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リゼの悪役令嬢日記  作者: 風野うた
番外編 双子とルイス

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22、双子とルイス 19

楽しい物語になるよう心がけています。

誤字脱字等のご連絡は感謝いたします。


 胸に押し付けていたカードを持ち上げて、ミッションの内容を確認する。


“我が家の畑に生えている人参を収穫して、キャロットケーキを作りなさい”


“作り方はエリーゼに聞くこと”


二つの指示が書いてあった。


 ぼくがお菓子作り!?


何それ!楽しそうじゃん!!


予想外のミッションに、ワクワクして来た。


キャロットケーキって、ニンジンが入ってたんだ!?


甘いお菓子に野菜が入ってるなんて、思わないよね。


よし!早速、姉様にお願いしよう。


顔を上げたら、レノンが見えた。


えっ、何!?


あいつ、何を引いたんだろう?


物凄く悲しそうな顔をしているけど、、、。


その様子に気付いたアズ兄様が、レノンへ近寄っていった。


シータも一緒に。


あの二人が声を掛けるなら、大丈夫。


ぼくは自分のミッションを頑張ろう。



 姉様は同じテーブルの王女さま、ロゼ王太子妃殿下と、一緒にお喋りをしていた。


「姉様、ミッションのお手伝いしてくれる?」


「あ、ベンジャミン!ええ、良いわよ。で、何を手伝えばいいの?」


ぼくは姉様にカードを見せた。


「おおお!!コレはわたしの唯一得意な分野!」


唯一って、、、。


「あら、エリーゼ様。何のお手伝い?」


ロゼ王太子妃殿下が、姉様の手にあるカードを横から覗き見した。


「まあ!楽しそうね。私もお手伝いして良いかしら?」


ええっと、助っ人って、ぼくが頼むのでは?


ま、いっか。


「ねぇ、マーゴットも一緒にしましょう!!楽しそうよ」


ロゼ王太子妃殿下は、勝手に王女さまも誘った。


ねぇ、女性って、そんなにお菓子作りが好きなの?


いきなり学んだ。


「はい、わたくしも宜しければ、ご一緒いたします」


王女さまは、ぼくを見る。


「是非、お願いします」


姉様以外に頼むつもりは無かったんだけど、ちゃんとお願いして、ケジメはつけた。


だって、ぼくがリーダーだから。


ただ、この三人が一緒だと、ぼくの指示を聞いてもらえるのかが、少し心配。


それぞれが、好き勝手なことを言い出したらどうしよう、、、。


ぼくの脳裏に母様が浮かぶ、、、。


母様は、ぼくの話なんて全く聞いてくれない。


だから、ぼくは女性が少し苦手。


「さあ、美味しいのを作るわよ!ベンジャミン、レシピ以外は指示を出してね」


あれ?意外。


姉様が、一番自分勝手な行動をしそうな気がしたのに、、、。


「分かった。指示は、ぼくが出します」


ええっと、先ずは我が家の畑からだな。


「我が家の畑について、庭師のところへ聞きに行きます」


ぼくは中庭の先にある庭師の建物を指差した。


「では、話を聞きに行きましょう」


王女さまは、席を立つ。


姉様とロゼ王太子妃殿下も続けて立ち上がる。


「ベンジャミン、私達はついていくからどーぞ」


姉様は、ぼくの後ろに立った。


えっ、一列で行くの?




