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リゼの悪役令嬢日記  作者: 風野うた
番外編 双子とルイス

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30、双子とルイス 27

楽しい物語になるよう心がけています。

誤字脱字等のご連絡は感謝いたします。


 「姉様―!!ちょっと来て」


 僕が呼びかけると、姉様がこっちを向いた。


横にいるルイス兄様と何かを話している。


姉様は、建物の方へ移動するルイス兄様を見送ってから、こちらへ来た。


「お待たせー!」


「ルイス兄様はどこに行ったの?」


「ロゼ様を呼びに行ったのよ」


「そうなんだ」


「で、何か用事?」


「あのね、、、」


 僕は姉様に近づいて、小声で話す。


「姉様ってさ、ルイス兄様のこと好きなんだよね?」


「・・・ん?」


 姉様は僕から視線を逸らした。


「ん?じゃなくて、好きなんだよね?」


「ま、まあね」


 何でそんなにぎこちないんだろう!?


「まさか、嫌、、、」


「違う、違う!嫌いなわけないじゃない」


 僕が話している途中で、姉様は言葉を被せて否定した。


「ならさぁ、お願いがあるんだけど、、、」


「お願い?」


「・・・・・・・・・・・・・・・・」


 僕は小さな声でお願い事を囁いた。


「そ、それは、、、。ルイス様に頼まれたの?」


「うううん、頼まれてないよ。少し寂しそうだったから」


「寂しそうだったって?」


 僕はお昼にルイス兄様と話したことを伝えた。


「なるほどね。だけど、一緒に入るのはどうかなぁ、、、。ルイス様が希望しているわけじゃないんでしょ?」


「うん」


「レノンが一緒に入ってあげたらいいじゃない」


「それは僕も提案したよ」


「なんて言っていたの?」


「ありがとうって言って、ギューッとしてくれた」


「優しいわね」


「うん、ルイス兄様は優しいし、カッコいいよ。姉様、捨てられないようにね」


「一言、余計よ。でも、まあ考えておくわ」


「うん、よろしく。ところで、姉様、焼き鳥は如何ですか?」


 僕は焼き直して、ホカホカになった串を差し出した。


「おおお!これはいななき鳥よね」


 姉様は串を受け取る。


「これは、ソルト味だけど、邸の秘伝レシピを使った、たれ味もあるよ」


「えええ、両方食べたいのだけど!!」


「じゃあ、たれ味を持ってくるね」


 僕は、すぐ後のカウンターに戻る。


「アズ兄様、たれ味の串を温めて」


「おう。あ、エリーゼがいるのか!?レノン少し変わってくれ、俺、謝らないといけない」


「うん、分かった。このトングでひっくり返したらいい?」


「ああ、火傷したら大変だからな。直接触るなよ」


 アズ兄様、自分は素手で作業するクセに、僕にはダメと言う。


分かっているよ。


僕が子供だからだよね。


「うん、分かった」


 僕と交代して、アズ兄様はソルト味の焼き鳥を食べている姉様の肩を叩いた。


姉様が顔を上げて、二人で少し何かを話した。


どうやら場所を移動するみたいだ。


話は長くなるのかな。


「あら、レノンが焼いているの?」


 急に母様が現れたから、ビックリした。


「うん、アズ兄様と交代したんだ。母様、串焼きは如何?」


「そうね、ソルト味をひとつくれる?さっき、お父様の食べている分を分けてもらったの。とても、おいしかったわ」


「分かった。温めるね」


 僕は串を炭火の上に設置してある二本の棒の上へ乗せた。


「ミッションゲームって、レノンはどんなことをしたの?」


「ぼくはね、最初はベルファント語のあいさつが書いてあるカードを引いたんだ。全然読めなくて困っていたら、姉様が辞書の引き方を教えてくれたよ。それで、昨日の夕食パーティーの時に、みんなの前でベルファント語を使ってあいさつをしたんだ。発音が上手ですねって、王女様が褒めてくれたよ」


