表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リゼの悪役令嬢日記  作者: 風野うた
番外編 双子とルイス

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

73/87

19、双子とルイス 16

楽しい物語になるよう心がけています。

誤字脱字等のご連絡は感謝いたします。


 「ええっと、魔術のことを知らない僕が言うのも何だけど、比較するなら、分かりやすく言ってくれない?例えば、正確さとか、一度に送れる人数的なものとか」


 ロイ王太子殿下が、ルイス兄様に注文を付ける。


「オレは正確さなら、行きたいと思った着地点がズレたことは過去に一度も無い。送れる人数は距離にも寄るが。国内なら何十人でも大丈夫だと思う。ただ、ベルカノン領だけが、何か変なんだよなぁ」


 それを聞いたアズ兄様は溜息を吐いた。


「俺は行きたいところの周辺に飛べる。ポイントを絞れるのは、せいぜい一キロ以内。一度に運ぶ人数も五名が限界だよ。殿下、こういう話をするのって初めてだね」


「ああ、新鮮だな」


 ふーん、そうなのか。


 同じ魔術師でも、そんなに違うんだ。


「で、シータは?」


「ボクはね、ルイス兄様の半分くらいだと思う。まだ成長中だから」


「大きくなったら、一緒くらいになるってこと?」


「そうだよ」とシータは頷く。


 僕は驚いたのに、後の四人は当たり前の様な顔をしている。


「え、だってルイス兄様と同じくらいってスゴくない?」


 気になって聞いてしまった。


「うん、スゴいかもね。だから僕はこの国を守る仕事をする」


 あー、そうだった。シータは将来、王宮筆頭魔術師になるんだもんね。


「カッコいいね」


 僕はシータに向かって言った。


「ありがとう、レノン。でも、君も宰相になるんだろう?」


「え!?」


「ルイス兄様が国王陛下になる時には、レノンが宰相になるんだよね?」


 シータはルイス兄様を見上げながら、そう言った。


――――僕はその話を知らない。


「シータ、まだ決まったわけじゃない。ベンジャミンが宰相をしたいと言えば、レノンは領地の仕事をするかも知れないし、他の職業につく可能性もある。勝手に決めつけてはダメだ」


「はーい、勝手に決めつけて、ごめんなさい」


 シータは、僕にペコリと頭を下げた。


――――今朝の釣りの時にルイス兄様が言っていた、自分の家門のことをもっと知れって、この事なの?


 シータは、僕の父様は国で二番目に権限のある仕事をしていると言っていた。


 それって、かなり勉強とかしないとなれない職業なんじゃない?


 僕は血の気が引いて来る。だって、僕とベンジャミンは、まだ何の勉強も努力もしてない。それにベルカノン領の事さえも分かってなくて、ましてや国の事なんて、とてもじゃないけど想像もつかない・・・。


 僕たちがこんな状態で、そんな重要な仕事を家門の都合で請け負うことになったら、この国は滅茶苦茶になってしまう。


「おいおい、大丈夫か?顔色が悪いぞ」


 ルイス兄様が、僕の背中を摩る。


「プレッシャーに感じたんじゃない?」


 ロイ王太子殿下も手を伸ばして、頭を撫でてくれる。


「レノン、心配はいらない。今から頑張れば何にでも成れるのだから」


 ルイス兄様の優しさが、今の僕にはとても重く感じる。


――――将来、僕はルイス兄様を支えられるような存在になれるのかな。


いや、今のままじゃ到底無理だよ・・・。


 


 テンション爆下がり中の僕の元へ、マーキュリーが戻ってきた。


「レノン坊ちゃん、ご用意が出来ました。こちらの大きなトートバッグの中にロープとナイフを三本入れてます」


 マーキュリーは、その大きなトートバックを、さっと手を出したロイ王太子殿下へと渡す。見るからに重そうなバックを、ロイ王太子殿下は軽々と肩に掛けた。


「あれ、レノン坊ちゃん、大丈夫ですか?顔色が悪いですよ」


 マーキュリーは心配して、僕の横に来る。


「大丈夫、少し考えすぎたみたいだよ」


 ロイ王太子殿下はマーキュリーに事情を話す。


「レノン、コレで元気を出せ!!」


 ルイス兄様がポケットから、キャラメルを三粒出した。


――――あれっ?コレって、僕が大好きなお店のやつだ。


「え、何で!?」


「コレはな、宰相から、お前が落ち込んだら渡す様にと、預かった物だ」


 僕の手にキャラメルを握らせながら、ルイス兄様は教えてくれた。父様は、こんなに離れているのに僕の好きな物を知っていたんだ。


――――待って、涙が出そう・・・。


「あー、宰相!逆効果じゃないか!!頼むから泣かないでくれー」


 ルイス兄様は、僕を抱き上げる。僕はギュッーとルイス兄様の首に巻き付いた。――――ふわりと良い香りがしてくる。


「ルイス兄様、姉様と同じ香りがする」


 僕が呟いたら、ルイス兄様は僕の背中を撫でながら「そうか」と、優しく返してくれた。


 「同じ匂いがするって?随分楽しそうな話だね~」


 ロイ王太子殿下がルイス兄様に小声で言う。


 僕は首に巻き付いているから、しっかりと内容が聞こえた。


「ロイ、余計なことをいうな。そして、変な風に捉えるな。これはベルカノン領でしか売ってないティーツリー・シャンプーの香りだ。リゼと同じものを使ったから同じ匂いがするだけだ」


「ふーん」


 ロイ王太子殿下は、楽しそうにルイス兄様の話を聞いている。


「姉さまと一緒にお風呂に入ったの?いいなぁ~」


 僕は羨ましくて、つい口に出してしまう。


「いや、残念ながら一緒には入っていない」


 キッパリと返された。


「なんで?お風呂が狭かったの?」


「いや、そういう問題じゃないんだ」


 ルイス兄様は、顔を上げて遠くの空を見つめている。


――――どうしたんだろう?姉様に断られたのかな。


「僕が姉様に頼んであげようか?」


 ブッとロイ王太子殿下は吹いた後、アハハッハと大声で笑い出す。


――――ルイス兄様は何も言わずに黙っている。


「ねー、ルイス兄様。じゃあ僕が一緒にお風呂に入ってあげようか?」


 フッとルイス兄さまは笑って、僕の方を見た。


「ああ、そうだな。ありがとうレノン」


 そして、ギュウっと抱きしめてくれた。


――――やっぱり僕の兄様は優しくてカッコいい!


