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リゼの悪役令嬢日記  作者: 風野うた
番外編 双子とルイス

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32、双子とルイス 29

楽しい物語になるよう心がけています。

誤字脱字等のご連絡は感謝いたします。


 時刻は二十二時、ここは玄関ロビー。


レノンとベンジャミンもお見送りをするために部屋から降りて来た。


今から、ルイス様が、ロイ様とロゼ様、そして、お二人の護衛をベルファント王国まで送って行く。


「ロイ王太子殿下、いつかベルファント王国に遊びに行ってもいいですか?」


 レノンが、ロイ様に話しかけている声が聞こえて来た。


「レノン、直談判中か?」


 私の耳元で、ルイス様が囁いた。


「直談判!?」


 私は聞き返す。


「ああ、ベルファント王国に行ってみたいって、さっき話していた」


 へー、そうなのね!?


 レノン、随分と意欲が出てきたわね。


「勿論、いつでも大歓迎だよ」


 ロイ様は、優しく微笑む。


レノンは、とても嬉しそうだ。


ベンジャミンは、特に何かを言うわけでもなく、穏やかな表情でお見送りをしている。


昨日、私たちがここへ到着した時の様子とは大違い。


たった二日で、双子の邪悪な雰囲気は何処かへ消え去った。


「あの子達、楽しかったのでしょうねー」


「ああ、日々、持て余していたんだろうな。本当にいいタイミングだったと思う」


 ルイス様は私の背中をポンポンと軽く叩く。


「それじゃあ、行ってくる」


「行ってらっしゃい。お気をつけて!」


 私の頬に触れるだけのキスをして、ルイス様はロイ様達の方へ歩いて行った。


「ロイ、そろそろ行こう。護衛は?」


「正面玄関の前に並んで待っているよ。僕らだけじゃなくて護衛まで送ってくれてありがとう」


「いや、置いていかれたら護衛も困るだろう。気にしなくていい」


 ルイス様は、ロイ様とロゼ様を促して、玄関を出る。


「ロゼ様も、次に会う日までお元気で!」


 後を追いながら、お別れの挨拶をするとロゼ様は立ち止まって、私の方を向いた。


「エリーゼ様もお元気で!義妹のことをよろしくお願いいたします」


 ロゼ様は挨拶を言い終えると、美しいカテーシーをした。


私も滅多にしないカテーシーで答える。


互いに顔を上げて、少し笑った。


ロゼ様とこういう風に儀礼的なことをするのは、くすぐったい。


「ロゼ殿、出発してもいいだろうか?」


「はい、どうぞよろしくお願いいたします」


 ロゼ様が答えると共に、ベルファント王国の関係者は消えた。


 

「ねえ、やっぱりさ、ルイス兄様が最強だよね」


 レノンが、後ろから話しかけてきた。


「そうかもね」


 私は、軽く受け流す。


「姉様、王立学園って、楽しい?」


「それは、、、秘密よ。実際に行って、自分の目で確認した方が楽しみでしょう?」


「確かに、、、。そうだね」


「ベンジャミン、勉強がんばろうね」


 レノンは、横にいる双子の弟に言った。


「うん、がんばるよ。レノンもね」


 ベンジャミンは、フッと笑う。


「笑うなよ」


 レノンは、ムスッとした。


「そんな風に不機嫌を出したらダメだよ。ロイ王太子殿下やルイス兄様みたいに、いつでも穏やかな“フリ”をしないと」


 私は、ベンジャミンの言った“フリ”という言葉がツボに入った。


子供でも、“フリ”だと気付いちゃうのね。


私も気を付けよう。


「分かったよ。気を付ける。ダメな時は教えて」


「レノンもね」


「うん、ちゃんと言う」


双子は今後、互いのダメなところを教え合い、改めていくらしい。


何て微笑ましいのだろう。


「私がダメな時も教えてくれない?」


「えー、姉様はルイス兄様に教えてもらいなよ」


 レノンは連れない返事をする。


ベンジャミンに視線を向けてみた。


「ぼくもその方がいいと思う。だって、姉様って、ぼく達が注意しても聞かなさそうだもん」


 うっ、グサッと胸に刺さった。


反論できない!!


