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リゼの悪役令嬢日記  作者: 風野うた
番外編 双子とルイス

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23、双子とルイス 20

楽しい物語になるよう心がけています。

誤字脱字等のご連絡は感謝いたします。


 丘陵に広がる農園。


我が家にこんな大きな畑があったんだ!?


「ここは歴代のベルカノン領主が受け継いできた大切な農園です。ご存知かも知れませんが、ベルカノン領はランドル王国一の秘境と言われています。他領との細い道が数本しか有りませんので、トラブルが起こると、直ぐに物流が滞ります。領民達の食料確保に、この農園は欠かせないのです。また、作業には多くの領民を雇用しています」


 ガスパールは、道すがら、この農園の説明をぼく達にしてくれた。


「農園事業のこと、私は知りませんでした」


 姉様が口を尖らせながら、ガスパールに言った。


ちょっと不満そうに見えるのは何故?


「お嬢様は王家に嫁がれると聞いています。特にお教えする必要がなかったのではないでしょうか」


「えー、そんな理由なの?」


「それでも教えて欲しいわよね。エリーゼ様」


 ロゼ王太子妃殿下は、不服そうな姉様に同情する。


「正直なところ、領主様は宰相閣下になられてから、ご多忙で全くこちらへ戻られてませんし、手が回ってなかっただけという可能性もあります」


 ガスパールは、父様を庇う。


「お父様って、そんなに忙しいのかしら?」


 姉様がボヤく。


「え?姉様は父様と暮らしているのでしょう?」


「そうよ。確かに王都でもお父様は、お仕事で王宮に行っていることが多いけど、ほぼ毎朝、朝ごはんは一緒に食べているわよ」


「良いなぁー、姉様」


「そう?何なら、お母様と変えっこしても良いわよ」


「あー、それはどうしよう、、、」


 ぼくと姉様の話は、変な方向になっていく。


この会話、、、。


父様が聞いたら悲しみそう。


「ベンジャミン、我が家の状況を改善して貰えるよう、ルイス様に頼んでみましょうか?」


「陛下じゃなくて?」


「んー、ルイス様の方が頼りになると思うけど」


 姉様は、サラリと不敬なことを言う。


「それ、私は聞かなかったことにしておくわね、フフフ」


 ロゼ王太子妃殿下が、横でクスクス笑ってる。


「おれも聞かなかったことにします」


 ガスパールも面倒ごとは聞かなかったことにするタイプらしい。


ぼく達がくだらない話をしている間、王女さまは黙ったまま、農園の彼方をずっと眺めていた。


何か考え事でもしてるのかな。


ぼくも同じ方向を眺めてみた。


ベルカノンの山地が、遠くに霞んで見えている。


 と、そこで姉様が話を始めた。


「ガスパール、今のうちにニンジンの収穫方法を教えてくれない?」


「は、はい。ええっと、実はニンジンの収穫時期には、まだ少し早いんです。ですので、成長の具合を確認しながら、、良さそうなのを抜きましょう。抜くのは簡単です。葉をしっかり持って、真っ直ぐ上に引けば大丈夫です」


 ガスパールは、身振り手振りでコツを教える。


姉様は、それをマネし出す。


「ねぇ、これで大丈夫?」


「はい、とてもお上手です。お嬢様」


正直なところ、練習するほど難しく無さそうだけど、、、。


姉様の情熱がスゴくて、面白い。


「マーゴット、良い眺めよね」


 不意に、ロゼ王太子妃殿下が王女さまに話し掛けた。


「・・・・・・」


 王女さまは何も言わず、手を小さく上げた。


「え!?マーゴット、大丈夫?」


「マーゴット様、えっ!?あ!!」


 何故か、姉様まで慌て出す。


「もしかして、荷馬車で酔われましたか?ちょっとお待ちを。ロドニー!止めてくれ」


 ガスパールは御者のロドニーに向かって大きな声を出した。


荷馬車はゆっくりと止まった。


「お水がありますので!」


 ガスパールは、荷馬車に積んであるバスケットの中から水筒とマグカップを出した。


水を注いで、王女さまのところへ近づく。


王女さまはマグカップを受け取り、一口飲んだ。


そして、溜息を一つ。


皆が心配そうに見守る。


王女さまは、更に何口かお水を飲んだ後、ゆっくりと口を開いた。


「すみません、疲れが溜まっていたようです。少し目が回ってしまって」


「無理したらダメよ!マーゴット」


 ロゼ王太子妃殿下が、王女様の背中を摩る。


「ここからニンジン畑はそう遠くありませんので、王女さまは、ここでお休みになられませんか?御者とロゼ王太子妃殿下は念のため付き添いを。ベンジャミン坊ちゃんとエリーゼお嬢様、私の三人でニンジンは歩いて取りに行きましょう」


「ええ、そうしましょう。ロゼ様、マーゴット様をお願いします。私は、救護の依頼もしておきます」


「エリーゼ様、では、私はマーゴットに付き添っておきますね。それと、もしかしてエリーゼ様は念話が使えるのですか?」


「ロゼ様、念話をご存知なのですか?」


「ええ、今朝シータ君が、私に念話で話し掛けてくれました。あれ、楽しいですよね」


 ロゼ王太子妃殿下が楽しいって言った時、姉様の顔が少し引き攣った気がする。


「あいにく、私はシータみたいに万能ではなくて、ルイス様と話せるくらいで、、、」


 語尾がゴニョゴニョと消えていく。


姉様、それルイス兄様へ確認せずに話して良かったの?