 結局、四人で縦に並んで庭師の所まで行った。


リーダー扱いしてくれるのは嬉しいけど、縦並びは少し恥ずかしい。


「お仕事中、ごめん。うちの畑を管理している人に聞きたいことがあるから、呼んでくれる?」


建物の前で、花苗の手入れをしているマネ爺を見つけたから、ぼくは話し掛けた。


「おう、ベンジャミン坊ちゃん。あらー!エリーゼお嬢ちゃんも来たん?そして、その後ろにいるご令嬢方も美人さんやね」


「マネ爺、お久しぶり!!お元気だった?」


姉様は、ぼくの横に飛び出して来た。


縦一列は、崩れる。


「ああ、概ね元気ヨォ。ちょっと膝が弱ってきたんやけどね。歳やから仕方ないちゃ」


「そう、お膝は痛いの?」


「寒い日は特にね。えー、畑のことなら、ガスパールが管理しとるよ。呼んでくるけん、ちょっと待っとき」


マネ爺は、建物の中に入っていった。


「ベンジャミンは、マネ爺と知り合いだったの?」


「うん、花壇をダメにして、めちゃくちゃ怒られたことがあって、、、」


「それは最悪ね」


「・・・・・・」


姉様からグサっと刺さる言葉を貰って、言い返す言葉が無い。


「ベンジャミン君って、子供らしい子供なのね。良いことよ!」


姉様が隊列から抜けて、ぼくの後ろに居たロゼ王太子妃殿下が話し掛けて来た。


「子供らしい子供?」


子供らしいも何も、ぼくは子供だから当たり前なんじゃないの?


「ふふふ、私の父もベルファント王国で、宰相のお仕事をしているの。で、お兄様が居るのだけど、私の知る限り、昔から次期宰相の勉強や剣術の修行ばかりさせられて、いつも楽しくなさそうだったわ。だから、子供の時期に子供らしく過ごせる環境って、とても素敵だと思うの」


んー、ぼくは好き勝手にしているだけなのに、褒めてくれるの?


いや、それを真っ直ぐ受け取ったら、ダメだよね。


「ぼくは、子供の頃からお勉強と剣術を頑張った、お兄様の方がカッコいいと思います」


「あら、そう?兄に伝えておくわ。ありがとう」


「実は、わたくしも幼少期は母の実家で過ごしていましたから、剣を片手に毎日暴れていました。大丈夫、少しずつ変わって行けばいいのです」


ロゼ王太子妃殿下の後ろから、ひょこっと横に出て来た王女さまも優しく、ぼくを励ましてくれる。


ええっと、こういう風に言われるのは初めてで、何と返したらいいのか分からない。


「あら、マーゴット。あなたの武勇伝なら、かなり王都まで聞こえていたから、勿論、知っているわ。そんなあなたもお年頃になって、婚約者まで出来て、、、ねぇ」


ロゼ王太子妃殿下は、王女さまの肩をトントンと叩いた。


「お待たせしました!ガスパールです」


マネ爺と一緒に、少し若いおじさんのガスパールが建物から出てきた。


「こんにちは、ベンジャミンです。今日は、うちの畑で育てているニンジンが欲しいのですが、収穫してもいいですか?」


「ニンジンは何本くらい必要ですか?」


あ、何本いるんだろう?


ぼくは、横にいる姉様に視線を送った。


「ええっと、十本くらいあれば足りると思います」


ぼくの代わりに姉様が答えた。


「それくらいなら、大丈夫です。まだ全部収穫するには早いので、よく育っているのを探しましょう。畑に行かれますか?」


「はい、行きます」


「では、作業用のグローブを用意します。お嬢様方はその格好では汚れてしまいます。ズボンやシャツ、ブーツはお持ちですか?」


「はい、あります。では、着替えて来ますね。ここに集合したらいいですか」


姉様が、三人を代表して答えた。


「いえ、畑は荷馬車で十五分ほど掛かりますので、東門のロータリーで、三十分後に待ち合わせましょう」


「分かりました。では、ロゼ様、マーゴット様お着替えをしに戻りましょう。足りないものはお貸ししますね」


姉様は、ロゼ王太子妃殿下と王女さまの手を取った。


「ガスパールさん、また後でー!マネ爺も、またね!ベンジャミン、行ってくるわね」


「はい、また後で」


ぼくはマネ爺、ガスパールと一緒に三人を見送った。


「それにしても、綺麗なお嬢様方やったね」


マネ爺がぼくに言う。


「はい、お二人とも、ベルファント王国の方で、赤みがかったプラチナブロンドの髪の方が王女さまで、もう一人は王太子妃殿下です」


ぼくの言葉を聞いて、二人は口をぽかーんと開けたまま固まった。


「心配しなくても大丈夫です。とても優しい方々です」


ぼくはフォローした。


「い、いやー、こんな田舎にそんな高貴な方が来るとか思わんかったねー」


「マネ爺はいいですよ。おれはこれから畑にご一緒するんですよ!!」


ガスパールは動揺している。


「ぼくも一緒に行くんで、大丈夫です」


「はあ、ベンジャミン坊ちゃん、おれが失敗しないように見守ってくださいね。どうぞよろしくお願いします」


ぼくがお世話になるはずだったのに、それってアベコベじゃない?



