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リゼの悪役令嬢日記  作者: 風野うた
番外編 双子とルイス

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24、双子とルイス 21

楽しい物語になるよう心がけています。

誤字脱字等のご連絡は感謝いたします。


 あれは少し細い、これも、、、。


中々、収穫していいニンジンが見つからない。


こんなに沢山あるのに。


ニンジンの収穫作業をかなり、甘く見ていたかも知れない。


「ベンジャミーン!見つかった?」


 姉様が離れたところから、叫んでる。


「全然、無いー!」


「だよねー!!ガスパールは?」


 少し離れたところにいるガスパールは、右手を持ち上げた。


「うぉー!!ガスパール、スゴい。何本?」


「四本見つけました」


「負けないわよー!ベンジャミン、気合い入れて行くわよ!!」


 いや、姉様。


別に競わなくても良いのでは?


あ、あった!?


屈んで、見つけたニンジンに手を伸ばす。


ガスパールに習った通り、葉と茎を両手でガシッと掴む。


そして、真っ直ぐ上に引く!!


ポンッと効果音を付けたくなる様な感触と共に、ニンジンが姿を現した。


やったー、上手く出来た!!


収穫って、楽しいじゃん。


そのまま、手に持ったニンジンを眺めた。


空のブルーと、ニンジンのオレンジ。


よく分からないけど、カッコいい。


さて、姉様は?


隣の列に視線を向けると、一心不乱に葉を掻き分けて、茎を見ていた。


何となく声を掛けれない雰囲気。


もはや殺気?


まぁいいや、ニンジン探しを続けよう。


しばらくすると大きな声が上がった。


「やったー!見つけたわ!!ガスパール、これ抜いてもいい?」


 姉様は立ち上がって、足元を指差しながら、ガスパールを呼んだ。


姉様、案外慎重派?


ぼく、見せずに抜いちゃったんだけど、大丈夫かな。


ガスパールは、姉様の元へ駆けつけた。


「お嬢様、コレは大丈夫です。さぁ、抜いてみましょう」


 ガスパールが見守る中、姉様は習った通りの手順でニンジンをポンと大地から抜いた。


「うわー、スゴーイ!!綺麗なニンジン!!」


 姉様もニンジンを高く持ち上げて眺めている。


ぼくと同じ行動をしているのが面白かった。


「ガスパール、ありがとう」


 姉様は満面の笑みで、お礼を告げる。


「いえ、どういたしまして」


 ガスパールは、元の場所に戻って行った。


結局、ぼくは更に二本見つけて、合計三本。


ガスパールは、六本。


姉様は、さっき抜いた一本だけだった。


予定通り十本抜いたから、収穫は完了。


「あー、良かった。一本も見つけられなかったら、助っ人をクビになるところだったわ」


 荷馬車の前で、姉様が戯ける。


「心配しなくても、キャロットケーキの作り方を教えてもらわないといけないから、姉様をクビにはしないよ」


 ぼくが冷静に答えると、何故か姉様は悲しそうな顔をした。


ん?ぼくは、何か間違えた!?


「ガスパール、本当にありがとう。ロドニーもありがとう。では、邸に戻りましょう」


 ぼくが戸惑っている間に、姉様は二人へ笑顔でお礼を言っていた。


表情の切り替えが早くない?


それとも、沈んだ顔が見間違いだったのかな。


「ベンジャミン、お菓子作ったことある?」


「あるわけないじゃん」


「そう」


 今、ぼく達は荷馬車に乗って、丘を下りながら、お喋りをしている。


「キャロットケーキの作り方はね、お母様が教えてくれたのよ」


「ん?母様って、お料理とか出来るの?」


「ええ、お菓子作りが趣味なのよ。昔は良く一緒に作っていたわ。だから、私は作り方を知っているのよ」


「ふーん」


「今から作るキャロットケーキは、お母様にプレゼントしたら?喜ぶと思うわよ」


「そう?」


 姉様は強く頷いた。


ぼくは、母様を喜ばせたことなど全くない。


怒らせたことなら、数え切れないくらいあるけど。


ぼくがプレゼントしたとして、本当に喜ぶ?