「分かったわ。ルイス様に頼むから、もういいわ」


 私は潔く諦めた。


「じゃあ、ぼく達は部屋に戻るね。おやすみなさい」


「おやすみなさい、姉様」


 二人は、おやすみの挨拶を告げると、階段を上って行く。


「レノン、ベンジャミン、今日はお疲れ様。いい夢を!!」


 私が階段の下から叫ぶと、二人は揃って勢いよく振り返り、口に人差し指を当てた。


あ、大声!?


早速、注意されちゃった、、、。


私は手で口を覆い、頷いて見せる。


二人は私のしぐさを見て、大きく頷いた。


“夜に大声を出さない”


私は素直に反省して、二人のことを見送った。




 時刻は十二時を回った。


ルイス様が出発して、二時間。


あちらで何かお話でもしているのかしら。


まあ、話すことは沢山あるだろうけど。


もしかして、アズの代わりにルイス様が国王陛下へ謝っているとか?


「ただいま、リゼ!!国王は喜んでいた。だが、複雑な気分だとも言っていたぞ」


「帰るなり、急に何を言い出して、、、」


「いや、勿論、アズと姫がいろいろと順番を飛び越えたことは謝ったけど、国王に怒られたりはしていないと伝えたくて、、、」


ん?この内容は、、、。


「もしかして、また、心の声が偶然聞こえて来たから、それに対するお返事をしてくれているのですか?」


 ルイス様は頷いた。


「分かりました。怒られなくて良かったですね」


「そうやって、あっさり流されると案外寂しいな」


「もう、いちいち怒るのも疲れるんですよ。意図せず聞こえてくるなら、仕方ないですねとしか言えません」


「それは、すまない」


 全く、何が悪いのだか、分からなくなる。


「それで、待っていましたよ。私に何かお話でもあるのですか?」


「うーん、特にはない。ただ、二人の時間が思ったより少ないなーと」


「そうですかね?私達、今日もお昼前まで寝ていたじゃないですか。他の方々は、早朝から活動されていたらしいですよ」


「そうだな」


 ルイス様は羽織っていたジャケットを脱いで、一人掛けのソファの背に乗せ、その前に座った。


私は、二人掛けのソファに一人で腰掛ける。


「特にお話もないのなら、先にお風呂へ入りますか?」


「ああ、そうだな、、、」


ルイス様は、言葉尻を濁しながら、私の方をジーっと見る。

 

「一緒にとか言いませんよね!?」


「言わない」


 即答だった。


あれ?レノンの話だと、“一緒に入ろう”って、言い出すのかなと思ったのに変だな。


まあ、勿論、無理だけど。


「あんまり凹むようなことを、心の中で言わないでくれ」


 ルイス様は頭を抱える。


ん?聞こえていた!?


