25、双子とルイス 22
楽しい物語になるよう心がけています。
誤字脱字等のご連絡は感謝いたします。
レノンと座ってレモネードを飲んでいると、リゼの声が聞こえて来た。
『そんなぁー!!どうしたらいいのぉ』
何かトラブルが発生したようだ。
「レノン、済まないが、オレはしばらく席を外す」
そう告げて、オレはリゼの元へ転移した。
転移するほど遠くない距離にリゼとベンジャミンは居た。
少し慌て過ぎたな、、、。
「ルイス様!!良いところに来てくれましたね」
オレの姿を見つけるなり、リゼは笑顔を見せる。
とても可愛い。
「ルイス兄様!お願いがあります」
ベンジャミンが、オレの袖を両手で掴んだ。
「そんなに焦って、どうしたんだ?」
「ぼくと姉様を王都のベルカノン邸に連れて行ってください。今すぐに!!」
「ええっと、そんなに急ぐのか?」
「はい、時間が、、、」
「ルイス様、どうやら調理場が、お肉の加工?で、ひっくり返っているらしくて、使用出来ませんと断られました」
リゼは目の前にある調理場のドアを指差した。
あー、それはオレたちの狩りのせいだな。
「分かった。荷物はそのカゴに入ったニンジンだけで大丈夫なのか?着替えは?」
リゼとベンジャミンは畑にいた時の服装だった。
「ええ、もうこのままで大丈夫です。いざとなったら、あちらに着替えもありますから」
「ぼくは無いけど、、、」
「大丈夫。私が貸してあげる」
「うーーーん、分かった」
ベンジャミンは微妙な顔で了承した。
リゼの服を借りるのは、嫌なんだろうな。
その気持ちは分かる。
寧ろ、全く気にしないリゼの方が問題だろ。
「では、行こう」
オレは二人を連れて、転移魔術を展開した。
到着したのは、王都ベルカノン邸のリゼの部屋。
「ベンジャミン、ここは私の部屋よ。さぁー、モネ爺を探さないと!!」
言い終えると、リゼは素早く部屋を出る。
「えー、姉様!!」
ベンジャミンが手を伸ばして、リゼを捕まえようとしたが一歩間に合わず、オレ達は置いて行かれた。
「ベンジャミン、お菓子を作るんだよな?」
「うん、作り方は姉様が知ってて、、、。あ!?」
「あ?」
「元々は母様のレシピだったって、姉様が言ってた」
「なら、丁度良かったんじゃないか」
「母様って、ここに居るの」
「ああ、公爵夫人は、元々十八時にベルカノン領へ帰る予定になってたから、居ると思うぞ」
バタバタと足音が近づいて来る。
ドアをバンと開けて、リゼが走り込んで来た。
「ベンジャミン、モネ爺に調理場の使用許可を貰ったわよー!」
「リゼ、廊下を全力疾走する淑女は居ない」
「今は、そんな事、言っていられませんって!!さあ、こっちよ」
リゼは、ベンジャミンの手を掴んで、部屋から連れ出した。
オレも遅れを取らないよう、後を追う。
調理場の入口に、モネ爺と公爵夫人が立ってこちらを見ていた。
「あら、本当に来たのね!?」
公爵夫人は、ベンジャミンを見て溢す。
「母様、手伝って!!キャロットケーキを作りたいんだ」
ベンジャミンは、開口一番、公爵夫人に助けを求める。
この発言に、公爵夫人はとても驚いたのか、口を開けたままポカーンとなった。
「母様!?」
ベンジャミンは、公爵夫人の前に立ち、もう一度言った。
