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リゼの悪役令嬢日記  作者: 風野うた
番外編 双子とルイス

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85/87

31、双子とルイス 28

楽しい物語になるよう心がけています。

誤字脱字等のご連絡は感謝いたします。


シータがベルカウのステーキを勧めてくるから、ぼくはお皿を差し出した。


シータはそれに、大きなお肉とマッシュポテト、キノコのソテー、最後に大きなクレソンをのせる。


「ベンジャミンって、ホースラディッシュは食べれる?」


「うううん、あんまり、、、。マスタードの方が好きだよ」


「それなら、マスタードをのせておくね」


「ありがとう。御馳走だよね」


 ぼくがお礼をいうとシータはにっこりとした。


「今日のディナーのお肉は全部ルイス兄様が狩ったんだ」


「全部!?」


「そう、全部。ボクは縄をかける係をしたくらい」


 シータは手をグルグルと回して見せた。


「縄をかけるのも大変じゃない?」


「そんなの魔術ですればカンタンだよ」


「シータはいろんな魔術が使えるんだね」


「まーね」


 ぼくが褒めると、シータは遠慮なく受け取った。


「ベンジャミンの最後のミッションは何だったの?」


 シータがぼくに聞く。


「それはこれだよー」


 ぼくは腕にかけた籠を持ちあげた。


 ここに戻ったら直ぐに食べようと思っていたけど、食事が用意されていたから、まだ誰にも配っていない。


「それ、お菓子?」


「うん、キャロットケーキなんだ。畑でニンジンを収穫するところからしたんだよ」


「あー、それで王女さまは具合が悪くなったんだ」


「あ、知ってたの?」


「うん、ロゼ姉様に聞いたんだ」


「そうなんだ」


 シータは狩りに行ってたのにどうやって聞いたんだろう?


「ボクとロゼ姉様は、念話でお話したんだよ」


 念話?


「そうなの、、、。って、あれ?何で、ぼくの考えていることが分かったの」


「うーん、聞こえてきたんだ」


「えっ、ぼく今、喋ってた?」


「違う、違う、心の声が聞こえるんだよ。だから、考え事とかをするときは気を付けてね」


「シータが気を付けてよ。ぼくはどうしたらいいか分からないから」


「そう?」


「そうだよ!」


「分かった。聞き過ぎないように気を付けるね」


「うん、そうして」


 ぼくはシータに注意をしてから、目の前にあったテーブルセットに腰かけた。


キャロットケーキの籠と、ベルカウステーキの乗ったお皿をテーブルの上に置く。


テーブルの上にはレモン水とグラスも用意してあった。


グラスを一つ取って、レモン水を注ぐ。


すると、急にのどの渇きを感じた。


食事をする前に、ひとくち飲もうとグラスに口をつけたら、冷たくておいしいレモン水は、ドンドン、ぼくの喉を流れていく。


あ、全部飲んじゃった。


もう一度、グラスにレモン水を注いで、次はカトラリーを手に持つ。


すごーく、いい匂いがする。


お肉にナイフを軽く当てただけで、スッと切れた。


そのまま、フォークで刺したお肉を口に運ぶ。


「うっまー!!!!」


香ばしくて、柔らかくてジューシーなベルカウのお肉!!


旨味は、噛めば噛むほど口の中へ広がっていく。


「でしょー!!」


 カウンターの向こうで、シータがドヤ顔をする。


うん、これはドヤ顔をしてもいいと思う。


美味しい!!今までに食べた牛肉で一番おいしい!!


なんて言っても、ぼくは九年しか生きていないのだけど、、、。


「おや、随分と美味しそうなものを食べているね」


 父様の声?


顔を上げると、レノンを抱っこした父様が立っていた。


「父様、このベルカウのステーキ、滅茶苦茶美味しいよ!!」


 ぼくは感動を伝えた。


「そうかい。じゃあ、わたしも頂こうかな。レオンは?」


「僕も食べる!」


「はーい、準備するね!!」


 シータが、元気のいい返事をした。


父様とレノンは、ぼくと同じテーブルに腰掛ける。


ぼくは二人にレモン水を注いで渡した。


「ありがとう。ベンジャミン」


 父様は受け取るとお礼を言ってくれた。


「レノンもベンジャミンも、六つのミッションをよく頑張ったね。何か印象に残る様な事はあったかな?