「やっぱり、本当は一緒に入ろうって、言いたかったんじゃないですか?」


 私は、ルイス様に聞く。


ルイス様は、顔を上げて、私の目を見る。


紫がかった紺色の瞳はとても澄んでいて美しい。


見詰められれば、その奥に潜む強い引力に吸い込まれてしまいそうな錯覚を起こす。


「そんなこと、言えない」


 ボソッと答えて、また顔を伏せたルイス様。


「言えない?」


 私は聞き返す。


「何故?」


「・・・カッコ悪い」


 ブハッと思わず笑ってしまった。


こんなにカッコよくて完璧な人が、そんなことを考えているなんて、思いも寄らなかった。


「抱き枕は気にならないのに、お風呂はカッコ悪いのですかー?」


 私は意地悪く、ルイス様の顔を覗き込む。


「抱き枕は、直接、身体に触れるわけじゃない、、、、」


 語尾が小さくなり、よく聞き取れない。


ふむ、何か拗らせていそうだ。


「直接、触れさせてとは、言いにくいということですか?」


「リゼは嫌がるだろ」


 少し不貞腐れたような言い方が可愛い。


「嫌と言うより、恥ずかしいです。あと、私は男女のことにかなり疎いというのも、アズのことで自覚しました」


 だって、子供がどうしたら出来るとか、、、。


あんなに手順的なものがあるなんて、本当に知らなかったのだ。


十八歳で、それってマズイよね。


ルイス様は再び顔を上げて、私を見る。


「ええっと、リゼは、今まで恋物語を読んだりとか、、、?」


「しないですね。愛読書は、“美味しい薬草“と“ランドル王国の絶景百選“ですから」


 私の回答にルイス様が固まる。


「ル、ルイス様?」


 私は、ルイス様の目の前で手をブンブン振った。


「あのですね。私は恋人がどういう風に過ごすとか、そういう分野は本当に疎いです。今まで、学園の勉強とお妃教育に振り回されて、手一杯でしたから。ほら、おかげ様で、こんなに面白くない人間に育ってしまいましたよ」


「いや、面白くなくはない」


 あ、そこは否定してくるんだ!?


「ルイス様は、私とどういう風に過ごしたいのですか?ギューッと抱きしめたいって思っているくらいは分かるようになりましたけど」


「ええっと、おれは、この先、“おれの欲望”を口にしないと実現しないシステムなのか!?」


「実現するかしないかは、ご相談の上ですけど、何をしたいのかは言ってもらわないと。私が察する可能性はゼロに等しいです。何せ、ネタがありません」


 私の回答を聞くなり、ルイス様はため息を吐いた。


「リゼ、ありがとう。リゼの思考がよく分かった。今まで、おれはリゼが全て分かっているうえで拒んでいると思っていた。つまり、駆け引きをされている気分だったというわけだ」


「拒む?私が駆け引き!?」


ないないない!!私はそんな上級者じゃない!!


「ああ、だから、どこまでは許されるのだろうと常に考えて行動していた。抱き枕も、おれとしてはかなり強気に出たつもりでいた」


ルイス様は髪をかき上げる。


額が出て、顔の精悍さを引き立てる。


「抱き枕は、私に甘えているのかなと感じていたのですけど。それは合っていますか?」


「概ね合っている」


「良かったです。そこから間違えていたら、もう、どうしようと思いましたよ」


「ええっと、そうだな、、、。ちょっと考えていいか?」


「はい」


 ルイス様は、足を組んでその上に肘を乗せ、頬杖をついた。


私は静かに見惚れる。


「あ!私、もしかするとルイス様を見ているだけで幸せだと思っているかも知れません」


「見ているだけで幸せ?」


「だって、物凄くカッコいいですから」


 私は力を込めて言った。


ルイス様は、また、ため息を吐く。


「リゼ、、、。それじゃあ、単なるおれのファンだろう。おれは、恋人枠に入っていないのか?」


「恋人?いえ、私たちは婚約者ですよね」


「ああ、婚約者だな。だが、おれはリゼと恋人のように過ごしたい」


恋人、恋人、、、。


ダメだ、私の周りには恋人のモデルケースがない。


「どうやったら、恋人になれますか?大好きなだけじゃダメですかね」


「もう、どうしたらいいのか、おれも分からなくなって来たぞ、、、」


 ルイス様が、今までに見たことも無いくらい狼狽えている。


「ええっと、何度も言いますけど、教えてください」


「教える?」


「恋人のいろはを教えて下さい。少しずつ慣れていきます。多分」


「あ、そこは多分なんだな」


「だって、何を要求されるのか分からないんですよ。予防線くらい引いておきたいじゃないですか」


「リゼ、案外しっかりしているんだな」


「そうですか?で、ルイス様の言う恋人とは、まず何から始めればいいのでしょう?」


 私がストレートに聞くと、ルイス様は天井を眺めて、何かを考え始める。


そして、こう言った。


「おれに触れたいと思うことはあるか?」


 ん?何、その質問。


「え、ちょっと意味が、、、」


「リゼは、おれの身体に触れたいと思うことがあるか?」


「え、何故?」


 むむむ?髪に触れたいとか、そういうこと???


「おれはリゼの身体に触れたいと思うことがあるからだ」


「んー?いつも抱きついていますよね」


「違う」


 ルイス様は、ジーっと私の胸元へ視線を向ける。


「えっ!?まさか、中身ですか!!」


「ブッ、中身って言い方!!だが、そうだ。リゼの言う、その中身に触れたい」


「え、何で!?」


「何でって、、、。もう、おれ一生触れさせてもらえない運命なのか!?」


 ルイス様は、再び項垂れる。


そんなに触れたいものなの?


