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リゼの悪役令嬢日記  作者: 風野うた
番外編 双子とルイス

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26、双子とルイス 23

楽しい物語になるよう心がけています。

誤字脱字等のご連絡は感謝いたします。


 ぼくは母様と一緒に調理場へ。


「皆さん、ごきげんよう。急いで作りたいお菓子があるの。協力してもらえないかしら?」


「ごきげんよう。ぼくはベンジャミンです。ベルカノン領から来ました。キャロットケーキを作らないといけないので、手伝ってもらえませんか?」


 ぼくの姿を見て、料理人の人たちが騒ついた。


「奥様、もしかして、そちらは双子のお坊ちゃんですか」


「ええ、そうよ。双子の弟の方なの」


「そうですか、初めまして、私は料理長のベーカーです。是非、私共にお手伝いをさせて下さい」


 ベーカーは、快い返事をくれた。


「では、これからキャロットケーキ作りのお手伝いをお願いします。十八時までに完成させたいので宜しくお願いします。作り方は、母がお伝えします」


 ぼくは母様に目配せをした。


「ベンジャミン、このニンジンは全部使うの?」


「うん、全部使う」


「分かったわ。では、ベーカー料理長、そこの黒板へ分量を書きながら手順を説明していくわね」


「はい、お願いします」


 母様は、調理場の黒板に必要な材料を書き始めた。


A、 薄力粉・1500グラム

  アーモンド粉・250グラム

  シナモン粉・大さじ3と小さじ1

  ふくらし粉タイプB・大さじ1と小さじ2

  ふくらし粉タイプT・大さじ3と小さじ1


「このAの粉類は一つに纏めて、ふるいにかけて欲しいの」


「では、そちらはマートンとヨゼフにさせましょう」


 ベーカーが答えると、母様はAの下にマートン、ヨゼフと書いた。


母様は続きを書く。


B、 砂糖・1400グラム

無塩バター・1500グラム


C、 全卵・20個


「先ず、Bはバターをボウルに入れて、砂糖を二回に分けていれます。全体が白っぽくなるまで混ぜ合わせましょう。そこへCの溶き卵も二回に分けて流し入れながら、しっかり混ぜ合わせます」


「では、それはセレナにさせます」


 ベーカーは、セレナらしき女性に目配せをした。


母様はB、Cの横にセレナと書く。


D、 摺り下ろしニンジン・1400グラム


「多分、このニンジンのすりおろしが、一番、時間と手間が掛かると思うの」


「では、すりおろし作業は私と奥様と坊ちゃんでしましょう」


「ええ、そうしましょう」


 母様はDの横に、ベーカー、マリーナ、ベンジャミンと書いた。


「とりあえず、これが揃ったら、仕上げの作業に入ります。Aの粉類とB Cの卵・バター類とニンジンのすりおろしを、さっくり混ぜ合わせます。生地はそれで完成ね。後は、型に流し込んで焼きます。オーブンは180度20分で大丈夫。余熱もお願いね」


「分かりました。では、オーブンの余熱と卵割り、型の準備は見習いのリリーにさせます。リリー、卵の殻が入らないように気をつけるんだぞ」


「はい、料理長!」


 元気の良い返事をしたのは、長い髪を後ろで三つ編みにした女の子だった。


姉様と同じくらいの歳に見える。


E、 オーブン余熱と卵割り、リリー


 母様は、手順を書き終えるとチョークを置いた。


「皆さん宜しくお願いします!では、始めましょう!!」


 ぼくは大きな声でスタートを宣言した。


壁掛け時計を見ると、すでに一六時四十分になっていた。


十八時に間に合うのか、ドキドキする。


「ベンジャミン、ほら、コレを着けなさい」


 時計を見つめていると、母様がエプロンを差し出した。


既に母様は着けている。


「はい、ありがとう」


 ぼくは、お礼を言って受け取って、急いでそのエプロンを着けた。


「次は手を洗うのよ。悪い菌が入ると食べた人がお腹を壊してしまうの」


「分かった。ニンジンも洗うんだよね?」


「ええ、一緒にザブザブ洗いましょう」


 流し場に二人で並んで、手を洗った後、ニンジンをタワシで洗い始める。


「では、私は横で皮を剥いていきましょう」


 ぼくの横に、ベーカーがナイフを持ってスタンバイする。


洗ったニンジンを渡すとスルスルっと、ものすごい勢いで皮が剥けていく。


次を渡す時には、先に渡したニンジンは、もう剥き終わっていた。


プロって、スゴイ!!


