3、エイプリルフール
楽しい物語になるよう心がけています。
今回の番外編は特にネタバレなどは含んでいませんので、物語の途中までしか読んでいない方でも大丈夫です!!
誤字脱字等のご連絡は感謝いたします。
1年前の今日、リゼと桜の花を見に行く約束をした。
朝から、ソワソワ落ち着かない気持ちなのは楽しみにしているからに他ならない。
「殿下、何でよりによって今日にしたんですか?」
オレの準備を手伝っていた侍女達が、ガヤガヤ言ってくる。
「何か問題でもあるのか?」
「大アリですよ!」
と、1番若いとは言ってもオレよりは年上の侍女が答えた。
「理由は?」
そう尋ねながら、オレは多分不機嫌な顔をしていたと思う。
「今日はエイプリルフールなのですよ。嘘をつくのを楽しむ日です。エリーゼ様はお出掛け自体を嘘と思っていらっしゃるかも知れないですよ」
「あー!完全に忘れてた」
オレはガックリと項垂れる。
確かにオレが日頃から出掛けようと誘ったりしないから、リゼは嘘と思ってるかもしれない。
こうしては居られない、早くベルカノン家に向かおう。
オレは準備を急いで終わらせると、厨房に頼んでいたランチボックスを取りに行く。
ちょうど完成したところだったので、それを受け取って、こっそりとベルカノン家の木陰に転移した。
そこから中庭を歩いて、建物の中に入ろうとしたところで、
「ルイス殿下、いつお見えになられたのですか?」
ベルカノン家の老執事に声を掛けられた。
「モネ爺、リゼと約束していたから迎えに来た。リゼは?」
老執事は困った顔をする。
「ルイス殿下、申し訳ございません。エリーゼ様は外出されています」
あー、侍女の読みが当たってしまった。
オレは何故この日を選んでしまったんだ!!
己のうかつさを反省しても、もう遅い、、、。
「どこへ行ったのか聞いてもいいか?」
「はい、何でもシータ殿のところへ子犬を連れて行くと言われてました」
「バッファエル家か、分かった。行ってみる」
オレはモネ爺に礼を言って、足早にベルカノン邸を後にした。
「アズ?今どこにいる」
オレは念話で、アズに問いかけた。
「何処って、家にいるけど。殿下急ぎの用事?」
「ああ、そっちにリゼが来てないか?」
「エリーゼ?いや、来てないけど」
「モネ爺によるとシータのところに行くと言ってたらしいが、、、」
「ああ、あいつは今、領地に帰ってる」
「はぁ?バッファエル家の領地に?」
「そうそう、犬を走らせるって、さっき出掛けた」
「あー、分かった。直接シータに聞く」
「その方が間違いないと思う」
「ああ、じゃあな」
オレはアズとの念話を切った後、考えた。
シータはすでに子犬を受け取っているなら、リゼはどこに行った?
まあ、シータに聞いてみるか。
「シータ?今話せるか」
「あっルイス王子殿下?うん、話せるよ」
「今、領地にいるとアズから聞いた。そこにリゼも居るのか?」
「え、リゼ姉様?ううん、いないよ。今、僕はルドルフと遊んでたんだよ」
「ルドルフ?」
「うん、ルドルフはね、先月リゼ姉様から貰った子犬なんだ。可愛いよ」
ん?先月??
「そうか、子犬は可愛いよな。大切に育てないとな」
「うん、大切する!じゃあまたねー!」
シータと一緒に居ない?
一体リゼは何処に行ったんだ?
シータとアズは本当のことを言ってたとして、まさかモネ爺?
