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リゼの悪役令嬢日記  作者: 風野うた
第一章 本編

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48 湖のほとりで

ジャンルにこだわらずガンガン書いていきます。


誤字脱字等のご連絡は感謝いたします。


 7月8日 快晴


 昨夜はミルキーウェイがキレイだった。今日は朝からルイス様とお出掛けした。ランチボックスくらい持っていけばよかった。そろそろ学園にも行きたい。でも、マーゴット様もアズールと任務に行ってしまったから学園にはいないのよね。このまま9月の卒業式になるのは嫌だなぁ、、、。




「リゼ、今日はベルカノン領まで行かないか?」


 私が朝ごはんのベーグルサンドを頬張っていると、ルイス様は急に閃いたかの様な事を言って来る。


「ふぇ?」


ちょっと噛んでいるので、しばしお待ちを!!


私は仕草で訴えた。


「ゆっくり噛んでからでいいぞ」


半笑いで言われた。


タイミングが悪いのはルイス様ですからね。


しっかり飲み込んだ後で聞き返した。


「ベルカノン領に?遠いですけど、、」


「ああ、転移で行くから大丈夫だ」


「えー!!そんな技があるなら、もっと早く教えて下さいよー。ベンジャミンとレノンに会いたい!勿論、お母さまにも!!」


私は公爵領で過ごしている双子の弟達と母に会えると思いテンションが上がった。


「すまないが、今回はしないといけない事があるから、公爵邸に寄る時間は無いかも知れない」


「えー!!そんなぁ、、、」


私はゴネる。


「ロイの結婚式までは我慢してくれ、その後で良かったら絶対連れていくから」


申し訳なさそうにルイス様が言う。


むー、悔しいけど時間がないのも分かるし、仕方ない、折れるか、、、。


「分かりました。来月は絶対連れて行ってくださいね」


私がルイス様にしつこく粘る理由は、馬車で行くと1週間も掛かるほどベルカノン領は遠いからである。


「ああ、絶対連れて行く」


「はーい、出発はご飯を食べ終わるまで、少し待ってて下さいね」




 私達は朝食を終えるとベルカノン領へ転移した。


「ここは、、、。思いっきりうち(公爵邸)から近いじゃないですかー」


「近いけど、これからする事はどれくらい時間が掛かるかが分からないんだよ」


ルイス様と私が辿り着いたのは、私が子供の頃に良く遊んでいた湖のほとりだった。


「具体的には何をするのですか?」


「リゼがちゃんと精霊と向き合って、仲良くなるのが目的だ。今回の作戦には絶対必要だから来たんだ」


一体、どんな作戦を考えているのやら、、、。


「あの精霊の加護とか言うやつですか?」


「そう、それだ。この湖の辺りには沢山の妖精や精霊が居たと宰相から聞いている」


「でも、私はこの前の白狼さんしか見てないので、とても難しそうな気がします」


全く自信がないわ。方法も分からないし、、、。


「遊んで眠ったら近づいてくるって話が、、、」


「いやいやいや、それは幼少期の話であって、流石に17歳の乙女にそれは無いですよ」


「ぶっ!乙女っ!!」


「失礼過ぎますよー!」


ルイス様はケラケラ笑っている。


目の前の湖は凪いでいて、湖面は銀色に煌めいている。


湖の辺りには野花が咲いていて、美しい風景を創り出している。


私はその風景をしばらく眺めていた。


笑っていたルイス様も気付けば、静かにこの美しい風景を眺めている。


横から見たルイス様のスッとした鼻筋とサラサラと風に靡く黒髪、真っすぐ前を見る紫を帯びた紺色の瞳は幻想的な美しさを放っている。


むしろ、ルイス様の姿が精霊のようですよ。


そんなことを考えていると、風が私の頬を撫でる。


少し風が出て来た様だ。


風が湖面に優しい波を作って行く。


緩やかな時間の流れが心地良い。


この1カ月は忙し過ぎた。


たまにはルイス様と、ゆっくりとこういう時間を過ごすのもいいなと思う。


さて、肝心の精霊は姿を見せてくれるのかしら?