あっという間に、十本のニンジンの皮が剥き終わり、次はそれをすりおろす作業に入る。


ぼくの前に、すり金とボウルが置かれた。


「ベンジャミン、ちょっと私のやり方を見ていてくれる?ニンジンを右手に持って、すり金は左手で持つのよ。ニンジンを縦向きにスライドして、こんな風にすりおろすの。ニンジンの先端の方は柔らかいけど、首の方に行くほど硬くなるから、力加減には気をつけてね」


 母様は手慣れた様子で、すりおろしていく。


ぼくも、見様見真似ですり金を左手に持ち、右手でニンジンを動かす。


あれ!?突っかかる。


うわっ、すりおろすのって難しい!!


「ベンジャミン、くれぐれも指をすりおろさないのよ!フフフ」


 ぼくが真剣に手元を見ながらすりおろしていると、母様は楽しそうに注意をしてくる。


指をすりおろすなんて、縁起でも無いことを笑いながら言わないで欲しい。


「母様、これって結構難しいね」


「そうね。何回もして慣れるしかないわね」


 必死で一本すりおろして、横を見るとベーカーは、とてつもない速さですりおろしていた。


「ベーカー料理長、何本目ですか?」


「ええっと、五本目ですよ」


 五本目!?


ぼくの五倍だ!!


負けてられない。


皮を剥いたニンジンを乗せたカゴを見ると最後の一本だった。


えええ!母様も三本目!?


ぼくは、最後の一本を素早く取った。


急ごう。


「いやー、ニンジンのすりおろしが思いの外、早く終わりましたね。後は混ぜ合わせるだけですから、時間通り終わるでしょう」


 必死にニンジンをすりおろしている僕の横で、ベーカーと母様がお喋りを始めた。


「ええ、三人だと早かったわね。ベンジャミン、後少しよ!頑張って!!」


おお!母様から応援された。


「それにしても、奥様はなかなかのお料理好きとお見受けしましたが、、、」


「実は料理は大好きなの。だけど、子育てに追われて、なかなか作る機会が無くて、、、」


「それなら、親子でお料理をされてみては?きっと、坊ちゃん方もお手伝いしてくださいますよ」


「それは、チャレンジした事がなかったわね。思い切ってしてみようかしら。ねぇ、ベンジャミン、今度、お料理を一緒にしてみる?」


「うん、一緒にしてみたい」


 ニンジンのすりおろしが、もう少しで終わると言うところで、母様に聞かれた。


次はレノンも誘いたいなぁ。


「一緒にするなら、男の子が好きなメニューにしようかしら」


「はい、きっとお喜びになられると思いますよ」


「終わったー!!」


 たった二本すりおろしただけなのに、指がプルプルする。


これを難なく五本もすりおろした料理長って、スゴ過ぎる!!


「怪我もなく終わって、良かったわね」


 母様が、ぼくを褒めてくれた。


何てことだ!!嬉しいかも。


「さあ、皆さん、進捗状況はどう?」


 母様が、周りを見渡しながら、状況を確認する。


その時、バタンと調理場のドアが開いた。


「遅くなってごめんなさい!」


 姉様が駆け込んで来た。


「エリーゼ、また廊下を走ったのね」


「だって、遅くなったから、急いで来たのよ!」


「皆さんに手伝ってもらったから、大丈夫よ。ほら、後は混ぜ合わせて、型に流し込んで焼くだけよ」


「あー、ごめんなさい。私、大してお役に立てなさそうね」


 姉様は、がっくりと肩を落とした。


「今回は、マドレーヌ型のカップをご用意しましたが、これで良かったですか?」


 リリーが、母様のところへ聞きに来た。


「ベンジャミン、これは今夜のパーティーで振る舞うのよね?」


 そう言えば、さっき、中庭パーティーが云々って、ピエール料理長が話していた。


「多分そうだと思う」


「それなら、気軽につまみやすい方がいいから、マドレーヌ型カップで大丈夫よ」


「分かりました。奥様、大体何個くらい必要か判られますか?」


「百二十個、用意してくれるかしら」


「はい、かしこまりました」


 百二十個!?


