1、罪と罰
47話の後のお話です。
楽しい物語になるよう心がけています。
誤字脱字等のご連絡は感謝いたします。
「ただいま」
ルイス様が2人の部屋に帰って来た。
「お帰りなさい。シータが遅くなるって教えてくれましたけど、案外早かったですねー!」
私がそう言うと、
「ああ、用事が思いの外、早く終わったからな」
とテンション低めのお返事が来た。
私の第六感がルイス様の不自然さを伝えてくる。
「何かありましたね」
「ん、何が?」
はぁ、、、。質問で返された。
しかも微妙な表情。
絶対おかしい!!決定。
私はルイス様に急ぎ足で近寄り、無言でギュッと抱きついた。
ルイス様がビクッとする。
直立不動で立っていて、私に抱きついて来ない。
んんん?かなり由々しき事態でもあったのかしらと色々考えていると、、、。
上から水が落ちて来た。
えっ!?
上目遣いでチラリとルイス様を伺うと、サラサラ涙を流している。う、美しい、、、。
えー、どうしよう!私に対処出来る案件かどうか不安になって来た。
何か話しかけてみる?
えーっと、当たり障りない内容って何だっけ?
「ルイス様、夕食は?」
「、、、。」
リゼ砲、撃沈。返事なし!!
「シュニッツェルがサクサクで美味しかったですよ!デザートはザッハトルテでした。中に入った杏ジャムがとてもチョコレートといいハーモニーを奏でてましたよ」
「ふふっ」
おっ!笑った。
私は再び顔を上げて、ルイス様の顔を見た。
ルイス様も下を向いて私を見ている。
「リゼ、ありがとう」
少し元気が出たみたいだ!良かった!!
「どういたしまして」
笑顔で返す。
すると、ルイス様が、ぎゅーっと抱きしめて来た。
もう、大丈夫かな?
「リゼ、キスしたい」
何と!甘えてきた。
「どうぞ!」
私もしたい。
そっと目を閉じると、すぐに温かくて柔らかい感触がした。
そのまま、2人で優しいキスをどれくらいしていたのだろう。
でも、ルイス様の心を癒すなら、どんなに長くてもいいと思った。
どちらともなく、離れて顔を見合わす。
「聞かない方がいいですか?」
私はルイス様の顔色を伺う。
「リゼに嫌われるかも」
いつもの自信に溢れた様子はどこへやら。
「嫌ったりしないですよ。知りたいです」
ルイス様とは思えないくらい、もじもじしている。
「とりあえず、座って話しましょう」
と、私はルイス様をソファーまで手を引いて連れて行った。
2人でいつも通り、隣同士に着席して、先に口を開いたのはルイス様だった。
「ブランド領の監禁場所になっていた民家に行って来た」
「お一人で?」
「ああ、一人で行って来た」
ルイス様は遠くを見ながら話している。
「そこで何か見たのですか?」
「ああ、見た。アズール達から地下2階の部屋に拷問や殺人の形跡があると聞いていたから見に行ったんだ」
「拷問や殺人!?何てことを!使役紋で操っただけじゃないのですか?」
ルイス様は首を横に振る。
「オレはあの場所で起こった出来事を竜化して神力を使って見た」
私は血の気が引いた。
「そして、黒いフードの連中が人を人とも思わず、自分達の好きなように弱い者をなぶり殺している現場を見て怒りで己を忘れた」
え?己を忘れたって??
「ええっと具体的には、どの様に己をお忘れに、、」
「あそこで、黒竜のまま黒いフードの奴等を全員召喚して葬った」
「、、、。」
しばし、2人で無言になる。
次は私が勇気を出して口を開いた、
「あのですね、ルイス様。相変わらずトンチンカンな事を聞いてすみませんが、黒いフードの奴等を召喚しようと思ったら、黒竜のルイス様は召喚出来ちゃったのですね」
ルイス様は私の顔をまじまじと見てくる。
「そうだな。普通に出来たな。リゼに言われるまで、そんなこと気付いていなかった」
いやー、怖いですね。無意識にやっちゃったのですね。
「気持ちは痛いほど分かります。私もその残虐な場面を見たら犯人を殺したいと思うかも知れません。ですが、ルイス様はランドル王国の王子でいずれ国を治める人になるので、そういう解決方法は絶対にしてはダメです。ただ、、、」
私はそこで言い淀む。
「ただ、何だ?」
ルイス様が私に続きを促す。
私は覚悟を決めて言う。
「竜神王のお仕事、、、」
ルイス様の頭の上にハテナが飛ぶ。
「竜神王は人々の平和を願って見護る存在なのですよね。ならば、仕事を全うしただけです」
「オレはダメで竜神王が判断したなら良いってことか?」
「今回はそう言うことにしましょう。だって、ルイス様なら召喚出来なかったでしょう?多少、無理矢理感がありますが、今回はそういうことで2人の胸にしまいましょう。こんなことにならない様に、次からは、私を必ず連れて行ってください、難しい事は一緒に考えましょう。一人で独断は今回限り辞めてくださいね」
「ありがとう。リゼ、次からは必ず連れて行く」
ようやく、ルイス様の表情が元に戻った。
「ええ、今回は一緒に行かなかったわたしも罪を半分をいただきます」
「すまない。不甲斐なくて、、、」
「ええ、ツガイは一心同体です!!」
そう言うとルイス様はクスっと笑った。
だけど、今後も彼はこの罪を忘れないだろう。
とても優しい人だから。
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