8 、双子とルイス 5
楽しい物語になるよう心がけています。
誤字脱字等のご連絡は感謝いたします。
あー、緊張した。
僕は何とか、ベルファント語で挨拶をすることが出来た。――――張り詰めていた緊張が一気に解ける。
「レノンくんですか?」
ボーッとしていたから、急に呼ばれて、ビクッとしてしまった。――――恥ずかしい。
「はい」
僕に話しかけてくれたのは、とても美しいお姉さんだった。
「初めまして、わたくしはベルファント王国の王女マーゴットです。先ほどの挨拶は、とてもお上手でしたね。普段からお勉強しているのですか?」
王女さまは、優しい笑顔と声で僕に質問してくる。――――当たり前の様に、ランドル語で!!
カッコいいなぁ~。
「王女さま、初めまして。ベルファント語は、お勉強を始めたばかりです。とても緊張しました」
「あら、そうでしたのね。発音がとても良かったですよ。もっとお勉強して是非、私の国へ遊びに来て下さいね」
「マーゴット!君の国は、もうランドル王国だろ」
アズ兄様が、会話に割り込んで来た。
ん?どう言う事??――――僕は意味が分からなくて、二人の顔を交互に見た。
「アズ様、レノンくんが困惑してるわ」
「あー、レノン。マーゴットは、おれのお嫁さんになるんだ」
「え!?アズ兄様の・・・?」
――――王女さま、アズ兄様の何が良かったの?芋っぽい・・・って言ったら失礼かも知れないけど、垢抜けては無いよね。
「おい、レノン。今、失礼な事を考えて無かったか?顔に出てるぞ!!」
「あのー、アズ様、どうしたの?」
少し怒っているアズ兄様に、王女さまが慌て出す。
「多分、おれとマーゴットが釣り合わないとか考えてたんだろ」
――――ハイ、考えてました!!
僕が何も言わず、立ち尽くしていると、王女さまは突然、アズ兄様のメガネを取り、前髪を持ち上げた。
「えっ、えええ!?嘘っ!」
僕は、大声を出した。――――だって、だって、だってぇ~!!
「レノン、どうしたんだー?」
少し離れたところから、僕の声を聞いたベンジャミンが心配して駆け寄って来た。僕は無言で、アズ兄様の顔を指差す。
「うおー!?はぁ?嘘だろ!!アズ兄様って、イケメンだったのか!!」
ベンジャミンは、僕より遥かに大きな声で叫んだ。
「お前ら、大概失礼だぞ」
アズ兄様の表情は、怒りから呆れた顔に変わった。だけど、超カッコいい。
「何で、いつも、そのモサッとした前髪とメガネなの?」
「それは任務をし易くするためだ」
「ふふふ、わたくしは、直ぐに気が付きましたわよ」
王女さまは、クスクスと笑っている。アズ兄様は、笑っている王女さまを見て、目を細めていた。そのまま、二人は楽しそうに見つめ合っている。
「何だよ。アズ兄様、リア充って奴じゃん!」
ベンジャミンが、ボソっと言った。――――へぇ、綺麗な人と婚約すると、リア充って言うのか。ベンジャミンは、難しい言葉を知ってるなぁ。
「双子諸君、初めまして、僕はマーゴットのお兄さんだよ」
アズ兄様の後ろから、キラキラした男の人と可愛い女の人が腕を組んで、歩いて来た。
「初めまして、僕はレノンです。こっちは双子の弟、ベンジャミンです」
「え、そうなのか?」
アズ兄様が驚く。
「何故か、皆がベンジャミンとレノンって呼ぶから、逆だと思われているんだよ」
ベンジャミンが、事情を説明した。
「そうか、僕がベルカノン領で過ごしていた頃、まだ二人は産まれて無かったんだよね」
「ロイ、美しいベルカノン領を、わたしに見せたいって、昔からよく話していたわよね」
「そう、僕はエリーとよく遊んでいたんだよ」
えっ、そうなんだ。僕たちが産まれる前か・・・。
「王太子殿下は、それでロゼ様をこちらへ連れて来られたのですか?」
アズ兄様が、王太子殿下に尋ねた。
「そうだよ。アズ君は、この辺にはあまり来ないの?」
「そうですね、ここは王都から遠いですから」
「じゃあ、あの美しい湖の・・・」
「ロイ!何の話をしている?」
王太子殿下の話をルイス兄様が遮った。タイミングが怪しい。――――意図的な気がした。
「ルイス、そんなに怖い顔で言わなくても」
王太子殿下より、ルイス兄様の方が強そう。
「お前たち、手伝ってくれそうな人達がちょうど集まっているし、今からカードを引かないか?」
さっき後でって言っていたのに!?僕はベンジャミンの方を見た。――――やる気満々の顔をしてる・・・。
「ルイス兄様、します!」
あ、ベンジャミン即答!?