ぼくは、姉様をチラリと見た。


姉様は視線が合うとペロっと舌を出した。


ニンジン十本って言ったのは、姉様だからね!!


「母様、百二十個って、予想していた数よりだいぶん多いんだ。だから、この邸の人達にも、お裾分けして良いかな」


 ぼくは、母様にこっそりと耳打ちをした。


母様も、ぼくの耳にこっそりと返してきた。


「良い考えね。みんな喜ぶと思うわよ」


 そして、ぼくの頭をグルグル撫でてくれた。


うわっ、母様どうしちゃったの?


いつも怒っていて、ぼくの話なんて全然聞いてくれないのに、笑顔で何度も撫でてくれるなんて嘘みたい。


こんないい気分をお菓子作りで味わえるなんて!!


 嬉しい気持ちで顔が緩みそうになったから、両手で頬を持ち上げていたら、次の工程の話になった。 


時間は待ってくれない。 


「では、全ての混ぜ合わせは量も多いですから、私がいたします。奥様、お嬢様、坊ちゃんは絞り袋に入れた生地を型に流し込んで行って下さい」


 ベーカーは、料理人達に指示を出して、とっても大きなボウルとヘラを用意させた。


彼は先ず、BCの卵・バター類をボウルに入れてから、すりおろしニンジンを流し込む。


それを鮮やかな手付きで混ぜ合わせた。


次に粉を入れて、さっくりと混ぜる。


ぼくは無意識にベーカーの手元を、ずっと目で追っていた。


とてもしなやかな動きで優雅なのに、材料はどんどん混ざっていく。


「ベンジャミン、不思議でしょう?簡単そうに見えても、修行しないとあんな風には混ぜられないのよ」


 母様が、ぼくに囁く。


「うん、ベーカー料理長はニンジンをすりおろすスピードも、あり得ないくらい早かったから驚いたよ」


「ベンジャミンもニンジンのすりおろしを手伝ったの?」


 ぼくと母様の話を聞き付けた姉様が質問して来た。


「うん、二本すったよ」


「スゴイわね」


「そう?」


「ええ、最初からすり金を使えただけで、私より遥かに器用だわ」


「そう言えば、そうだったわ。エリーゼは、初めてチャレンジした時に手を擦りむいたのよね。ただ、あの時、エリーゼは五歳くらいだったでしょう?九歳のベンジャミンと比較するのはどうかと思うけど、、、」


「五歳!?姉様って、そんなに小さな頃から、母様とお菓子を作っていたの?」


「ええ、そうなのよ。エリーゼは、四大公爵家で初めての女の子だったから、直ぐに王子殿下の婚約者に内定したの。同時に七歳になったら、お妃教育のために王都に行くというのも決まってしまって、、、。だから、その前に出来るだけ、色々な事を一緒にしたのよ」


 そっかー、姉様は遠くに行くって、早くから決まっていたんだ。


「母様、ぼくが王都の学校に行くって言ったら、寂しい?」


「え!?」


 母様は、物凄く驚いた顔をした。


そして、ぼくにこう言った。


「寂しいわ」


 ぼくはその言葉を聞いて、何と返して良いのか分からなかった。

作中のレシピですが、分量を1/10にしていただければ、ニンジン一本でおいしいキャロットケーキが作れます。


ふくらし粉Bタイプはベーキングパウダー、

ふくらし粉Tタイプは重曹タンサンのことです。

市販の焼き菓子用ホイルだと8~12個くらいです。

パウンドケーキ型でも大丈夫です。


是非チャレンジしてみて下さい(^-^)


最後まで読んで下さりありがとうございます。

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