ガリガリで、大したものでもないのに?


ふと見ると、ルイス様がとても悲しそうな顔をしていた。


「そんなに悲しそうにしなくてもいいのに」


 私はソファから立ち上がって、ルイス様に近づいた。


そっと艶やかな黒髪を撫でる。


「いま、おれを触りたいって思っただろう?」


ボソッと呟く、ルイス様。


「はい、思いました」


「それと同じ気持ちなんだ」


「中身を触るのがですか?」


「なんか、その中身って言い方、やめないか?」


 中身がお嫌?


でも、服の中身だから、、、。


「ええっと、じゃあ、身?」


「身!?んー、身か!!あーもう!!おれは、そもそも何を言いたかったんだ???分からくなって来た」


「つまり、私の身に触れたいけど、カッコ悪いから言えずにいたってことですよね?」


「微妙にまとめて来たな!」


 ルイス様は苦笑する。


「ありがとうございます」


「ああ、まとめてくれてありがとう」


 ルイス様は両腕を伸ばして、私を膝の上に乗せた。


「私の身なんて、大したことないですよ」


 私はブラウスの胸元を指さして言った。


「でも、触りたい」


「んー、恥ずかしいので」


「じゃあ、ちょっと待ってくれ」


 ルイス様は自分のシャツの胸元のボタンを外した。


そして、大きく開いた胸元を指さし「どうぞ」と言う。


えっ、これって、私に触れろということ?


視線で訴えると、頷かれた。


そーっと、手を伸ばし、ルイス様の首筋から、胸の方へと指を滑らせる。


うわっ!筋肉だ!!


スゴイ!こんなに筋肉質だったの?


スリスリと撫でていると、「リゼ」と頭の上から、優しく呼ばれた。


ハッと我に返って見上げると、ゆっくりとくちびるが近づいて来る。


チュッと軽い音がして離れたかと思えば、また角度を変えてキスは続く。


私はルイス様のシャツを無意識に握り締めていた。


「少し、口を」


 掠れた声で言われ、軽く口を開いた。


ルイス様の舌が、私の舌に絡みつく。


ゾクッとした。


そのまま、深い口づけを交わしていると、ルイス様の指が、私のブラウスのボタンを外していく。


あ、まさか、、、。


あー恥ずかしい、、、。


でも、私の心はそれを拒否しようとはしなかった。


温かくて大きな掌が、私の耳元から首筋を辿っていく。


不思議な感覚に何だか、ボーっとする。


そして、ボタンの外れた胸元から、ルイス様の手は、そっとシャツの中へ入り込んだ。


優しい手は、私の胸を優しく包み込む。


そして、くちびるを離し、私の首筋にルイス様は顔をうずめた。


私は深いキスで息が上がっていたので、顔を上げて大きく息を吸う。


素肌に触れられて、ムズムズするような何かが身体の奥から湧いて来る。


次の瞬間、首筋を舌でなぞられた。


「んーん」


 無意識に声が出てしまう。


ビクッと、ルイス様が止まった。


そして、首筋から顔を上げ、私を見下ろす。


ふたりの視線が合い、しばし見つめあう。


「・・・・・・」


 言葉が出てこない。


「リゼ、こんな風にされるのは嫌か?」


 ルイス様が、心配そうに聞いて来た。


私は首を振る。


ギューッと抱き締められた。


「リゼ、こうやって少しずつ触れていきたい」


 ルイス様は私の耳元で静かに囁く。


初めてした、恋人らしい触れ合いは温かい何かで身体中が満たされるような感覚だった。


ルイス様も、私と同じような気持ちになっているのなら、触れるという行為は案外悪くないのかもしれない。


「触れ合うと、こんなに幸せな気分になるのですね」


「ああ、そうだな。もっと触れたくなるのが難点だけどな」


 フフフと、ルイス様が笑い始める。


釣られて、私も一緒に笑った。


最後まで読んで下さりありがとうございます。

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