52 結婚式
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8月1日 晴れ
今日はベルファント王国のロイ様の結婚式に参列した。私の差し入れをロゼ様は喜んで受け取ってくれた。正教会で執り行われた結婚式は厳かで、とても感動した。いよいよ、明日は私たちがパレードと広場の催しで盛り上げる日だ!ランドル流の寿ぎをベルファント王国へ。
「リゼ、そろそろ出れるか?」
衝立の向こうから、ルイス様が聞いてくる。
「はい、最後の仕上げをしてるところです。そろそろ出れます」
私たちは、これから正教会の大聖堂で執り行われるロイ王太子殿下とロゼ様の結婚式に友好国の来賓として参加する。
久しぶりにコルセットを巻いてバッチリお化粧をして、髪の毛もリボンを編み込んだりと綺麗にセットしてもらった。
ドレスはルイス様からのプレゼントで、薄いブルーの大きな花びらがヒラヒラと重なっていて、全体を見ると一輪の薔薇に見えるデザインは斬新でとても素敵だった。
ちなみに今お手伝いをしてくれているのはマーゴット様の侍女たちだ。
彼女たちは長年マーゴット様に仕えている宮殿の侍女らしく、手際も会話のセンスも良かった。
帰ったら、絶対公爵家の侍女レンリーとアンナに話さなければ!
貴方達は、私の扱いを間違えてるって、、、。
「お待たせしました」
私は衝立の裏で待っていたルイス様の前に出た。
うっわー!!!イケメンを超えて何と表現していいのか分からないレベルのルイス様がいる!!
前髪を上げて、美しい鼻筋に紫がかった濃紺の瞳はウルウルしている。長いまつ毛が色っぽい。
黒い正装服には贅沢に細かなダイヤの粒と銀色の刺繍が煌めく。
細かな装飾に品があってとても似合っている。
ん?左手の薬指には見覚えのある指輪が付いている。
あ!お揃いだったんだ!
ルイス様は、私に王家の霊廟でプロポーズしてくれた時に私にくれたものと同じ指輪をしていた。
あー、私持って来てない。マズい、、、、。
「リゼ、お疲れ様。女性は準備が大変だな。オレは着替えくらいだけど」
ルイス様が気遣う言葉をかけてくれるけど、私は指輪のことで頭を悩ましていた。
何も言わない私の左手をルイス様が取る。
「すみません。大事なものを忘れてしまいました」
素直に謝った。
「いや、今日のリゼにはこれを、、、」
ルイス様が手際よく私の薬指に豪華で大きな石の付いた指輪を滑り込ませた。
手を挙げてよく見ると、ハート型にカットされたピンク色のダイヤモンドが付いていて、とても可愛らしいデザインだった。
「い、石が大きすぎませんか?」
これ、高いのでは?と顔に書いたままルイス様に聞く。
「宝物庫から持ってきたから問題ない」
「あー、またそのパターンですか!問題しかないですよ」
私がうろたえるのを見て、ルイス様はクスっと笑った。
「ごめん、嘘だ。リゼのために注文して作ってもらった。だからそれはリゼの指輪だから失くしても大丈夫だ」
「何を言い出すのですか!それなら尚更失くしたらダメじゃないですか!」
私は言い返しながら、ハッと我に返った。
シマッタ、まだお礼を言ってない!!
「ルイス様、こんな素敵な指輪をありがとうごさいます。私は何も用意してなくてすみません」
「どういたしまして、リゼは横に立っていてくれるだけで充分だ。今日は各国の来賓も来るから頑張ろうな」
あー、意地悪!私がプレッシャーに感じるようなことを!!