「そんなの沢山あり過ぎたよ!!」


 ぼくは即答した。


「レノンは?」


「全部、印象的だったよ。僕の知らないことばかりだった」


「そうかい。それは良かった。今回は助っ人が最強メンバーだったから、いい経験になるかなとは思っていたけどね」


「一番最強なのは、ルイス兄様だよね!」


 レノンが、父様に向かって言う。


「どうして、そう思ったのかい?」


「だって、僕たち二人の手伝いを同時にしていたんだよ!!行ったり来たりして!!だけど、ルイス兄様は全然威張ったりなんかしないんだ。だから、一番カッコいいと思った」


「なるほどね。で、ベンジャミンは?」


「誰が最強なのかは分からないけど、助っ人の人たちは、みんな物知りで優しかったよ。ぼくも、勉強しなきゃって思った」


「勉強して、それからどうするのかな?」


「うーん、まだ何も知らないから、そこまでは分からない。だから、色々な事を知りたいんだ。後は、ルイス兄様と一緒に、いつかランドル王国の子供達を全員、学校に通えるようにしたい」


「何、それ?」


 レノンが、首を傾げる。


父様は頷いているから、僕の言いたい事が分かったのかも。


 そこへ、シータが、ベルカウステーキの乗ったお皿を両手に持って、やって来た。


「お待たせしましたー!!」


 父様とレノンの前に、お皿がが置かれた。


「ありがとう、シータ殿」


 父様が、お礼を言った。


あれ、シータのことをシータ殿って言った?


「どういたしまして、宰相殿」


 シータも恰好を付けて、父様に挨拶をした。


「父様、シータって、次期王宮筆頭魔術師になるんでしょ?」


 レノンが聞いた。


それって、お昼にも話していたよね、、、。


「ああ、そうだよ。君たちも大きくなったら、殿下やシータ殿と協力して、この国のために働くかい?」


「うん、ルイス兄様と働きたい!!」


 ぼくは即答した。


「うーん、僕に国の仕事は難しいかも、、、」


 レノンは言葉を濁す。


ぼくは、レノンも同じ気持ちだと思っていたからビックリした。


「まあ、二人で違う未来を目指すのもいいんじゃないかな。でもそのためには、今のうちに色々なことを身に付けておいた方がいいね。そうすれば、将来の選択肢が増えると思うよ。まずは興味を持ったことを、とことん追求して学んでいくところから始めてみたらどうかな」


「あ、それなら、僕は外国の言葉をもっと知りたいと思った!!ベルファント王国の言葉を話したら、王女様が褒めてくれたんだ」


「ああ、いいね。色んな国の人とお友達になれるね」


「うん、いろんな国に行ってみたい!!ルイス兄様にも外国へ行ってみたいって、お願いしたんだ」


「ぼくも友達が欲しいって思った。父様、王都の学校に行ってもいい?母様に聞いたら、寂しいって言われちゃったんだけど、、、」


「ベンジャミン、王都の学校に行くの!?」


 レノンが、驚きの声を上げた。


「うん、通ってみたい」


「うーん、二人には話してなかったんだけど、本当は七歳になったら、君たちは王立学園に通う予定だったんだよ」


「そうなの?」


 レノンが聞く。


ぼくは姉様から、さっきこの事を少し聞いていたので驚かなかった。


父様は話を続ける。


「だけど、私が忙しすぎて、母様に頼りきってしまった結果、予定が大幅に狂ってしまったんだ。この件は君たちに本当にすまないと思っている。それと、ここからは現実的な話をするよ。君たちが王立学園に通うためには、入学する前に学ばないといけないことが、少々あってね。数か月は進学専門の家庭教師の先生をお呼びして、しっかり勉強をしないといけない」


