表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
リゼの悪役令嬢日記  作者: 風野うた
番外編 双子とルイス

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

71/87

17、双子とルイス 14

楽しい物語になるよう心がけています。

誤字脱字等のご連絡は感謝いたします。


 ぼくたちのテーブルは、シータの愛犬、ルドルフの面白い話で盛り上がっていた。


 シータは王都のベンカノン邸で産まれた子犬を、姉様から貰って育てている。ルドルフという愛犬は、とても人懐っこくて可愛いらしい。それで、ご飯を沢山食べるから、好きなだけあげていたら、シータは家族から怒られたのだと言う。


 『このままでは、ルドルフが不健康になるぞ!』と。


 そこで、満腹感をもたらす魔術を掛けた餌を作って、食べさせる様にしたら、ルドルフは適量のご飯で満足するようになった。ところが、食べる量は減ったのに、ルドルフのカラダが驚くほど大きくなっていって・・・。


 今度は家族から『お前、ルドルフに何かしたのではないか?』と、シータは怪しまれているらしい。


 だけど、今のところは上手く誤魔化しているんだと、シータは言う。――――その話を聞いて、ぼくは、ルドルフを見てみたくなった。ふわふわ大きな犬って、可愛いだろうなぁ・・・。


「シータ、その餌って、僕が食べたらどうなる?」


「え、ベンジャミンは犬の餌を食べたいの?」


 シータはそう言って笑い出した。



――――いや、本当にベンジャミンは突然、何を思ってそんなことを言い出したんだ?と驚いてしまう。僕はベンジャミンが、ルドルフではなく、餌に興味を持ったことに驚きを隠せなかった。


「シータ、犬の餌ってどんな味なの?」


 ベンジャミンは、シータへ質問を続ける。


「ドックフードだから、硬いし味も美味しくないよ」


「ふーん、そうなんだ」


「ベンジャミン、もしかして大きくなりたいの?」


 僕は意を決して、弟に聞いた。


「うーん、どうだろう。突然大きくなったら面白いかなぁ~と思って」


「大きくなってどうするの?」


「大きな剣が持てそうだよね」


「ああ、なるほど!」


 確かにベンジャミンは剣術を習いたいって、昨日ルイス兄様に言っていた。


「ボクさ~、ルドルフに悪いことをしたと思ってるんだよね。だから、ベンジャミンは食べない方がいいと思うよ」


「そっかー、失敗したら大変なことになりそうだもんね」


「うん、オススメは出来ないよ」


「そう言えば、シータってさ、もう将来の仕事が決まっているんでしょ?」


 ベンジャミンがシータに尋ねる。


「え、そうなの?」


 僕、その話は今初めて聞いたのだけど・・・。


 シータは何でも無い事のように淡々と話し始めた。


「うん、ボクはね、大きな魔力を持って産まれたんだ。だから、筆頭王宮魔術師として、この国のために働くことが決まっているんだよ」


「国の為に!?スゴいね!」


「レノン、ベルカノン公爵も宰相という仕事をしているよね?」


「ああ、父様の仕事のこと?僕たちは余り詳しくは知らないんだ」


「宰相ってね、陛下の次に権限のある難しい仕事なんだよ」


「ええええ!?」


 ベンジャミンが大きな声を出した。僕は深呼吸をして気持ちを落ち着けてから、シータに返事をした。


「そうなの?」


「そうだよ。だからここ(領地)にも、なかなか帰れないんだよ」


 シータの話を聞いてビックリした。父様が王都に居て何をしているのか、何故ここになかなか帰って来ないのかを、僕らは全く知らなかったから。


「シータって、物知りだね」


 僕は尊敬の気持ちを込めて言った。


「物知りってほどじゃないけど、ありがとう」


 シータがニコッとして、僕とベンジャミンもニコッとした。そこで話が落ち着いたから、僕は周りを見渡してみた。


――――あれ?アズ兄様と王女さまが居ない。何処に行った!?


 ロイ王太子殿下とルイス兄様は、真面目な顔をして、何かを話し込んでいる。


「何かあったのかな?」


 僕が呟くと、シータが答えてくれた。


「多分、おめでたいお話だよ。後で聞いてみたらいいよ」


 シータは、内容を知っているみたいだ。


 姉様を見ると、ロゼ王太子妃殿下と楽しそうにお喋りをしていた。特に何か事件が起きたと言う雰囲気も無い。


 シータの言う通り、心配しなくても良さそうだ。


「ねぇ、レノンのミッションは何だったの?」


 ベンジャミンの質問を発端にして、僕たちはそれぞれのミッションの内容を報告し合った。


 僕は正解が妖精だった『虹色に輝く金の魚』に驚いたけど、ベンジャミンが話してくれた金貨三枚の『虹のしずく』には、もっと驚いた。


 姉様、スゴい。


 ベンジャミン曰く、姉様は『虹のしずく』に於ける大胆な浪費について、ルイス兄様から注意を受けたらしい。


 ルイス兄様、姉様に振り回されて大変だな。そこは父様が注意するところじゃ無い?