「ベルファント語を!?よく頑張ったわねー。凄いじゃない!!」


「うん、その時にね、何で外国の言葉を勉強するのかっていう話を、ルイス兄様がしてくれたんだ。僕は色んな国の言葉を勉強してみたいと思ったよ」


「たくさんの国の人たちと、お話しできるなんて素晴らしいわね」


 母様は、しきりに僕を褒める。


スゴく嬉しい。


こんなに褒められたのは初めてだ。


「次に引いたのはね、『妖精の湖に行って、“虹色に輝く金色の魚”を一匹釣り上げなさい』というカードだったんだ」


「妖精の湖って、あの、、、。レノン一人で行ったの?」


「まさか!!僕は場所も知らなかったんだ。だから、ロイ王太子殿下とロゼ王太子妃殿下とシータに手伝ってもらったよ。ロイ王太子殿下は、昔からよく僕のおうちに遊びに来ていたんだよね?」


「ベルファント王国の王太子殿下が、ここに?」


 母様は、怪訝な表情になる。


あれ?知らないのかな。


「ロイ王太子殿下―!!」


 僕は、パエリア鍋のところにいるロイ王太子殿下を呼んだ。


「はいはーい、レノン君どうしたんだい?」


 僕に気付くと、直ぐこっちに来てくれる。


「ロイ王太子殿下って、昔から僕のお家によく来ていたんだよね?」


「うん、そうだよ」


「母様が、、、」


 僕が、母様を紹介しようとすると、、、。


「エリーのママさん!!お久しぶりです。僕のこと覚えてませんか?ブロイという名前でよく遊びに来ていました」


 ロイ王太子殿下の言葉をを聞きながら、母様は、そのお顔をまじまじと見詰める。


そして、大きな声で叫んだ。


「ブロイ君なの!?うそっ!ええっ、ベルファント王国の王子様だったの?」


 かなり驚いた様子だった。


「ええ、そうです。当時、ベルファント王国の宮殿は色々と物騒だったので、祖母の友人邸に預けられていたんです。こうして再会出来て、とても嬉しいです。僕、最近、結婚したんですよ」


「あらあら、まぁ!!それはおめでとう!!あ、おめでとうございますって言わないとね、フフフ」


 母様は、嬉しそうに笑う。


「そんなに畏まらないでください。実は、アズ君と結婚するのは僕の妹なんです。そして、こちらでしばらくお世話になるって、、、。引き受けて下さり、ありがとうございます」


