44 密告
ジャンルにこだわらずガンガン書いていきます。
誤字脱字等のご連絡は感謝いたします。
ランドル王国の魔塔へ帰って来た私達は、一先ず休養を取ることになった。
あの後、ベルファント王国の正教会がどうなったのか気になるけど、考えても成るようにしかならないとルイス様に言われた。
そして今、私とルイス様は2人のお部屋で、入浴も終わってのんびりしている。
「さっきまでの慌ただしさが嘘のようですね」
そう言いながら、テーブルに用意されたレモンソーダに手を伸ばす。
おおっ!お風呂上がりのレモンソーダが美味しい!!
「ああ、今のうちに疲れを取っておいた方が良いぞ。オレの知る限り、物事が進むときは怒涛の如くだからな」
ルイス様もレモンソーダを手に取り、一口飲んで美味しさに驚いた顔をしている。
かわいい。
「まぁ、そうですね。分かりました。今夜はゆっくり寝ます」
「ああ、早く寝よう。やっぱり同じ部屋がいいよな」
何だか、ニコニコされている。
「ルイス様って、本当に私を遠慮なく抱き枕にするのが大好きですよね。そもそも結婚前の男女が何のお咎め無しで同室いうのも、大概マズイ気がしますけどね」
「安全対策ということで了承を貰ってるから、そこは心配ない。それにオレは紳士だろ?」
何だかドヤ顔をしているけど、、。
「紳士なんですかねぇ、、、。私からの信頼を無くさない様にもしっかりよろしくお願いしますね」
私達は、その晩もぐっすり仲良く寝た。
言うまでもなく、健全に。
翌朝、ベルファント王国からの伝令が飛び込んで来るまでは、、、。
「ギザン様、お帰りなさいませ。今夜は早かったのですね」
昼下がりに出掛けた夫が珍しくディナーへ間に合う時間に帰宅しました。
「マリー、出迎えは不要だと言っているだろう」
相変わらず、不機嫌なご様子は変わっていらっしゃいません。
「ご夕食が出来ておりますわ。ご一緒に」
わたくしが食堂へお誘いすると、黙って付いて来られました。
一体どうなされたのでしょう?
私達が席に付くと、給仕がアミューズを運んで来ました。
お皿の上には、一口サイズのチーズマドレーヌが乗っています。
グラスにはシャンパンも注がれました。
私達2人を残して、給仕は下がりました。
わたくしは、シャンパンの泡を見つめながら、「何かお祝いの席の様ですね」と溢しました。
視線を上げると厳しい顔のギザン様が見えます。
「マリー、済まない」
突然、ギザン様は私にお詫びを告げました。
そのまま、ギザン様は真っすぐ私を見つめておられます。
「どうされたのです?わたくしに心当たりはございませんが、、、」
私はすぐに返しました。
ギザン様はじっと黙っておられます。
「ギザン様、わたくしたちは結婚しているものの、他人の様な生活をして参りました。それでも一緒にいれば分かるのです。何か大きな過ちを犯したのなら償うべきです」
普段、お飾りの妻から、唐突に悪い事をしたのでしょう?と決めつけられるなんて、ギザン様はきっと激怒されるかもしれないとわたくしは思いました。
それでも言わずにはいられませんでした。
「君は察していたのだな。いつも、わたしの傲慢に文句も言わず、無関心なのだと思っていた。本当に済まない」
「ええ、お詫びは受け取らせていただきますわ。それで、どうされたのです?」
「カルマン商会はリベラ共和国と繋がっていた。彼らは旧ヨーク公国を破滅に導いた国だ。わたしはカルマン商会を通じて商品を仕入れ祖国ホロロ帝国に商品を販売している。ある日突然、旧ヨーク公国の様にベルファント王国に不利益をもたらすかもしれない」
「なぜ、突然それに気づいたのですか?」
「先ほどカルマン商会に辿り着いた時に黒いローブの集団が裏口から出て来た。彼らはリベラ共和国の言葉を使っていた。わたしは王族の教養として幼少期より多言語を身に付けさせられた。この大陸の言語は習得している。彼らは司教とロイ王太子を探せと話していた」
わたくしはそれを聞いて指先から血の気が引いて行くのが分かりました。
「何と言う事を、、、。宮殿にはお伝えしたのですか?」
「ああ、その足で陛下と面会して来た。処分は追って知らせるから屋敷で待機する様にと言われたよ」
ギザン様は力無くお答えになられました。
「王太子殿下と司教様はご無事でいらっしゃるのでしょうか?」
「それはわたしを信用出来るまでは教えられないと陛下から言われた」
「あなたは本当にそれ以外は何かご存じではないの?正教会へ足を運ばれていた事をわたくしは存じています。」
「私が正教会に足繁く通っていたのは、キース司祭との話し合いのためだ。彼は力を持ちすぎた正教会は良くないと私の意見に賛成してくれていた。そして彼の弟子のアーサー司祭も正教会から国の管轄に変えるべき部署があると提案してくれていたんだ」
あんなに傲慢でプライドの高いギザン様の声が揺れている。
「分かりました。あなたを信じます。ベルファント王国の裁判では真実を話して下さい」
「ああ、そうする。わたしはベルファント王国の貴族なのだから」
わたくしはお飾りの妻ではありますが、もう祖国にも戻れない彼が唯一帰って来れるこの場所を守りたいと覚悟を決めたのでした。
伝令によると、カルマン商会は旧ヨーク公国の流れをくむ商会として、ローザン男爵がギザン・サマンサ侯爵に紹介したそうだ。
ギザン・サマンサ侯爵はホロロ帝国が旧ヨーク公国を破滅に追いやったという負目があったため、直ぐに信用してしまい大口の取引をしたと陛下に話したらしい。
また、ベルファント王国の国王陛下の指揮で、昨夜カルマン商会にガサ入れをしたところ、もぬけのからになっていたとの報告もあった。
私達がこちらへ転移して、スヤスヤ寝ていた間にかなり事態は動いていた。
それにしても悪党の逃げ足の速さに感心する。
昨日、ロイ王太子と司教を仕留められたら、本当にベルファント王国が転覆してしまうかも知れない事態だったとルイス様が言っていた。
そして今無事に、お二人は揃ってここに居る。
ランドル王国の魔塔は最高レベルの警備体制となった。
最後まで読んで下さりありがとうございます。
仮面夫婦が仮面を取りました。
事件の真相にも近づいて来ました。
どうぞ次回もおたのしみに!
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