 僕は父様がミッションを利用したのかもと勘繰ってしまった。


――――――――


――――時刻は十三時半。

 

 食事も終わり、各テーブルではお喋りに花が咲いている。


 そろそろ、頃合いか・・・。オレ(ルイス)は皆の前に出る。


「皆、ちょっといいか?」


 オレが呼びかけると、皆は口を閉じた。


「レノン、ベンジャミン!そろそろ、五枚目と六枚目のカードを引く時間だぞ」


 オレの声を聞いて、双子がバタバタと慌ててこちらへ走ってくる。


 ――――オレはテーブルに、二枚のカードを並べて置いた。


「ねえ、どっちにする?」


 ベンジャミンがレノンに聞く。


「僕は左」


「じゃあ、ぼくは右でいいよ」


 二人はテーブルから素早くカードを取って、自分の胸にカードを押し当てる。――――相手に見えないようにしている仕草が可愛らしい。


「内容を離れたところで確認してから、助っ人を選べ」


 オレが指示を出すと、双子は右と左に分かれて走っていった。


 皆からかなり離れたところで、周りを確認してから、ミッションカードを覗き込んでいる。――――警戒心が強くて、中々良い。


 ベンジャミンは、カードを見てニコッとした。一方、レノンはあからさまに困った表情で肩を落としている。先にテーブルの方へ戻って来たのはベンジャミンだった。


 そのタイミングでアズと姫も戻って来た。二人は何も言わず、ササっと席に着く。


『殿下、お陰様で落ち着いて話が出来ました。ありがとうございました』


 念話で、アズが話し掛けて来た。


『ああ、良かったな。これからの事は、また後で話そう』


『はい、宜しくお願いします』


 アズの表情は、さっきと一変して、柔らかく穏やかになっていた。オレはそれを見てホッとした。――――多分、オレはリゼがオレの子を身籠ったとか言ったら、間違いなく号泣する。アズの狼狽えなんて、可愛いものだ。――――とは言っても、あのアズが、椅子から転げ落ちるとは思わなかったけど。それくらい、子を授かるというのは人生で大きな出来事だよな。あー、正直なところ、物凄く羨ましいぞ!!


 オレが色々考えていると、袖を引っ張られた。


「ん?」


 振り返るとレノンがいた。


「レノン、どうしたんだ?」


「ルイス兄様、手伝って下さい」


 泣きそうな顔で頼んできた。


「ああ、勿論、手伝うよ。他に助っ人は?」


「強い人にしました。アズ兄様とシータも・・・」


 レノンは、オレの背後を指差す。振り返ると、アズとシータが戯れていた。


「おや、僕は?」


 横から、ロイが話に割り込んでくる。


「ロイ王太子殿下は強いですか?」


「あー、僕は強いというより知略系だね。あと、ベルカノン領のことに詳しいよ」


 ロイの顔をじーっと見ながら、レノンは悩む。――――そして、決断した。


「王女様がいいです」


 ガクっと、ロイが椅子から滑り落ちていった。何なんだ、今日は椅子から落ちるのが流行っているのか?


「ロイ、自分で起きろよ」


「分かっているよ。レノンくん、僕じゃダメかい?」


 ロイは、なおも食い下がる。姫が身籠ったと知ってしまったから、危険な事をさせたく無いのかもな。でも、レノンは事情を知らないから、上手く伝わらないんじゃないか。


「うーん、じゃあ、ロイ王太子殿下にします」


 あ、案外、簡単に変えてくれるのか。優しいな、レノン。芝生に転がっていたロイは、スクッと起きあがり、そのままレノンを片手で持ち上げた。


「うわー!!」


 レノンは予想外の展開に声を上げる。


「僕は強くないけど、力はあるよ。お役に立てるように頑張るね」


 ロイはそのままレノンを自分の左肩に乗せた。レノンはすぐ慣れたのか、ちょっと楽しそうにしている。


「アズ、シータちょっと来い」


 テーブルの周りに、助っ人を集める。


「で、ミッションは何だったんだ?」


 オレは、レノンに聞いた。


「ええっと、野生のカイザーラビットを三羽と、いななき鳥を五羽、ベルカウを一頭捕獲して、それぞれの肉でパエリアと焼鳥とステーキを作れと書いてあります」


「それは結構ヘビーだな。土地勘のあるロイを選んで良かったと思うぞ」


「そう?」


「ああ、正しい選択だ」


 レノンはニコッとした。


「しないといけない事が多い。早速、出掛ける準備をしよう」


 そこまで話したところで、双子のもう一人、ベンジャミンのことを忘れていたと気付いた。見渡すと、リゼのテーブルにベンジャミンが居た。


『リゼ?ベンジャミンは何と言っている?』


『ルイス様、私は助っ人を頼まれました。ロゼ様とマーゴット様も一緒です。ミッションは、『我が家の畑に生えている人参を収穫して、キャロットケーキを作りなさい』だそうです』


 なるほど、あちらはお菓子作りか。オレ達は、メインディッシュの調達と言った感じだな。宰相は夜にパーティーでもする気なのだろうか・・・。


『分かった。オレもレノンに助っ人を頼まれた。これから狩りに行ってくる』


『狩りですか!?ルイス様が行ったら、一瞬で終わりそうですね』


『そうか?オレ、狩りは人生初だぞ』


『あら、意外ですね』


『ねえ、ルイス兄様、リゼ姉様。時間が無いから、そろそろ出発しない?』


 突然、シータが念話に割り込んでくる。


――――ビックリした。そうだった、シータはこんな奴だった。完全に油断していた。オレはリゼと目配せをしてから、立ち上がって声を上げる。


「さあ、最終ミッションは今からスタートだ!!」


 皆が「はーい」と声を揃えて返事をした。


最後まで読んで下さりありがとうございます。

面白いと思ったら評価、感想のほど、どうぞよろしくお願いいたします。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