疑わしいと思いながらも、どうして良いか分からずランチボックスを持ったまま通りを歩いていたら、遠くから手を振る姿が見えた。
「ルイス様ー!」
あっ、リゼだ。
オレはリゼの前まで走った。
「ルイス様、何処へお出掛けしてたんですか?探したんですよ!!」
「オレもリゼを探していたんだよ」
『?』
2人で頭にハテナが浮かぶ。
「そうだな。まず何があったかをお互い話してみよう」
と、オレはリゼに提案した。
「そうですね。では、私から今日の出来事を言いますね」
「ああ、聞かせてくれ」
「まず、朝起きたら、レンリーがルイス様から用意が出来次第、王宮まで歩いてくるようにと連絡が、、、」
「いや、ちょっと待て、その時点でそれは無い」
「えっ、呼んでないって事ですか?」
「全く呼んで無い。しかも歩きでなんて、、、。ああ、話の途中で割り込んで、ごめん続きは?」
「それで屋敷を出て、王宮に向かおうとしたら、モネ爺が私を呼び止めて、ルイス様から追加の伝言で和栗で作ったモンブランケーキを5個買って来るようにと言われたので、市街のケーキ店を巡って探していたのですけど、季節柄、和栗モンブランは売ってなくて、、、。今は困ったなぁと考えながら歩いていたところです」
「そうか、すでに突っ込みたいことだらけだが、オレはリゼが桜の花を見に行く約束を嘘と思ってるかもしれないと思って、、、」
そこまで言ったところで、リゼの顔色が変わった。
「お花見のことをすっかり忘れていました!!ルイス様ごめんなさい」
あ、リゼ、嘘じゃなくて、忘れてたって、、、。
「いや、大丈夫。ほら、ランチボックスも持って来たから、今から行こう」
「はい!行きます!それにしても何故私が嘘と思うと?」
「今日がエイプリルフールだからだ」
「あ!エイプリルフール!!それこそすっかり忘れていました。、、、まさか!?」
「ああ、ベルカノン家の者たちは嘘が上手いな。オレもすっかり騙されたよ」
「ルイス様にまで?」
「ああ、オレにも息を吐くように嘘をついたぞ」
「何だか腹が立ちますね」
「まぁ、オレはリゼに会えたから、もうどうでもいいけどな」
「ルイス様、優しすぎますよ。大丈夫、任せてください。私が仕返ししておきます」
リゼが何だか張り切っているのが可笑しくて、オレはツボに入った。
「もう!笑いすぎですって」
「それじゃ、桜が綺麗な丘があるんだ。行こう」
俺たちは馬車を拾って、
虹の丘というところへ向かった。
馬車から降りると桜は満開を迎えていて、幻想的な風景を作り出していた。
そして、沢山の花見客も押し寄せて賑わっていた。
ここにこの国の王子と婚約者がいるとは誰も気付かない。
「人が多いから手を繋ごう」
と、オレはリゼの手を握った。
それだけでも、ドキドキしてしまう。
横でニコニコと桜を眺めているオレのお姫様は本当に妖精のようで、手を離すと何処かに連れ去れてしまいそうで不安になる。
「ルイス様、今日のお弁当楽しみですね!!王宮のシェフはセンスがいいから楽しみです」
と、嬉しそうに話している。
桜並木を通り抜け、芝生の広場に辿り着いた。
「リゼ、そろそろ何処かに座ろうか?」
「はい!」
2人で辺りを見回して、ちょうど木陰の下にスペースを見つけた。
オレは持って来ていた敷物を敷いて、ランチボックスを置いた。
リゼはランチボックスを開くのを楽しみにしている様だ。
「リゼ、飲み物は何がいい?」
「そうですね、喉が渇いたので、冷たいアイスティが欲しいです」
「分かった」
オレは手のひらをふわっと返して飲み物を出す。
「えっ!マジックですか?おおお!スゴイ」
リゼは喜んでアイスティを受け取った。
オレは自分の分も出した。
「リゼ、蓋を開けてみて」
中身が気になって仕方なさそうだったので、オレはリゼに蓋を開けていいよと促した。
「こっこれは!!」
ランチボックスには、サーモンとクリームチーズのベーグルサンドとローストビーフのサンドイッチ、フライドポテト、コールスローサラダ、イチゴとオレンジが入っていた。
色鮮やかで食欲をそそる。
オレもリゼも朝から歩いて回って空腹だったのもあり、2人であっという間に完食した。
『ご馳走さまでした!』
美味しく食べた後は2人で、敷物にゴロゴロと寝っ転がって、のんびりした。
案外、今日のような日は貴重かもしれない。
「リゼ、これからもエイプリルフールに俺たちは嘘をつくのではなく、花見をする日にしないか?」
リゼがオレの顔を見ながら、ニッコリした。
「ええ、私も嘘をつき合うより、こうやって一緒に過ごしたいです」
「ああ、そうしよう!約束だ」
2人で指切りをした。
そして、今年。
今日は4月1日エイプリルフール。
オレは諸事情により、1人でホロロ帝国にいる。
あの約束を嘘にしてしまった。
願わくばリゼが忘れていてくれますように、、、。
来年こそは一緒に過ごそうな。
最後まで読んで下さりありがとうございます。
何故ルイス様がホロロ帝国に1人でいるのでしょう?
いつか物語の続きを書きたいと思います。
時々の番外編ですが、楽しんでもらえたら嬉しいです。
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