47 兄弟
ジャンルにこだわらずガンガン書いていきます。
誤字脱字等のご連絡は感謝いたします。
「シータ、今から霊廟までオレと一緒に行けるか?」
オレはシータに声を掛けた。
「えっ、今から?うーん、一度帰って、ルドルフにご飯あげてからでもいい?」
「ああ、構わない。それなら霊廟のある岩山の下で待ち合わせよう」
「分かった。20分後に行きます」
「ああ、あとでな」
オレが少し早く到着して待っていると、時間通りにシータは待ち合わせ場所に現れた。
「ルイス王子殿下、お待たせしました」
「言わなくても、お前は場所を知ってるんだな」
シータがニッコリ頷く。
霊廟まで、2人で飛んで移動し入り口の岩の前に到着した。
「シータ、手を当ててみろ」
「いいの?」
「ああ、構わない」
シータが手で岩に触れると白い光が岩肌を這って広がり、魔法陣が浮かび上がった。
岩が消えて入り口が開いた。
「お前、、、まぁいい中で話そう」
オレとシータは通路をまっすぐ進んで広間の前まで来た。
一度立ち止まり「開けるぞ」と言って扉を押した。
「ああ、この絵懐かしい」
シータが呟く。
オレは、オレの勘が当たっていたと確信した。
「シータ、いつ覚醒した?」
「この前、沢山の人をベルファント王国から魔塔に送った時に、竜神王ドゥの記憶が湧いて来たよ」
「ああ、オレもアレで確信した。どう考えても神力使わないとアレは無理だろ」
「うん、ぼく頑張ったよねー」
シータは胸を張る。
オレは頷いた。
「竜化は?」
「分からない。してみたことがないから」
「ここなら誰も来ない。ちょっとやってみろ」
「分かった。してみる!」
シータが集中する。身体からは紫色の陽炎が立つ。
陽炎の色がだんだんと濃くなり、シータが見えなくなった。
「出来た!!!」と言う声が広間に響き渡る。
そこには小柄な紫色の竜が一頭立っていた。
「良かったなシータ。うん、良かったと言っていいのか??」
オレは微妙な気分になった。
「大丈夫だよ。ぼくはリゼ姉様を取ったり、殺したりする気は全く無いから」
「それなら良かったって、言うのも変だけどな」
オレはシータに答えてから、己も竜化した。
今、この霊廟に始祖の双子竜の生まれ変わり、黒と紫の竜が揃った。
「オレたちは、共に竜の兄弟の記憶を受け継いだ。だが、オレ達は過去では無く、今を生きている。過去に囚われて、同じ人生を辿るなんて勿体ないと思わないか?」
「ぼくも嫉妬に狂うより、楽しい方がいいや。それでルイス兄様は何をやらかそうとしているの?」
「兄様か、お前が言うと不思議な気分になるな」
「そう?ぼくの周りは兄様、姉様だらけだよ。ぼくを兄様っていうのは弟のマーリだけだもん」
「確かに年下が少ないな」
「ルイス兄様たちに早く赤ちゃんが出来ればいいのに!!」
グフっ、オレは咽せた。
「シータ、それをリゼの前で言うなよ。嫌われるかもしれないぞー」
「えー、そうなの?分かった」
「それで、本題に入る」
「うん」
オレ達はロイの結婚式を盛り上げる作戦を立てた。
「楽しみだね」
「そうだな、カッコよく決めれたらいいな」
「ところで、この姿からはどうやって戻ったら良いの?」
「竜化した時と同じ様に念じてみろ」
シータはアッサリ元に戻る。
「あっ、簡単だった!」
「良かったな。じゃあシータ、夢の方も頼むからな」
「はい!」
「オレはこれから、一仕事して魔塔に戻る。少し遅くなるかも知れないから、リゼに会ったら伝えておいてくれ」
「うん、伝えておくね」
シータは元気のいい返事を笑顔で返してくれた。
シータと岩山の下で別れてから、オレはブランド領の監禁場所となっていた民家に向かった。
民家に辿り着くと王国騎士団が見張りをしていた。
その中にヘミングウェイを見つけた。
「ヘミングウェイ!」
オレが呼びかけると、直ぐにヘミングウェイは駆け寄って来る。
「殿下!おひとりで来られたのですか?」
「ああ、大切な仕事をしないといけなくてな」
「そうですか、自分もお手伝いします」
「いや、1人で大丈夫だ、お前はオレがいいと言うまで、この建物には誰も近づかない様に見張ってほしい」
「分かりました」
そう告げて、オレはアズに聞いた地下2階まで降りた。
オレは竜化した。
部屋の中で瞑想する。
過去にこの部屋で起こった出来事が脳裏を駆け巡る。
何と言うことだろう。正教会に踏み込んできた黒いフードの奴らは一体、ここで何人の命を奪った?何の罪もない人々を自分たちの利益のために、、、。どうしようもなく怒りが湧いてくる。
オレは手を伸ばし、床に魔法陣を展開する。
そして、正教会に踏み込んできた黒いフードの奴等を全員思い浮かべる。
「召喚!」
そう唱えると、10数名の男女が部屋に現れた。
彼らが驚きの声を上げる間を与えず、オレは部屋の中に豪炎の渦を創り出した。
「殿下、ご用事は終わられましたか?」
オレが戸を開けて外に出るとヘミングウェイが声を掛けて来る。
「ああ、仕事は終わった。オレは今から魔塔に戻る。それとルソー・ブランド辺境伯爵に今後は国境の警備をしっかりする様、伝えてくれ」
「分かりました。兄に伝えておきます」
ヘミングウェイは深々と頭を下げた。
そして、オレは魔塔へ転移した。
殿下は何の仕事をしに来られたのだろう?
ヘミングウェイは彼を見送った後、民家の中を隈なく見て回る。
しかし、殿下が何の仕事をして帰ったのか全く分からなかった。
とても不思議な出来事ではあったが、それ以上の深追いはしなかった。
最後まで読んで下さりありがとうございます。
この「兄弟」の後のお話を『番外編1、罪と罰』に書いています。
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