36 先見の目
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「父上、ただいま戻りました。大変ご心配をおかけしました。ロゼもこの通り無事です」
ロイ王太子殿下はロゼ公爵令嬢と一緒に、ベルファント王国の国王陛下へ帰還の報告をした。
「何と喜ばしいことか、我々はまさに絶望の淵にいた。無事に戻って来られて本当に良かった」
ベルファント王国の国王陛下も感極まり、目から涙を流しているのが見える。
私達もロイ王太子殿下達と共に国王陛下に謁見している。
今、謁見の広間では、親子の再会に国王陛下を初め、王妃様や家臣の皆様が号泣されている。
王太子とその婚約者の生死も分からず、それぞれがこの2ヶ月弱、色々な思いで過ごして来たのだろう。
私たちはその様子を本当に良かったと静かに眺めていた。
今回、マーゴット様はランドル王国に残っていただいた。
理由は安全面もあるが、アズールとの事を国王陛下に話してから帰国した方が良いだろうという、ロイ王太子殿下からの指示だった。
この件に関して、私はシータの実行力に驚いた。
そして、それを受け入れたマーゴット様も決断が早くてカッコいい!!素敵!!
アズールはマーゴット様を手に入れるなんて!!
ズルいわー!あんなに美しい方と毎日一緒に居れるなんて、贅沢過ぎる。
「リゼ、心の声がデカ過ぎる。もう少し落ち着いてくれ、オレは笑いを堪えるのもそろそろ限界なんだよ」
ルイス様が小声で耳打ちして来る。
残念ながら、ランドル王国を出ると私との念話は使えないらしい。
魔道具にも限界があるのねー。
「すみません。ちょっと興奮してしまいました。えっ、あれ?何で私の声は聞こえているのですか!」
さっき、確かに笑えるって言ったわよね?
「ああ、何故かリゼの面白い話は聞こえてくるんだよ」
「何ですか、その都合の良い耳は!」
私は不服を訴える。
「そこにいるのはランドル王国のルイス王子ではないか?すまない、ロイ達の件では大変世話になった。とても感謝している。ありがとう」
国王陛下はルイス様へお礼を述べる。
「国王陛下、ご無沙汰しております。今回は無事にロイ王太子殿下及びロゼ公爵令嬢を連れ帰る事が出来ました。私共も隣国のお役に立てて良かったと思っております」
言い合えるとルイス様は私の方を見た。
「おお、そなたがルイス王子の婚約者殿か、我が国の王太子と婚約者を救ってくれてありがとう。心ばかりだが晩餐会の用意をしている。滞在中は遠慮なく過ごされよ」
国王陛下は私にも笑顔でお礼を言われた。
「ランドル王国のベルカノン公爵家のエリーゼ・ベルカノンと申します。この度はお役に立てて良かったです。私、学園ではマーゴット様とお友達になりました。今後ともどうぞよろしくお願いいたします」
私は丁寧にカテーシーをした。
「ああ、マーゴット、あの子は剣ばかり振り回して、、、。剣術ばかりの日々だったから、エリーゼ嬢のようなお友達が出来たのならば、ランドル王国へ留学させて良かった。なぁ王妃よ」
国王陛下は横の王妃様へ目配せをする。
号泣していた王妃様はハンカチで目元を押さえながら、話し始めた。
「ええ、本当に良かったですわ。あの子は私の父が少し鍛え過ぎてしまって、あの様に騎士道を突き進んでしまったのよ。エリーゼさん、お友達になってくれてありがとう」
マ、マーゴット様は、一体ベルファント王国ではどういう風に過ごされてたのかしら、、、。
ご両親の反応に若干、不安を覚えた。
「父上にマーゴットの事でお話があるのです!」
タイミング良く、ロイ王太子殿下が話に滑り込む。
「マーゴットが、どうかしたのかい?ロイよ」
ロイ王太子殿下は私達の方へ視線を巡らせてから、話し始めた。
「実はマーゴットが結婚相手を見つけました」
ロイ王太子殿下が大きな声でそう告げると、広間がシンと静まり返った。
えっ、何この空気!?
反対とかされちゃう流れ??
「それはまことか、ロイ、相手は何と?」
国王陛下はロイ王太子殿下へ確認する。
「はい、相手の男性から、マーゴットとの婚姻を喜んでお受けしますと了解の返事をいただきました」
「なな、なんと!!そんな相手が居たのか!あー神様ありがとうございます。我が娘にもようやく伴侶が、、、」
えー!?マーゴット様はあんなに美しくて、沢山の男性が結婚したいって名乗りを挙げて来そうなのに?
「いばら姫は今まで、周りにいる男という男をボコボコにしていたんだよ。アズールの件は奇跡だ。姫の好みだったんだろうな」
横のルイス様が教えてくれる。
「えええ、ルイス様もボコボコにされたのですか?」
「オレが負けるわけないだろ。だから目の敵にされている」
「ああ、なるほど!だからマーゴット様はルイス様に塩対応なのですね」
でも、それなら全然マーゴット様はヒロイン枠では無かったって事?
乙女ゲームは一体、何だったんだろう。
「そのリゼの言う乙女ゲームとやらも、、、思うところはある。もう少ししたら真相が分かると思うから心配するな」
そういうとルイス様は私の頭を撫でてくれた。
そして、私が落ち着いたところで、
「国王陛下、マーゴット姫の相手は私の側近です。もし可能ならば、ランドル王国に嫁いで来ていただきたいのが本音ですが、本人達はベルファント王国で暮らすことになっても構わないと思っているようです」
と、ルイス様はアズール達の今後についての質問をした。
「そうか、ルイス王子の側近が相手なのか、分かった。姫は嫁ぐ方向で調整する。家名も聞いて良いか?」
「我が国の四大公爵家、バッファエル家の長男アズールが相手です。ここに居るのは彼の弟で次期王国筆頭魔術師のシータです」
ルイス様は私達の横に立っている、シータを紹介した。
「シータ殿は次期王国筆頭魔術師とな!かなり若いと見受けるが?」
「はい、バッファエル家の次男シータと申します。今年10歳になりました。兄共々、どうぞよろしくお願いいたします」
「こちらこそ、よろしく頼む。しっかりした弟君だ。マーゴットが手に負えない時は遠慮なく言ってくれ」
国王陛下が気さくに答える。
よく考えたら、ベルファント王国の国王陛下とシータは親戚になるのよね?
シータ凄いわ、、、。
もしや、ここまでシータは分かっていて、話を持ち掛けた?
私はシータをチラリと見る。
右手で私にグッジョブマークしているし、ああ、確信犯か、、、。
世の中のことを、どこまで知ってるのよ。
シータ怖過ぎる。
アズールは、このご家族に物凄く大切にされそうな気がする。
酷い弟から、一気に先見の目がある弟になっちゃったねシータ。
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