 

 ベンジャミンと分かれて、私たちは一旦、各々の部屋へ着替えるために戻った。


三十分しかないから、少し急がないと!!


部屋に入って、ドレスを脱ぎ捨てる。


クローゼットから、ブラウスとトラウザーズとベストを取り出す。


それを着て、最後に乗馬用のブーツを履いた。


あ、ルイス様に途中経過の報告でもしておこうかな。


『ルイス様ー?今、大丈夫ですか』


『・・・・・・』


あれ、忙しいのかな?


じゃあ、先に髪を編み込もう。


このままじゃ、サラッと落ちて、邪魔になるもの。


ドレッサーの前に座って、ブラシを手に取った。


『リゼ、済まない。ちょっと立て込んでいた。で、どうした?』


『いえ、途中経過を報告しようかなと思っただけです。お忙しいなら後にしますよ』


『いや、今でいい』


ブラシで髪をとかす。


『では、ご報告します。今から動きやすい服に着替えて、我が家の畑に向かいます。ここから荷馬車で十五分ほどらしいです』


『結構、離れているんだな?』


『そうですね。実は今回このミッションで、我が家に畑があると初めて知りました』


『そ、そうなんだな』


頭のテッペンから、丁寧に編み込み始める。


『ええ、私のベルカノン領の記憶は、七歳から止まっていますから。今回のミッションゲームは、色々と知れて、とても良いですね』


『ああ、確かにオレも色々考えさせられる事が多い』


編み込み、あと少し!!


『ルイス様が?』


『ああ、オレも双子と一緒で、母上にちゃんと感謝の気持ちを伝えられてない気がする』


『なるほど、では、今年のルイス様のお誕生日に、産んでくれてありがとうって、感謝の気持ちを伝えるのはどうでしょう?』


よし!後はリボンで結べば、、、あれ?


リボンは何処だー!?


『それは良い考えだな。リゼ、何かしているのか?』


『あ、何か聞こえました?リボンを探してます』


『リボンなら、ナイトテーブルの上にあったと思うぞ』


ナイトテーブル!?


私は立ち上がって、ベッド脇に向かった。


『あっ、ありました!!ナイスです。ルイス様!!』


『リゼ、今夜オレは少し留守する』


『お母様を、お迎えに?』


『いや、それは夕方に行くから違う』


『お仕事ですか?』


見つけたリボンで髪を結んだ。


よし、準備はオッケー!


『違う。ロイとロゼ王太子妃をベルファント王国の宮殿まで送ってくる』


『え!?何か一大事でも起こったのですか?』


『念話で伝えるのもどうかと思うのが、、、。姫と行動を共にしているなら、言っておいた方がいいだろうな』


『え、何ですか?マーゴット様がどうしたのです?』


『落ち着いて、聞けよ。アズと姫に子供が出来た』


『・・・・・・ん?』


『おーい、大丈夫か?』


『何故?』


『何故?って、何だ?』


ルイス様が、変なことを言う。


『いや、オレは変なことは言ってないぞ』


『念話プラス心を読むなんて、荒技はやめてくださいよ』


『いや、まぁそれは、すまない。と言う訳で、姫の体調が悪くなったりしたら、直ぐ呼んでくれ』


『いえ、だから何故?』


『その何故は、何を指している?』


『結婚してないじゃないですか』


『ん?』


『だから、結婚してないですよね、あの二人』


『ああ、婚約者だけどな』


『なので、子供が出来るはずないじゃないですか』


『・・・・・・』


何故、ルイス様なのに、そんなことも知らないの?


『えーっと、リゼ。急いでいるんだろう?この件は、夜にじっくり話そうか』


あ!そうだった、私は東門に急いで行かないと!!


『はい、急がないと行けないのを忘れてました』


『まずはミッションを頑張れ。また、途中経過の連絡をよろしく頼む』


『はい!』


ルイス様との念話を終えて、私は慌てて部屋を飛び出した。


最後まで読んで下さりありがとうございます。

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