9 、双子とルイス 6
楽しい物語になるよう心がけています。
誤字脱字等のご連絡は感謝いたします。
ルイスとリゼの甘ーい回です!!
賑やかな夕食会が終わり、それぞれが部屋に戻って行く。私とルイス様は皆を見送り、二人だけになった。――――そこでルイス様は、ある事に気がついた。
「リゼ、オレはどこで・・・」
「あ!お部屋ですよね?」
お母様を王都に送ってしまい、ルイス様をどの部屋に案内したら良いのかが分からない。
――――執事のマーキュリーに聞こうかしら?
「すみません、ルイス様。執事に確認をして来ます」
私は慌てて、踵を返した。
「ちょっと待て、リゼ」
ルイス様が直ぐに呼び止める。
「はい、何でしょう?」
「確認しなくてもいい」
「え?」
ルイス様の発言の意味が分からない。
「でも、ルイス様の寝る部屋が、、、」
無意識に首を傾げていた。
「いや、リゼと一緒でいい」
「――――、は?」
「今更だろう?魔塔では、毎日一緒に寝ていた」
「いやいやいや、あれはイレギュラーですから」
あの事件が解決した後からは、別々に暮らしているし、視察先では、先方が王子殿下達はまだ婚約者だからと、二部屋用意してくれている。――――突然、一緒の部屋で寝ようって、何?
「一様、ここは実家なので・・・」
私は言葉を濁した。
「何の問題も無い」
――――曇りなき眼で言わないでー!!
「ルイス様、私が後々使用人に揶揄われるという可能性は無視ですか?」
「リゼ、オレたちは婚約者同士だろ。何故、揶揄われるんだ?」
強気すぎて、勝てない・・・。そこへ、侍女のルナナが通りかかった。
「ルナナ!ちょうど良いところに来たわね。ルイス様のお部屋は、何処へご用意しているのかしら?」
「お嬢様のお部屋に、大きめのベットを入れておきました!!どうぞ、ごゆっくーり、お休み下さいませ」
ルナナは笑顔で言い終えると、親指を立てた。
「ほら、オレのヨミが正解だったな」
ルイス様が勝ち誇った顔で、私を覗き込む。
「では、ワタクシは失礼致します」
ペコリと礼をし、ルナナは逃げる様に去っていった。
「ムムムっ!身内が敵だったとは、、、無念」
私が悔しがる様子を見て、ルイス様はいつものようにクスクス笑い出す。ムッとした私は、ルイス様の頬を、指で掴んで抓った。
「ルイス様の意地悪!!」
私の攻撃も虚しく、ルイス様は私の手を取り、指先にキスをした。
「!!」
一気に熱くなっていく顔を見られたくなくて、プイッと横を向く。
「ごめん、リゼ。揶揄い過ぎた。今日は疲れたから、早く部屋に戻ろう」
私の耳元へ優しく語り掛ける。
「疲れているなら、仕方ありませんね。こちらへどうぞ」
簡単に絆させる自分に呆れた。
――――――――
ルイス様は、私の部屋に入ると静かに部屋を見回す。
「この部屋に大したものなんて、ないですよ」
「いや、幼い頃のリゼも可愛かったのだろうなと考えていた。その白い本棚に並ぶ絵本や、机の上に置いてあるウサギのぬいぐるみ、パステルカラーで統一されたカーテンやラグは、リゼのようにとても優しい雰囲気を纏っている」
ビックリするくらい、ルイス様の口からスルスルと言葉が出て来る。
「この短時間で随分観察されたのですね」
私はジト目で、ルイス様を見詰めた。
「リゼ、その目はオレに不快感を与えようとしているのだろうが、逆効果だ。可愛いとしか思えない」
ルイス様、どうしたのですか。――――ヤケに甘すぎません?私は、どうしたらいいのでしょう。視線が遠くを彷徨う。
「リゼ、抱き締めてもいいか?」
ルイス様は両手を前に伸ばして、私に聞く。
「いや、何故、今夜はそんなに甘ーいモードなんですか!?いつもなら、そんな事、聞きもしないじゃないですか」
「リゼ、甘いモードじゃない。オレはこの部屋に入った時から、かなり緊張している」
「はぁ!?ルイス様が緊張??そんなバカな、、、」
「いや、リゼ、声に出ているぞ」
「あわわわ!失礼しました。でも、ルイス様でも緊張したりするのですね」
「オレも好きな子の部屋に入ったら、ドキドキするぞ」
ダメだ!甘過ぎる。倒れて良いですかー?いや、倒れたら何をされるか分からない。エリーゼ!!話題を変えて乗り越えるのよ!!