「それはさ、姉様が渡した方が喜ぶんじゃない?」


「えー、何故?」


「だって、母様は姉様のことが大好きだから」


 姉様が首を傾げる。


「姉様は知らないだろうけど、母様はいつも姉様の話ばかりしているよ」


「え?」


「姉様は、もっと真面目にお勉強していたとか、何でも上手だったとか、、、」


「いやいやいや、それは絶対ないわー」


 ぼくが話している途中で、姉様は手を振りながら否定した。


「私はどちらかと言うと落ちこぼれなの。人一倍努力して、やっと人並みなのよ。ベンジャミン達は少し努力すれば、私なんて簡単に追い抜けるわ。お母様は悔しかったのよ。可能性があるのに、しようとしないから」


“可能性があるのに、しようとしない”


この言葉は、ぼくの胸にグサっと刺さった。


「そうかな」


「そうよ。だから、滅多に会わない私をネタにしたんでしょうけど、悪手だったわね」


「で、姉様は優秀だから、ぼくたちの事をバカにしていると思っていたんだけど。全然違ってた」


「何それ!?優秀って誰のことよ、フフフ」


 姉様は笑い出した。


「それを言うなら私はね、今まで、ベンジャミン達を天使だと思っていたの。それこそ、全然違ってたわ」


「天使!?」


「いつまでも可愛い赤ちゃんのイメージが頭から抜けなくて、、、。久しぶりに会ったら悪魔になっていて戦慄したの」


姉様の悪魔っていう時の表情が面白すぎて、少し笑ってしまった。


「ぼくは天使でも悪魔でもないよ。ただの子供らしい子供だから」


「あー、そのセリフは、ロゼ様が言っていたわね」


「ロゼ王太子妃殿下や王女さまみたいに、ぼくを認めるようなことを言ってくれる人は初めてだった。嬉しかった」


「ロゼ様もマーゴット様も良い方でしょ?」


「うん」


「ちなみに、私も七歳で王都に行くまでは子供らしい子供だったと思うわ。ただ、そこからがかなり過酷だったけど、、、」


 姉様は何かを思い出したのか、顔を歪める。


「ルイス兄様のお嫁さんになるのって、そんなに大変なの?」


「ええ、大変よ。去年までは嫌で嫌で、婚約者を辞退したくて、仕方なかったの」


「辞退?ルイス兄様のことが嫌いだったの?」


「うーん、ルイス様のことは好きだけど、彼が優秀過ぎて、私は何も上手に出来なくて、気付いたら劣等感の塊になってたのって、こんな話を九歳男児にしても大丈夫なのかしら。ベンジャミン、私の言った劣等感って言葉の意味は分かる?」


「何となく分かる。それで、今は?」


「今はね、沢山のお友達が出来て、友情パワーをもらえる様になったから、平気よ」


 姉様は、力こぶを作って見せる。


「やっぱり、ぼくも友達が欲しいな」


 つい、本音が口から溢れた。


昨日から、ずっと考えていたこと。


レノンと二人も良いけど、友達が欲しい。


「ええ、とてもいいと思うわ。ベルカノン領で学校に通うのもいいと思うし、王都に行けば王立学園もあるわよ。本当は七歳まで領地、その後は王都に勉強に行くというのが、ベルカノン公爵家本来のルールなの。だから、希望すれば、お父様はダメとは言わないわ」


「そうかな」


「ええ、大丈夫。いつでも私はあなたの力になるわ」


姉様は、ぼくに優しく微笑んだ。


「ありがとう。考えてみる」


 ガスパールとロドニーは、御者席に並んで座り、ずっとお喋りをしていた。


多分、聞いていないフリをしてくれていると思う。


姉様と、こんなにお喋りしたのは初めてだ。


畑で見た姉様は、ニンジン一つに対しても真剣で慎重だった。


周りの人にも気配りをして、優しい。


そして、ぼくを子供扱いせず、自分の考えを、話してくれたり、力になると言って勇気づけてくれたり、姉様はふわっとしている様で、ちゃんとしている。


ぼくが、今一番したいことは剣術を習うこと。


だけど、農場に行って、学校に通えない子がいると知った。


だから、ルイス兄様と一緒に、誰もが学校へ行ける世の中にしたいと思った。


また、ルブラン文具店に行って、世の中のお店はお客様の要望に合わせて、商品を仕入れて売って儲けているということも知った。


そして、お客は、その値段が商品に見合っているのかを見極める力も必要だと思った。


あまりしたくないけど、勉強はやっぱりしないとダメかも。


ぼくの知らないことが、世の中にはまだ沢山ある。


だから、色んな人と話すうちに、無知な自分を恥ずかしく感じた。


それって、姉様の言う劣等感?なのかな。


ぼくは色々なことを考えながら、流れて行く雲を追った。


最後まで読んで下さりありがとうございます。

面白いと思ったら評価、感想のほど、どうぞよろしくお願いいたします。


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