、量が足りなかったんですねー。勝手に盗らないで、欲しいなら欲しいって言ってくださいよ!アハハハ」


優しく呑気に笑ってくれるリゼが愛おしい。


いつかその全てを、いや、おれのすべてを捧げる。


待ってろよ!!


そして、これからもよろしくな!


おれのリゼ!!



-----番外編・双子とルイス・おしまい。






ーーーーーランドル王国速報ーーーーーー



 隣国の王女とバッファエル公爵家の長男アズールの結婚が決定した。


結婚式は12月15日午前10時、王都、聖ラファエル教会にて。



 また、それに伴い、ランドル王国の国王陛下は、友好国ベルファント王国が、ランドル王国の公爵家へ王女殿下を降嫁させることに敬意を示して、王女殿下の結婚式を優先し、自国の王子の立太子式典及び、結婚式の日程を後日へ変更することを決めた。


ルイス王子殿下、立太子の儀 翌年三月一五日へ変更。


ルイス王太子殿下、及びベルカノン公爵令嬢エリーゼの結婚式 翌年六月六日に変更。



以上、各部門へ周知徹底すること。

最後まで読んで下さりありがとうございます。


久しぶりにランドル王国の物語を書けて、毎日とても楽しかったです。


物語はまだまだ続きます。


第二部始動まで、どうぞ楽しみに待っていてください!!


評価やご感想もぜひお寄せください。


第二部開始の際は活動報告でお知らせいたします。


ブックマーク登録もお忘れなく!!


では、またお会いしましょう!!!




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