トントン、ルイス様は私の肩を優しく叩いた。


彼の方を向くと私の足下を指差している。


私は視線を下に向けた。


おおおーっ!!


私の足元に白い子犬が丸まって眠っている。


可愛い!!


「子犬はいつ来たのでしょう?可愛いですね」


ルイス様へ念話で話しかける。


何故、念話で話し掛けたのかって?


それは子犬を起こしてしまっては可哀想だと思ったから。


「リゼ、おそらく狼だと思う」


「狼!ええっと、襲ってきたりしないですよね?」


急に警戒モードになる私。


「大丈夫だと思う。様子を見よう」


2人で、しばらく子狼を観察する事にした。


子狼はスヤスヤ眠っている。


いつ起きるのかなぁ、、、。


丸々していて可愛いなぁ。


「モフモフしてますねー。可愛い、子狼のマルちゃん」


私は小さな声で呟いた。


すると、子狼が身動ぎし始め、パチっと目を開けた。


「うわっ!起きましたよー。ルイス様、私達逃げなくて、大丈夫ですか?」


出来るだけ小さな声で話す。


「大丈夫だろう」


ルイス様がそう言うので、ゆっくりと足元に視線を向けた。


子狼は私をじーっと見ている。


「ボクにお名前を付けてくれてありがとう。ご主人様」


子狼は私に話し掛けて来た。


「し、し、しゃべりましたよー!!ルイス様」


「ああ、よく分からないが、リゼのミラクルで上手く行ったみたいだな」


ルイス様は下を向いて肩を揺らしている。


絶対笑っているでしょ!


ミラクルって言い草は失礼じゃない?


ムカッとしていたら、子狼の視線を感じた。


恐る恐る、子狼へ視線を向ける。


「ボクのお名前はマル!!よろしくね」


あれ?思いのほか人懐っこい?


「私はエリーゼです。マルちゃん、よろしくお願いします」


私は挨拶を返した。


「リゼ、良かったら、オレの紹介もしてくれないか?」


ルイス様が横から割り込んで来る。


「はい。ええっとマルちゃん、この方は私の婚約者のルイス様です。仲良くしてね」


「えええ、このお兄さんはヤダ!!」


「えっ何で!!」


「だってドラゴンは怖いもん」


「ああ、お前は分かるのか?」


「分かるよ。お兄さん怖い人なんでしょ?お母さんが言ってたよ」


「お母さん?マルちゃんのお母さんは何処にいるの?」


「お母さんはそこにいるよ」


マルちゃんはルイス様の背後を見る。


「うわっ!?」


私たちの声が重なった。


ルイス様の真後ろに大きな白狼さんが立っている。


いつの間に!?