「母様、時間が無いんだ。お菓子作りを手伝って下さい」
公爵夫人は、ハッと我に帰り「ええ、良いわよ」と答えた。
「夫人、少しリゼに急ぎで伝えたいことがあるので、ベンジャミンをお願い出来ますか?」
「ええ、殿下。勿論です」
「リゼ、ちょっと伝えたいことがある。ベンジャミン、済まないが先に始めておいてくれ」
「はい、分かりました」
ベンジャミンは、オレに返事をすると、すぐに調理場へ公爵夫人と入った。
この場には、オレとリゼとモネ爺が残される。
「殿下、ごきげんよう。どれ、邪魔者は去るといたします。ごゆっくりー」
「ああ、お気遣い感謝する」
モネ爺は年齢を感じさせない素早さで立ち去った。
「で、この急いでいる時に何でしょう?」
リゼは不服そうな顔を見せる。
ベンジャミンの方が気になっているのかも知れない。
「リゼ、ちょっと良いか?」
「ええ」
オレはリゼと一緒に彼女の部屋へ転移で戻った。
「ここに戻るということは、、、。補給したいとか、おかしな事を言い出したりしないですよね?」
ジト目で、リゼがオレを見る。
「いや、違う。極秘の話をしないといけないから、ここに戻った」
「極秘?」
「ああ、リゼに伝えないといけない重要な話がある」
オレの言葉を訝しげに聞いているリゼの様子が可愛い。
「な、何でしょうか?」
「オレたちの結婚式が延期になった」
「・・・・・・」
リゼは口をパクパクしているのに、声が出ていない。
『はぁ!?このタイミングで?やっぱり、私は捨てられるの?いや、まさか!?』
心の声が聞こえて来る。
これは、聞こえないフリをした方が良いのだろうか?
「リゼ、先程の姫の体調だが、貧血による眩暈だそうだ。少し横になって休養し、栄養をしっかり摂れば回復するとのことだ」
「そ、そうですか。それは無事で良かったですって!違う!!あの話は本当だったのですか?」
「あの話?」
「マーゴット様とアズールに子供が出来たとか言う、あり得ない話です」
「何故、あり得ないのかの話は置いておいて、子供を授かったのは真実だぞ。先程、診察したベルカノン家の医師も間違いないと言っていたからな」
「そうですか」
「だから、オレたちの結婚式を延期して、先にアズールと姫の結婚式をしないといけなくなった」
「・・・分かりました」
『あー!そう言うことなのね。それにしても何故、、、』
「リゼ、何か引っ掛かっているんだろう?」
「はい、アズールとマーゴット様に赤ちゃんが出来るなら、何故、私たちには出来ないのでしょう?」
「ん?」
何を言っているのか、久しぶりに分からないぞ。
「いや、オレたちはまだ結婚していないからな」
「それ!それですよ。結婚してないのに、何故、赤ちゃんが出来たのでしょうか?もしかして、こっそり結婚式をしたのですかね?」
「・・・・・・」
分からない。
何を言いたいのかが、分からない。
「リゼ、結婚していなくても、子供は出来ると思うのだが、、、」
オレは、自分の眉間に皺が寄っていくのを感じながら、リゼに問う。
「結婚していなくても、子供は出来る?それは世間の常識ですか!?」
予想以上に驚くリゼが不可解過ぎる。
その時、オレの脳裏にまさか!?というレベルの仮説が浮かんだ。
“リゼは、どうすれば子供が出来るのかを知らないのでは?”