ぼくはちょっと心配になった。


「皆さん、ご心配をお掛けして申し訳ございません」


 王女さまが、お詫びを口にする。


「こちらこそ、ここまでついて来て下さり、ありがとうございます。気にせず、休んでいてください」


 ぼくは、王女さまに言った。


もしかすると、朝から調子が悪かったのかも。


それなら、かなり連れ回してしまった。


ぼくは申し訳ない気持ちになった。


ここからは、出来るだけ自力で頑張ろう。


「では、私達は収穫に行きましょうか」


 ガスパールは荷馬車からピョンと降りて、僕たちに手招きをした。


ぼくと姉様もピョンと降りる。


「あの!!連絡取れました。ここから動かない様にとのことです。直ぐに来ます!」


 姉様が突然大きな声で話し出すから、ビックリした。


連絡が取れたって何?


誰が来るの?


「おい、大丈夫か!」


え?この声は、、、。


ぼくの横を通り抜けて、ルイス兄様は荷馬車の上にいる王女様へ駆け寄った。


え、何処から出て来た!?


チラッと見るとガスパールとロドニーは、辺りをキョロキョロと見回している。


ぼくと同じ気持ちみたいだ。


「姫、邸へ戻って休め。アズもレノンの助っ人が終わり次第、向かわせる」


「お手数をお掛けしてすみません」


王女さまの声に元気がない。


「いや、謝る事はない。ロゼ王太子妃、済まないが姫の付き添いを頼みたい」


「ええ、勿論。殿下も一緒に荷馬車で戻りますか?」


「いや、荷馬車はここに置いていく。オレは狩りの途中だから、急いで戻らないと行けないんだ」


ルイス兄様はそこまで言って、姉様の方を向いた。


「リゼ、オレは二人を邸に送ってから、レノンのところへ戻る。ベンジャミンの助っ人だが、一人で大丈夫か?」


「はい、大丈夫です。ルイス様、よろしくお願いしますね」


「ああ、ではまた後で、、、」


ルイス兄様が話終わると同時に、王女さまとロゼ王太子妃様も一緒に消えた。


「うわっ!消えた!!」


 ガスパールが驚きの声を上げる。


いや、ぼくもビックリした。


御者のロドニーなんて、驚きで口を開いたままだ。


「あー、うそ。ルイス様の言ってた事って、本当だったの!?」


 突然、姉様が頭を抱えて悩み出した。


「お嬢様、どうされました?」


 ガスパールが、心配そうに姉様を覗き込む。


「いえ、私的な悩みの話だから、、、。心配させてごめんなさい!じゃあ、ニンジンを抜きに行きましょう」


 ぼくたちは再び、荷馬車に乗った。



 荷馬車はあれから数分で、ニンジン畑に到着した。


「ロドニー、ここで待っていてくれ」


「はい、お気をつけてー」


「では、あのオレンジポールのところまで行きましょう」


 ガスパールは、畑に立てられたオレンジのポールを指差す。


「ニンジンだから、オレンジなの?」


姉様がガスパールへ質問した。


「ええ、概ね野菜の色と一緒にしています。そうすれば、字が読めない者も分かりやすいので」


字が読めない?


それは困るだろうなぁ、、、。


ぼくはふと、農場の女の子を思い出した。


あの子は毎日お仕事をしていて、文字の勉強をする時間なんてあるのかな。


「ガスパール、学校に行ってない人は多い?」


「坊ちゃん、ベルカノン領は特に多いと思います。家族で農園や牧場をしているところも多いですし、学校も少ないですから」


「学校が少ない?」


「ええ、こんな辺鄙な領地に来てくれる先生が、先ず少ないんですよ」


ガスパールは溜息を吐く。


「やっぱり、交通が不便なのは何とかしないと行けないわよね」


姉様が会話に入って来た。


「道を作るってこと?」


「いいえ、鉄道とかを引いた方が良いわ」


「鉄道って何?」


「んー、レールを敷いて、その上を走るの、、、。っと、この説明じゃ分かりにくいわね」


「うん、全然分からない」


「ルイス様に何とかして伝えるから、この話は一旦忘れて」


「分かった。前から思ってたんだけど、姉様って、ルイス兄様を頼り過ぎじゃない?」


「まぁ、確かに、、、」


「ルイス兄様は、姉様の何処がいいんだろう。ぼく、全然分からないんだけど」


「ベンジャミン、結構、失礼な事を言うのね」


「まぁまぁ、お二人とも仲良くお願いします。ニンジンの説明をしますね。先ずこれを見てください」


 ガスパールは、その場にしゃがんで、ニンジンの青々とした茎を指差した。


僕たちもしゃがんで、ガスパールの手元に注目する。


「この茎の根本の直径が四〜五センチのものを選んで下さい。ちなみにこれは細いのでダメです。見つけたら、俺を呼んでください」


「茎の根本の太さが重要なのね。分かったわ」


 姉様は、立ち上がると視線はニンジンに向けたまま前へ歩いていく。


「坊ちゃんは隣の列をお願いします」


ガスパールに促されて、ぼくは一つ横の列に移動した。


顔を上げて見渡せば、鮮やかな葉っぱのグリーンと空のブルーが目に飛び込んで来る。


こんな綺麗な景色が、身近にあると知った。


父様のミッションに感謝しないと。


ぼくは視線を落とし、ニンジンの茎を確認する作業を始めた。



最後まで読んで下さりありがとうございます。

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