「僕もします!!」
慌てて、僕も続いた。
「じゃあ、この四枚の中から一枚ずつ選べ」
ルイス兄様は、懐からカードを出した。
「それは何なんだい?」
王太子殿下が、ルイス兄様に尋ねた。
「ああ、こいつらと今、勝負中なんだ。このミッションは、人の手を借りてでも、達成すればオッケーというルールだ。ただし、ベンジャミンとレノンが二人で手を組むことは禁止にしている。皆も存分に手伝ってやってくれ」
「へぇー、パーティーの余興としては良いね」
「残念ながら、パーティーの余興じゃ無いんです」
ルイス兄様の横で黙って立っていた姉様が、皆さんに事情を説明した。
「あらら、そう言うことでしたのね。レノンくん、ベンジャミンくん、ロゼ姉様もお手伝いいたしますわよ」
王太子殿下の横にいるロゼ様は楽しそうに僕たちへの協力を口にした。――――よし、良いカードが来ますように!!
――――――――
ぼくは右からニ枚目のカード、ベンジャミンは一番右のカードを引いた。――――ぼくたちは互いのカードが見えないよう背中合わせになって、カードを確認する。
あ――――、なるほど・・・。ぼくはカードの内容を見て、お手伝いしてもらう人を考えた。
「あのー、ぼくはアズ兄様と王女さまに手伝って欲しいです」
二人を見ながら、恐る恐るお願いする。
「オッケー!」
「はい、お手伝いいたします」
そう言いながら、二人はガッツポーズをしてくれた。
「えっと、僕のミッションは王太子殿下とロゼ様、手伝って下さい!!」
後ろにいるレノンも、お手伝いのお願いをしている。
「ああ、勿論!ロゼいいよね」
「ええ、お題が楽しみだわ」
あちらの二人も乗り気のようで、快く引き受けてくれた。声の掛からなかったルイス兄様とリゼ姉様は、仲良く苦笑いをしている。
「さぁ、お題は明日の朝からだ。今夜は早く寝ろよ」
ぼく達に、ルイス兄様が釘を刺した。今から、直ぐにでも行きたい気分だけど、夜だから仕方がない。
「ベンジャミン、俺たち、明日は何時スタートにする?」
アズ兄様は僕に聞く。
「アズ兄ちゃん、六時スタートは早い?」
「ああ、構わない。マーゴット、いいか?」
「はい、わたくしは大丈夫です」
アズ兄様と王女様は、また仲良く見つめ合っている。仲が良いなぁ、本当に二人は婚約者したんだなー。
「僕たちも、六時にスタートで大丈夫ですか?」
レノンは、王太子夫妻に尋ねた。
「ああ、大丈夫だよ。ロゼ、早起きを頑張ろうね」
「ええ、ロイもね」
こちらの二人もとても仲が良さそう。
「ねー、レノン。ボクも王太子夫妻の警護をするって事で、ついて行ってもいい?」
ずっと様子を伺っていたシータ兄が、レノンの袖を引っ張って聞いている。
「うん、いいよ」
「やったー!」
シータ兄が、一番嬉しそうに見えるのは気のせい?
「明日は皆、怪我なく楽しめよ!」
最後は、ルイス兄様がバシッと締めて、僕達のゲームの打ち合わせは終わった。
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