「気配が無いのは怖いな」


ルイス様が呟いた。


全く持って同感です。


「この前の白狼さんがマルちゃんのお母さんだったのね。この前は助けてくれてありがとう!」


「ええ、どういたしまして。お役に立てたようでよかったわ」


白狼さんは、とても優しい声でお返事をしてくれた。


「お母さんのお名前は何というのですか?」


「私の名前はキリです。私たち一族は竜神王ルーからあなたを守る使命を与えられて、ずっと見守ってきました」


おお!ルイス様のヨミは正解だったのね。


「ありがとうございます。それは私が転生する度に一緒に付いて来て下さったと言うことですよね?」


「ええ、あなたとの長きに渡る旅路は楽しかったわ。でも、あなたと新しい竜神王がここへ来たと言う事は、私たちの使命は完了と言う事かしらね」


何となく悲しげな表情になるキリさん。


「終わりなどない。キリ、引き続きリゼを頼む」


ルイス様は淡々と言う。


「竜神王ルイス、私たちに新しい使命をお与えになると?」


キリが問う。


「ああ、そうだ。オレがいるから、お前たちが要らないなど思うことは無い。これからもよろしく頼む」


「分かりました。それでは先ほどお名前をいただいた、わたしの息子マルをエリーゼの新たな守護精霊としましょう」


「わーい、お母さん!いいの?ボク嬉しい!!」


マルは嬉しそうに駆けて回る。


「マルちゃん、よろしくね!」


私は走り回るマルちゃんに向けて、元気よく叫んだ。





 「わたしは今後、竜神王ルイスのお側におります」


リゼがマルを追いかけて行った後に、キリが言った。


「分かった。オレが暴走しそうなときは止めてくれると有難い。最近、反省するべき案件があったのでな」


「ええ、存じております。わたしも見守らせていただきました。止める必要が無いと判断いたしました」


「そうか、、、分かった。ありがとう」


「どういたしまして」


「ところで、そこまで知っているのなら、オレが何のためにここまで来たのか、分かっているのだろう?」


「ええ、大体は、、、」


「一つ目は、先日リベラ共和国は近々ランドル王国に併合されそうだという噂を流した。リベラ共和国でその姿を堂々と現して、オレの名代として党首にこの書状を届けてくれ」


オレは懐から、書状を取り出しキリに渡す。


キリは書状を咥える。


「二つ目は、ベルファント王国王太子の結婚式の演目に協力してくれ。以上だ」


「御意」


そう言うとキリは消えた。


リゼたちは、まだ遊んでいるようだ。


オレは草の上に座り、その様子をしばらく眺めていた。




「ねぇねぇ、寝ちゃったよ」


「可愛いね」


「可愛いねじゃなくて、かっこいいだろう?」


 どうやらオレは眠ってしまっていたようだ。


誰だか分からないが、子供たちのような幼い声が、沢山聞こえてくる。


目を開けず、しばらく寝たふりをして様子をうかがうことにした。


「エリーゼを呼びに行く?」


「僕たちに気付くかな?」


「気づかないんじゃない」


「どうしようか」


どうやら彼らはリゼを知っているようだ。


「ルイス様ー!!」


リゼがオレを遠くから呼ぶ。


だんだん足音が近づいて来る。


そろそろ、ここへ辿り着くだろう。


「ええええええ!!!!」


オレはリゼの驚き倒した声を聞き、寝たふりも限界だった。


ブファ、思わず吹いてしまう。


そして、目を開ける。


「うわー!!!」


オレも叫んだ。


目の前に数えきれないほどの妖精が飛び交っている。


いやいやいや、これは多すぎるだろう!!!


「ルイス様、大変なことになってますよ!」


リゼがオレの右側を指さすので、視線を向けると肩に妖精たちがぶら下がっていた。


オレは遊具かよ、、、。


「リゼ、いつもこんな状態だったんだな」


「恐らく、、、。予想より、かなり上をいってました」


「そうだな」


妖精たちはオレたちのやり取りをジッと聞いている。


「お前たちはここに住んでいるのか?」


答えてくれるのか分からないが、オレは聞いてみた。


「この森は竜神王さまが作ってくれたんだよ」


どこからか声がした。


「そうか、ならば、大切なこの森は壊さないようする。オレもちゃんと守るから安心して暮らしてくれ」


「はーい」


ベルカノン領に妖精の森を置いてある辺り、竜神王に何か考えがあったのかもしれないが、今はまだ考えないでおくとする。


「ルイス様、キリとのお話は終わったのですか?」


「ああ、用事を頼んだからキリは出掛けたよ」


「私とマルは仲良くなりましたよ」と言って、リゼはクルっと回り背中を見せる。


マルが張り付いていた。


「リゼと気が合いそうだな」


オレは笑いが出た。


「はい、私もそう思います」


マルはリゼからピョンと降りて、オレの方を見る。


「ルイスとも仲良くする。リゼが喜ぶから」


マルは胸を張って言った。


リゼが説得したのかもしれないな。


「ああ、ありがとう。よろしくな」


オレはライバルになりそうなマルに笑顔で答えた。


最後まで読んで下さりありがとうございます。


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