「姫君はブロイ君の妹さんだったのね。世間って、本当に狭いわね。でも、良かったわー。急に隣国の姫君を預かってくださいって言われて、内心ドキドキしていたのよ」


「妹は姫君ってタイプでもないですから、心配は全くいらないですよ。マーゴットと比べたら、エリーの方が断然、お姫様です」


 ロイ王太子殿下は力を込めて言った。


「まあ、お会いするのが楽しみになって来たわ。今は、お部屋で休んでいるのよね?」


「はい、僕の妻が付き添っています。妻はそろそろ、ルイスの護衛と交代して降りてくると思うのですけど、、、。あ、ルイスと一緒に戻って来ました」


 ロイ王太子殿下は、建物の入り口を指した。


ルイス兄様と、ロゼ王太子妃殿下が歩いてこっちに来ている。


「呼んで来ます」


 そういうとロイ王太子殿下は、ルイス兄様たちの方へ走っていった。


「母様、温まったよー。はい、これ」


 僕は母様にソルト味の串を差し出した。


「ありがとう。いただくわね」


 母様は上品に手を添えて受け取る。


「僕は姉様に頼まれた串を持っていくね。ミッションの話は、また後でねー」


「ええ、楽しみにしているわ」


 姉様の方へ視線を向けると、ちょうどアズ兄様との話が終わったみたいだった。


アズ兄様は、踵を返してこっちへ戻ってくる。


僕は姉様の方へ向かう。


ちょうど、真ん中でアズ兄様とすれ違う時、こっそりと話しかけられた。


「レノン、サンキュー!助かったっぜ」


 僕は、何に対するお礼なのか閃かないまま、通り過ぎた。


「姉様、温めて来たよー」


「あら、ありがとう!!これ、ジューシーで物凄くおいしかったわ。レモンもかけたの?」


「うん、ソルト味にはレモンもかけてあるよ」


 返事をしながら、たれ味の串を渡す。


姉様は受け取るなり、ガブっと焼き鳥に噛り付いた。


母様が見ていたら、怒られそうだ。


「リゼー、美味しそうだな」


 あ、ルイス兄様。


分かりやすく、姉様はマズイという顔をする。


確かに、そんなに頬張っていたら、、、。


「リスみたいだぞ!ハハハ」


 あ、笑うんだ。


良かったー、姉様に愛想を尽かしたらどうしようかと思った。


「ルイス様も食べます?」


 ツワモノな姉様は、食べかけの串をルイス兄様の前に出す。


それは、さすがに、、、。


「おっ、旨いな!」


 食べたし。


何だよ、この二人!!物凄く仲良しじゃん。


心配して損した気分。


「レノン、最後まで頑張ったな。ミッション達成だから王都へ連れて行ってやるぞ。どこに行きたいか考えておけよ」


 ルイス兄様は、僕に向かって言った。


「王都にも行きたいけど、僕はベルファント王国にも行ってみたい」


 王女さまたちの生まれ育った国ってどんな国なんだろう。


「ベルファント王国か、それもいいな。ロイに頼んでおくとするか」


「本当に?」


「ああ、何でもその目で見て聞くことが大切だからな。興味が湧いたのはいいことだぞ」


 ルイス兄様は、話をしながら、いつものように僕の頭を手で撫でてくれた。


「ミッションの効果って、凄いですね」


 姉様が呟く。


「ああ、ちょうどいいタイミングだったんだよ。それと、宰相は侮れないなとおれも思い知った」


「侮れない?」


 姉様が聞き返す。


「偶然というには不自然なことが多くて、驚いたってことだ」


「あ、僕ね、ひとつ気付いたよ」


「気づいたって、何を?」


 姉様が話の先を促す。


うーん、これって言っていいのかな、、、。


「何よ、気になるじゃない!」


「うーん、姉様が買った“虹のしずく”のことを父様は注意したかったけど出来なくて、今回のミッションに組み込んだのかなと。そして、代わりにルイス兄様が注意してくれるといいなぁーって思っていたのかも知れないよ」


 僕の話を聞きながら、姉様の顔色が悪くなっていく。


やっぱり、金貨三枚はマズかったって反省したのかな。


「お父様、ごめんなさい」


 姉様が、急に僕の方を向いて謝った。


「ああ、お金の価値が分かったのなら、次からは気を付けなさい。我が家のお金は、領民が働いて納めてくれたものなのだからね」


 穏やかな声が、僕の背後から聞こえてくる。


「レノン、名推理だったね。私が考えていたことを知っていたかのようだ」


 振り返ると父様が立っていた。


「そういえば、妖精たちとも会ったのかな?彼らはベルカノン家の宝物だからね。私たちが守っていかないといけないんだよ」


「うん、妖精たちはとてもかわいかったよ。父様、僕はあの森を守るよ」


「ああ、よろしく頼むよ」


 父様は僕に優しく微笑んでくれた。


「さて、殿下。娘のしつけのようなことをさせてしまい申し訳ありませんでした。今更だけど、エリーゼ、どうしてあのインクを買おうと思ったのかな?」


「あー、あのインクは珍しいという説明の他に、実は、、、」


 姉様は言葉を詰まらせた。


「さすがに高額過ぎるから、もっと早くに聞いておくべきだったね」


 父様が畳みかける。


「ホロロ帝国の困っている人たちを雇っているって聞いたの」


「困っている人?」


 僕は聞き返した。


「あのね、レノン。ホロロ帝国は戦争の多い国なの。それで、家族を亡くした人たちを雇っているって聞いたから、、、。だけど、父様やルイス様に確認してから買うべきでした。ごめんなさい」


 姉様は父様に頭を下げた。


僕は理由を聞いて、微妙な気分になった。


「エリーゼ、優しい心を持っていることはいいことだけどね。次からは、是非、私や殿下に相談して欲しい。君は自覚していないかもしれないけど、私たちは国を動かしているんだ。人道支援なら、堂々としてあげられる立場にいるんだよ」


「ああ、宰相の言うとおりだ。リゼ。一人で突っ走らないようにな!」


「・・・はい、気を付けます」


 姉様はすっかり元気がなくなった。


僕は心配になって、ルイス兄様を見上げる。


すると、ルイス兄様は僕に一度頷いてから、静かに姉様を抱き寄せた。


姉様は、ギューっとルイス兄様にしがみ付く。


「レノン、後は殿下に任せよう」


そういって、父様は僕を抱き上げ、ベンジャミンとシータがいる方へと歩き出す。


やっぱり、父様はルイス兄様に面倒なことを投げてるよねーと、心の中で思ったけど、口に出すのは止めておいた。


最後まで読んで下さりありがとうございます。

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