「そういえば、リベラ共和国は新しい党首が来られるのでしょうか?」
「恐らくな。挨拶を交わすときは笑顔は見せなくていい。先日オレたちが譲歩したのだから、こちらは強気の態度で良いと思う」
つい先週、リベラ共和国は党首が他国に詐欺を働いた罪で逮捕された。
そしてすぐに議会で新しい党首が選出された。
その翌日、ランドル王国の国王陛下が、声明を出した。
『我が国がリベラ共和国を併合するという噂は事実無根である』
今頃、リベラ共和国の国民たちはホッとしていることだろう。
それを踏まえてのルイス様の発言である。
「分かりました。冷静な対応に留めます」
「ああ、注意することはその都度、リゼに絡んでいるフリをして伝えるから大丈夫だ」
「ルイス様の色気に動揺しないように気を付けます」
「色気?今日のリゼの色気の方が危険だけどな。オレはもう部屋に閉じ込めておきたくて堪らないのを我慢している。他のヤツに無意識に視線なんて送ったら絶対勘違いさせると思うぞ」
「な、何を言っているんです。そんなこと言うのはルイス様くらいですよ。私は異性からそういうお誘いを受けた事なんて皆無ですから」
「まぁ、オレがいて、リゼをお誘いさせるわけがないだろう?」
ああ、何だか聞かない方がいい方向の話になりそうな予感がする。
「そうですね。いつも守ってくださりありがとうございます」
これ以上、話を長引かせたら、大変なことになりそうなので、にっこり笑顔を作って誤魔化した。
「では、会場に向かうとするか」
ルイス様はスッと手を差し出す。
私はその手に自分の手を重ねた。
大聖堂には参列客もほぼ集まっていて、あとは主役を待つだけという状況だった。
私たちは上座にほど近い席に案内される。
アズールとマーゴット様が結婚すれば、ランドル王国の王族は親族扱いになるのかしら?
そんなことを呑気に考えていると主役の登場を知らせるファンファーレが鳴った。
雑談をしていた人々が口を閉じて、大聖堂の入口に目を向ける。
ゆっくりと扉が開かれ、お二人が現れた。
とてもキラキラしていて眩しい。
お二人の周りで小さな妖精たちが祝福の舞をしている。
参列客にどよめきが起こる。
しかし、主役の二人はにこやかな笑みを崩さない。流石!!
そのまま、司教の前までゆっくり進む。
司教の前に辿り着くと妖精たちは天井に舞い上がり消えた。
そこからは結婚式の儀式が厳かに執り行われた。
また式が終わり、賛美歌が流れ始めると天井から妖精たちが現れて、舞い踊りながら白色、ピンク色、赤色の薔薇の花びらをふんわりと撒く。
それは正教会の扉を出て、お二人が馬車へ乗り込むまで続いた。
お二人を見送った後、参列者たちは『奇跡だ!』『祝福だ!』『吉兆だ!』と様々な反応を見せながら盛り上がっていた。
おおむね好感をもって受け入れられていたので大成功と言えるだろう。
「ルイス様、今日は上手くいきましたね!」
「ああ、幻想的で良かったな」
何となく上の空で返事をしてくる。
「どうかしました?」
「いや、もうちょっと無理だから、リゼ少し時間をくれないか」
「具合でも悪いのですか?この後は夕方の晩餐会までなら、少し時間がありますよ」
「そうか、ちょっとこっちに、、、」
ルイス様は私の手を引いて柱の陰まで行った。
そして、急に抱き寄せられたと思ったら、浮遊感が、、、。
「何を考えているんですか!」
私は怒っている。
何故なら、ルイス様が私を連れて魔塔の二人の部屋に戻ってきたから、、。
「リゼを少し独り占めしたくなったんだよ」
「はぁ?ルイス様、、、何歳ですか!」
「17歳、、、」
「もう!今は大切な任務の途中で、、、」
私が話している途中で、ぎゅうっと抱き着いてきた。
ああ、もう!
「気が済んだら、直ぐ戻りますよ!私の身支度は時間がかかることもお忘れなく!」
私が言い終わるのを待っていたかのようにルイス様は唇を重ねて来る。
深い口づけをしてくる彼はとても熱を帯びているようだ。
私はルイス様を宥めて連れ帰ることが出来るのか不安になって来る。
何がスイッチか良く分からないけど、明日まではルイス様に頑張ってもらわないと、、、。
そう思っていると手が不埒に撫でて来たので、私は迷いなくその手を叩いた。
「紳士を忘れたら、もうキスしませんからね!」
ブッっとルイス様が笑う。
「分かった、少し抱き枕になってくれたら大丈夫だ」
ふわっと持ち上げ、お姫様だっこにされてベッドへ運ばれる。
ゆっくり下ろされたと思ったら、ぎゅうっと抱きしめられた。
ええっと、世の中のカップルもこんな感じなの?
それとも私達が変なのかしら?
そんな妙なことを考えていたら、案の定ルイス様から伝わる優しい温もりで、またしても寝落ちしてしまった私。
結局、ルイス様に抱きかかえられてベルファント王国の離宮に戻り、侍女たちに悲鳴を上げられ目を覚ましたのでした。
やっぱり本日も残念を欠かさない私でした。
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