「えー、あのー、ルイス様。明日、私達のスケジュールは?」
「あー、オレ達はゲームの助っ人に選ばれなかったから、午前中はゆっくりしよう」
ルイス様はベットを指差しながら言った。
「・・・・・・」
話題を間違えたかも知れない。
「――――ええっと、大浴場へご案内いたします」
「この部屋で入れば良いだろう」
「・・・・・・」
ブフッと、ルイス様が吹いた。
「リゼ、そんなに怯えなくても、怖いことなんかしないから、ハハハハ」
むぅー、やっぱり揶揄われてるよね、私。
「では、ルイス様、お風呂はお先にどうぞ、私は後でいいので」
ブスっと口を尖らせて、ルイス様の背中をバスルームまで押して行く。
――――ルイス様は、笑いながらも押された方に歩いてくれる。
バスルームのドアを開けると、ルイス様のお着替えやタオル類が、既に用意されていた。
「どうぞ、ごゆっくり!!」
一方的に押し込んで、ドアを閉める。これ以上、あんな甘い雰囲気を出し続けられたら、耐えられない。私はソファーへ倒れ込んだ。
――――――――
ここは、リゼの生まれ育った家。彼女が、七歳になるまで生活していた場所。オレの知らない七年間が詰まっている。少しの滞在だが、多くのことを見聞きして、帰りたい。
オレは、シャワーを浴びていた。手に取ったシャンプーから、とても良い匂いがする。これは何の香りだろう。後で、リゼに聞いてみるか。彼女は、オレが愛を囁いても揶揄っているとしか受け止めないが、オレは誓って本心しか言ってない。
――――リゼは可愛いし、愛しい。オレの唯一無二の人。
魔塔で一緒に過ごした後、別々の家に帰るのが本当に辛かった。あの温もりを知ってしまったら・・・。
今日と、明日は絶対、リゼを抱き締めて寝る!!これは譲れない。
――――さあ、妖精姫が寝込んでしまわないよう、早く上がろう。オレはテキパキと入浴を済ませ、バスルームを後にした。
――――――――
ガチャ、ドアの開く音がした。ソファーに倒れ込んだ私は、寝たフリでもしようかなと思いついた。そして、そのまま朝まで、私がソファーで眠れば、ルイス様が不埒な気持ちになることもないだろう。
足音が近付いてくる。――――すー、すーと寝息を立てる。
カプッ。
「ぎゃあー!?」
私は飛び起きた。
「な、なに!?何をするんですかー!」
あろうことか、ルイス様が私の耳を食べようとした。
「いや、食べる気は・・・」
「あ、心の声を読みましたね!!もう!」
「可愛いから仕方ない。リゼ、風呂は空いたぞ」
何が仕方ないんですか!!ビックリしたー。心臓が止まるかと思った。
「いや、ワザと寝たふりをしていただろう?」
『もう!ルイス様、心の声を無断で読むのはナシですって!』
『何故か聞こえてくるんだよ。甘ーいとか』
『あー、最悪。最悪ですよ。私のプライバシーは?』
『どんなリゼも好きだから心配しなくていい』
「違う!違いますって。あーもう、恥ずかしい」
「ごめん、本当に無意識で聞こえてくるんだ。勘弁してくれ」
ルイス様は手を伸ばし、私の髪を撫でた。
「とりあえず、お風呂に入ります。覗いたりしたら絶交ですからね!!」
「オレは覗きなんかしない。見るなら堂々と見る」
はぁ、溜息を一つ吐いた。
「ルイス様に聞いた私がバカでした。お風呂に入ってきます。眠たかったら、先にベッドに入っていて良いですからね」
私はルイス様を置いて、バスルームへ行った。
――――――――
お風呂を済まし、部屋へ戻るとソファーで、ルイス様が眠っていた。座ったまま横倒しになっていて、余程、疲れていたのかも知れない。
――――――どうしよう。
ルイス様は、私よりかなり身体が大きい。どう考えても、ベッドまで抱えて行けない。起こすのは可哀想だけど、歩いてもらうしか無いわよね。
そっと、ルイス様の頬を撫でた。
――――――無反応。
頬を指で押してみた。
――――――うわっ!柔らかい。
高い鼻筋も、そっと指で撫でてみる。
――――――骨がしっかりしていた。
何だろう、楽しい。気付けば私は寝ているルイス様のお顔を、起きないのを良いことに触り倒していた。――――――だから、油断していたのだ。
突然、クワッ!とルイス様の瞼が開く。紫がかった紺の瞳が私を捉えた。
「ぎゃあー!!」
飛び上がった私を、ルイス様はいとも簡単に捕まえた。
「リゼ、充分楽しんだか?オレも同じくらい楽しませてくれ」
私を軽々と抱き上げ、ルイス様はベッドへ移動する。
――――失敗した。絶対、起きていたよね?
「いや、不覚なことに寝ていた。あのシャンプーの香りはいいな」
「あのシャンプーは私のお気に入りで、ティーツリーという植物から作られた香りなのです。王都では手に入らないので、珍しかったでしょう?」
「ああ、あの香りは、ティーツリーというのか。知らなかった。覚えておく」
そう言うと、私を優しくベットへと下ろした。
「リゼ、結婚前に全てを奪う様な無体はしないから安心しろ。さあ、寝よう」
全てを奪う様な無体って、どう言う意味???言い回しが難しすぎる。
「少し触れるくらいは、許してくれないか?」
「少しと言われても・・・」
何の経験もない私に、そんなことを聞かれても判断など出来るわけが無い。ルイス様は、私の横に寝そべった。そのまま、当然のように私を抱き込む。
――――あ、抱き枕だ!!懐かしい。
「ああ、懐かしいな。あれから三ヶ月くらいか」
「そうですね。事件も無事に解決して何よりです」
「確かに・・・」
ルイス様は、私の額にキスを落とす。そして、ぎゅーっと抱き締める。寝る前はあんなに抵抗したのに、温もりを感じるとすっかり安心してしまった。
――――私はチョロいのかも知れない。
そんな事を、夢現に考えながら、ベルカノン家、一日目の夜は更けて行った。
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