いや、学園に通っていて、それは無いだろう。
身体についての授業もあるし、ましてや、リゼは、妃教育も受けているんだぞ。
その中には、当然、閨教育もあるハズだ。
「ルイス様、そんなに険しい顔をしてどうかしましたか?」
いや、どうかしているのは、、、。
「リゼ、正直に答えてくれないか?」
「はい、何でしょう」
「リゼの知っている子供を授かる条件を」
オレが口にすると、リゼは両手で顔を覆って、ジタバタし出した。
「そんな事、恥ずかしくて言えません」
『ルイス様ったら、何を言い出すのよ!?結婚して、一緒のベッドで抱き合って眠るくらい、私でも知っているわ!!でも、何故そんな事を聞いて来るのかしら』
あ、オレの仮説、ビンゴかも知れない。
「リゼ、ちなみに結婚はまだしていないが、オレ達はそれをしたことがあるか?」
リゼは、両手を下ろすことなく、顔を隠して答えた。
「・・・・ありますよね?」
「いや無い」
オレは即答した。
それを聞いたリゼは両手は下ろし、オレをじっーっと疑いの目で見詰める。
「してない。全くしてない。ずっーと我慢している」
「我慢?」
「ああ、もう!!オレが正しい子供の作り方を教えてやる。耳を貸せ!」
リゼを引き寄せ、耳に向かって囁く。
「いいか、まず、、、、、」
オレは男女の体の違いから、性交渉の仕方まで、分かりやすく説明した。
途中、リゼは何かをゴニョゴニョ呟いていたが、話が進まないと判断し無視する。
「、、、しなければ、子は授からない。という事で、オレたちに子供が出来ないのは、当たり前だ」
『え、ええ、ナニソレ無理、いやいやいや絶対無理』
心の声は盛大に聞こえて来たが、目の前のリゼは俯いて黙り込んでいる。
「リゼ、大丈夫か?」
オレは、リゼに触れようと手を伸ばした。
サッと、避けられる。
え、えええー。
リゼが、オレを避けた!?
「そんなに、性交渉の話はショックだったのか?」
オレの問い掛けに、リゼは頷く。
「大丈夫だ。絶対にリゼが怖がるようなことはしないから」
「・・・絶対ですよ」
そんな嫌そうにされると、オレも流石に凹むんだが。
「オレたちは、ゆっくり進めばいい」
リゼに向かって、もう一度手を伸ばす。
「はい、それがいいです」
今度は、両手でオレの手を包んでくれた。
「それはそうと、アズールはバカですよね!?」
「ああ、まぁ、、それは言いようが無いな。ただ、生まれてくる子供に罪はない。その話はここだけにしよう」
「分かりました。それにしても、ルイス様は、良い人過ぎますよ。私が代わりに怒ります」
代わりに怒るって、、、。
「フハッ!!」
思わず、吹いてしまった。
「リゼ、ありがとう」
「はい、どういたしまして。それはさておき、マーゴット様の体調は心配ですね」
「ああ、辛そうにしていたからな。結婚式の準備はロイがベルファント王国と行き来して、何とか進めるだろう。だが、ベルファント王国で婚前交渉はタブーとされている。正教会が禁じているんだ。それ故、極秘で進めないといけないのがなぁ、、、」
「おめでたいことなのに極秘ですか、、、」
「実は、ベンカノン領の邸で、姫を結婚式までの間、匿って貰いたいんだ。それで、急いで根回しをしている」
「うちの邸にですか?」
「ああ、ベルカノン領なら、姫一人くらい隠し通せそうじゃないか?」
「秘境ですから、確かに出来そうですね」
「マーキュリーには、さっき頼んだ。後は、公爵夫人に許可を取らないといけない。宰相は、さっき確認したら、了解が取れた」
「私も一緒にお願いしてあげますよ。あ!」
リゼは急に慌て出す。
「ベンジャミンのことを忘れていました!お菓子作り、大丈夫ですかね、、、」
「公爵夫人が一緒だから、大丈夫だろう。とは言え、オレもそろそろ戻らないと行けない。また十八時に迎えに来る」
「分かりました。お母様や、ベンジャミンにマーゴット様のお話をしても?」
「ああ、話しても良いが、極秘である事を必ず伝えてくれ。使用人にも聞かれ無いように気をつけろ」
「はい」
オレは、リゼをギューっと抱き締めた。
そっと、くちびるに触れるだけのキスを落とす。
「ルイス様、今は色々と無理ですけど、いつか必ず、、、」
リゼは上目遣いで呟きながら、オレの首に巻きついて来た。
・・・スゴく色っぽい。
「ありがとう。愛してる」
今度は、吐息が漏れる程、深い口づけを交わす。
逆効果だった、離れがたくなった。
もう一度、ギューっとハグをする。
「また後で」
「はい、また後で」
オレは後ろ髪を引かれながら、レノンの元へと戻った。
最後まで読んで下さりありがとうございます。
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