「入学する前に、お勉強?」


 レノンが聞き返す。


「ああ、どんなことを学ぶのかを知っておくためのお勉強だね」


「ふーん、難しそうだね」


 レノンは両手で面倒くさそうな仕草をする。


でも、ぼくは面倒でも、チャレンジしてみたいと考えていた。


「どうかな。今回ミッションを達成した君たちなら大丈夫だと思うけどね」


「父様、ぼくは準備が必要でも、王立学園に通いたい」


 レノンの前で、違う意見をいうのは初めてだけど、勇気を出して言った。


「えー、それなら、僕も行く!!」


 えっ、レノン!?それでいいの?


「レノン、面倒だからやーめたって言うのはナシだよ」


 父様が確認する。


「そんなことは言わないよ。他の国のお友達が出来たら嬉しいから行く」


あー、良かった!


ぼくが行くから、”行く”って言ったのなら、どうしようかと思ったよ。


「分かった。今後、私も週末はここへ帰って来れるようになったからね。一緒に進学の準備をしよう」


「はい」


 二人の返事が揃った。


「それじゃあ、冷えないうちに美味しそうなステーキをいただこうか」


 父様とレノンは、カトラリーを手に持って、ベルカウを切り、口に運んだ。


ぼくは、じーっと二人を観察した。


二人とも、直ぐにとっても幸せそうな表情になって、お肉を噛みしめている。


ぼくも幸せな気分になりたくて、ステーキを口に入れた。


やっぱり、ベルカウは最高に美味しい!!




 みんなでお肉料理を楽しんでいる間に、辺りはすっかり暗くなった。


そろそろ、このキャロットケーキの出番かも知れない!!


ぼくは視線で、マーキュリーを探した。


あ!居た。


じーっと、見詰めていると目が合った。


ぼくに気付いたマーキュリーが、足早にやってくる。


「ベンジャミン坊ちゃん、お呼びですか?」


「マーキュリー、お願いがあるんだ。このあとキャロットケーキを振舞おうと思うんだけど、お茶を用意して貰えますか?」


 ぼくを見て、そしてテーブルの上にある籠にも視線をむけて、マーキュリーは頷いた。


「はい、かしこまりました。紅茶とコーヒーを用意して参ります」


「それと、このケーキは、使用人のみなさんの分もあるので、お裾分けしてください」


 ぼくは籠をテーブルから持ち上げて、マーキュリーに渡した。


「お心遣いありがとうごさいます。では、お客様用はお皿に乗せてまいります。残りの分は私たち使用人で分けさせていただきますね」


「うん、よろしくお願いします」


「はい、では行ってまいります」


 マーキュリーは、籠を抱えて建物の方へ歩いて行った。



 しばらくすると、使用人達によって、デザートのお皿が運ばれて来る。


ぼくの前に置かれたお皿を見ると、キャロットケーキの横にホイップクリームとミントの葉が添えられていた。


籠に詰めていたアレが、こんな素敵な感じになるなんて!!


マーキュリー、スゴイ!!


「ベンジャミン坊ちゃん、このような感じでどうでしょうか?」


「マーキュリー!最高だよ!!ありがとうー!!」


 ぼくは、心からお礼を言った。


そして、それを聞いたマーキュリーは、いつもの作った笑顔じゃなくて、少し不恰好な笑顔を見せてくれた。


それが、ぼくはとても嬉しかった。

 

だから、ぼくは心の中でもう一度、お礼を言う。


“マーキュリー、いつも本当にありがとう”



 ベンジャミンと執事マーキュリーのやり取りの一部始終を見ていたベルカノン公爵は、息子の成長に目頭が熱くなる。


と同時に、いままでレノンとベンジャミンにあまり関われなかったことを酷く後悔した。


これからは少しずつでも、親子の時間を増やしていこうと胸に誓う。


どんどん成長していく、この子たちと過ごす時間は、親が思っているより短いかも知れないのだから、、、と。

最後まで読んで下さりありがとうございます。

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