 僕もギューッと抱きついた。

 

 「レノン坊ちゃんもお元気になられたようで良かったです。では、そろそろご出発されますか?」


  マーキュリーの声がした。


 僕は顔を挙げて、彼に追加で頼みたいことを口にする。


「マーキュリー、ベルカノン領の地図を持って来て欲しい。それから、獲物は何処に置いたらいい?あとは狩りが終わったら獲物を調理するから、何人か調理場の料理人を借りたいのだけど、大丈夫かな?」


「はい、地図は直ぐにお持ちします。獲物は厨房に近い西館の入口前に置いてください。料理人に下ごしらえを頼んでおきましょう。最終的な調理はここ(中庭)で、なさってはいかがですか?そのままパーティーも出来ますから。料理人は確保しておきます」


 マーキュリーは、スラスラと僕の要望にアドバイスも交えて答えてくれた。


「うん、中庭で仕上げるのは良いと思う。ルイス兄様、母様って今夜は?」


「ああ、今夜オレが王都に迎えに行く予定にしている。みんなで夕食を食べよう」


「分かった。じゃあ、夕食はみんなでパーティーにするから、マーキュリー宜しくお願いします」


「はい、かしこまりました。では地図を!」


  マーキュリーはくるっと回って、走って行った。いつも優雅に歩いているから、走るのは初めて見たかも・・・。


「いい執事殿だな」


 ロイ王太子殿下が呟く。


「はい、自慢の執事です!」と僕は答えた。


「お待たせしましたー!」


 光の早さで戻ってきたマーキュリーは、僕に地図を渡した。僕は抱っこされたままだったから、降ろしてもらって受け取る。そして、アズ兄さまとロイ王太子殿下に地図を渡して、広げてもらった。


――――とっても大きなその地図を僕は初めて見た。近づいて覗き込もうとすると、ルイス兄様が僕の腕を掴む。


「レノン、ちょっと待ってくれないか」


 そう言うとルイス兄様は地図の前に一人で立った。ジーっと地図を見詰めている。自然と僕達は口を閉じて、静かに見守る体制になった。


 ルイス兄様は指先を伸ばし、地図にそっと触れた。その瞬間、紙がキラキラと光ったように見えたけど・・・、気のせいかな?


「ありがとう。覚えたからもう大丈夫だ。シータも記憶するか?」


 ルイス兄さまは、横に立っていたシータに声を掛ける。


「うん、ボクも覚える!」


 入れ替わって、今度はシータが地図の前に立った。同じように指を伸ばすのかと思ったら、手を広げて地図に翳した。ふわっと何かが溢れるような感覚がして、シータの手から白い光が出る。


――――それがスッと消えていくとシータは手を下ろした。


「覚えたよー」


「一体、どういう仕組みなの?」


 ロイ王太子殿下が、ルイス兄様とシータに向かって言った。ふたりは同時に小首を傾げる。


「ああ、もういいよ。聞いた僕が馬鹿だった。ええっと、アズ君も覚える?それなら、誰か持つのを変わってあげて」


「じゃあ、オレが持とうか」


 ルイス兄様とアズ兄様が入れ替わった。残念ながら、僕は背が低いからお役に立てない。


――――アズ兄様はどんな風に記憶するのかな。僕は少しワクワクしていた。すると、アズ兄様は懐から小さな手帳を取り出した。それを左手に持ち、右手で地図に触れる。何か小声でブツブツと唱え出したけど、内容は分からない。言い終わると、小さな手帳が柔らかな光を放った。


「記録したよ」


「アズ君、それはまさか魔道具ってやつなのかい?」


 地図を畳みながら、ロイ王太子殿下が尋ねる。


「はい、何でも転写出来ます。俺が開かないとただの紙なので安全なんですよ」


 アズ兄様はロイ王太子殿下の目の前で手帳をパラパラと捲って見せる。


「あ、本当だ。白紙だね」


「それで俺が魔力を入れて開くとこうなります」


 あるページを開いて見せる。


「おおおお!スゴイ。地図が映ってる!!」


 その声を聞いて、僕も横から覗き込んだ。確かに大きな地図が、そのまま小さくなって載っていた。


――――えっ、どういう仕組みなの?魔術って凄いなぁ。


「それでは地図は回収いたしますね。くれぐれも皆さまお怪我の無いよう、お気をつけて行ってらっしゃいませ」


 マーキュリーは深々と礼をした。


「ああ、そろそろ出発するとするか」


 ルイス兄様は僕を見る。


「はい、まずはカイザーラビットを狩りにいきます!ルイス兄様、お願いします」


 僕が言い終わると同時に、風景が切り替わった。くるりと白木に囲まれて、丸く開けているその場所は、日当たりが良いからか背丈の高い草が生い茂っていた。


 背の低い僕は、首元まで草に埋まってしまい身動きが取れない。


――――いきなり、予想外な展開なんだけど。

最後まで読んで下さりありがとうございます。

面白いと思ったら評価、感想のほど、どうぞよろしくお願いいたします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