35 下心と戒め
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6月28日 快晴
本日の魔塔の朝ごはんはエッグベネディクトとトウモロコシのスープに桃のジュレ!どう考えても我が家(ベルカノン公爵家)より豪華。もしや、ルイス様がいるから特別メニュー?気になって確認したら、「国賓が滞在しているからです」との事。ロイ王太子殿下たちのこと忘れていた。あと、魔塔の部屋が足りないっていう話は嘘だなと気づいた。
気配を感じる。
私を誰かが見ている?
微睡の中でそんなことを考えていると、いい香りがして来た。
薄っすら目を開ければ、目の前にエッグベネディクトの載ったお皿が!!
「お、おいしそう!!」
私はお皿に手を伸ばす。
グフっ!
ん?誰か吹いた?
瞼をしっかり上げて見ると、いたずらっ子よろしくルイス様が笑っていて、その手にはお皿を持っていた。
「おはよう、リゼ。いい目覚めだろう?」
あー、そうだった、同室だった、、、。
「おはようございます。ルイス様、おいしそうな香りで、とても良い目覚めでした。ありがとうございます」
開き直って、お礼を言う私。
「朝ごはんが来たから食べよう」
「はい、顔洗ってきます」
私は起き上がって、バスルームへと向かう。
魔塔は、いつでもお湯が使えるし、お部屋も心地よい温度に保たれていて、とても快適だ。
おまけにセキュリティーもバッチリという完璧物件である。
話は変わるが、私とルイス様の同室は陰謀ではないかと思い始めた。
なぜなら、ロイ王太子殿下とロゼ様にもお部屋が用意されたからである。
しかも、あちらはリビング付き2寝室の大きなお部屋!!いいなぁ。私もそっちが良かった!!
まぁ、身を守っていただいてるので、不満なんて烏滸がましいけどね。
「お待たせしました。食べましょう」
私が身なりを整えてテーブルにつくと、ルイス様がお水をグラスに注いでくださった。
「さあ、今日も何があるか分からないからな。しっかり食べておこう」
「そうですね。今朝はエッグベネディクトなのですね。大好きです!いただきます」
「リゼ、食べながら話してもいいか?」
「ええ、もちろん」
「ちょっと気になることがあるんだ。昨日のロイに聞いた竜神王の御伽話のことなんだが」
「御伽話!ああ、あれは私も思うところがありました」
私はナイフで、ソロリと卵を切りながら答える。
「ええっと、どんなところが気になった?」
私に質問しながら、ルイス様は優雅に卵を切り、こぼさず上手に口へ運ぶ。
「1番気になったのは、ベルファント王国の竜神王の御伽話を知っている人々の前に、兄の竜神王もしくはその末裔だという人が現れた時です。人々は今の王家を潰して、兄の竜神王もしくはその末裔に国を差し出すのではないでしょうか?」
私は思っていたことを伝える。
「ただそれでは、民が何か得をすることはないだろう?そこまで人を動かすのは、何かエサが必要なのではないかとオレは思う」
「安定の黒い推察をありがとうございます。確かにそうですね。大昔の心情だけで国を転覆させるのは割に合わないかもしれないですね」
「ただ、ああいう御伽話が周辺諸国にあるとしたら、知りたいとは思った。御伽話では大体下心を持った者が行動をして失敗する。そして最後はその下心(欲)を戒めにする。オレ達がお伽話の存在に気づく前に誰かがそれを調べて、上手い具合に繋ぎ合わせ、民を誘導する何か、例えば宗教などを利用し、戒めを教えとして広めている可能性もある。また厄介なのはベルファント王国の御伽話にも、ほんの少し真実が混ざっているところだ。民を納得させるために、その少しの真実を利用すれば騙しやすくなるだろう」
ルイス様の朝ごはんを食べていた手は完全に止まっている。
それだけ気になるのだろう。
「確かに厄介ですね。ということは、信仰の場であるベルファント王国の正教会も怪しいと思っておいた方がいいのでしょうか?」
「ああ、限りなく怪しいな。聖女を呼ぶという発想も危ないと思うし、なぜリゼの夢や前世に繋がるのかが、気になって仕方ない」
「そういう時はシータ先生に聞いたらどうですか?」
「ああ、シータは俺より見渡してそうだな。あいつがベルファント王国の正教会に行く時、オレ達も付いていくか?」
「行くのは全然構いませんけど、また私、狙われますよね?」
私は正直なところ、少し怖い。
「狙われても、何とかなりそうな気がするから行こう。リゼ」
え?何ですって??ルイス様がトンデモナイことを言い出した。
何とかなりそうって、、、はぁ?
「そこは、せめてオレが何とかするから、ここに居てくれ!いえ、わたくしも参ります!って、やり取りをするところでは?」
私はカチンと来て、ルイス様に詰め寄った。
そして、私の食事を食べる手も会話が白熱して来たので、すっかり止まっている。
「行くなら一緒がいい」
ルイス様はキッパリ言い返してくる。
「ルイス様、くれぐれも一緒に行きたいからではなく、キチンとした理由を付けてくださいね。さすがに王子が、その発言は色々とマズいですよ」
そう言いつつ、内心ではルイス様とシータがいれば大丈夫な気もして来る。
「ああ、そういうのは得意だから大丈夫だ。では、オレ達も行くということで決定にする。それと、風!」
部屋につむじ風が起こる。
この前触れは間違いなく、、、。
「サワディー!ロナウド&メロディー!」
黒装束のミヤビが現れた。
「サワディー、ミヤビ」
無表情低めボイスの返答をするルイス様と、それを受けて悲しそうな表情のミヤビ。
ちょっと可哀想?
「サワディー、ミヤビ!」
フォローすべく、私は笑顔で返した。
「お嬢、お優しい!ありがとうございます。ところで、殿下御用ですか?」
「ああミヤビ、この大陸にある3つの小国に竜神王の御伽話が無いか調べてくれないか?もしかすると国ごとに内容が違うかもしれない。至急で頼む」
「御意」
そう答えるとミヤビは、スッと姿を消した。
何となく方向性も決まり、私たちは朝食を食べる手を、再び動かし始めた。
そして、午後のこと。
「シータ、今来れるか?」
オレはシータにベルファント王国の正教会で、一体何をしようとしているのかを聞くつもりでいた。
「はい、大丈夫です。行きます」
返事と同時にシータは、オレの執務室(王宮)へやってきた。
「ごきげんよう、ルイス王子殿下」
相変わらず、見た目は天真爛漫10歳の少年だが、中身は魔神と言われるほど苛烈な奴だ。
「昨日のアズの一件はどうなった?」
「昨夜、ロイ王太子殿下は、アズ兄ちゃんに「アズール君、辞めるなら、今だぞ!」と質問しました。でも、アズ兄ちゃんは「マーゴット王女殿下は美人なので、別に構わないです」と答えました。それを受けて、ロイ王太子殿下は、「マーゴットをランドル王国に嫁がせるか、アズール君をベルファント王家の婿に迎えるのかを決めるため、出来るだけ早く我が国王との話し合いの場を作ろう」と言いました」
「恐ろしいほど、話が進んでいるんだな。辞めとくなら今って、怖いセリフだな、、、」
「アズ兄ちゃんが婿に取られたとしても、間諜に出来ますね」
シータが生き生きしている。
「お前のそういうところがオレは怖いよ。それから、お前はベルファント王国の正教会で何を確認するつもりなんだ?もう事件の全容を掴んでいるのか?」
「事件の全容はまだ不十分だけど、何かを仕掛けた人たちは把握してます。だけど、まだ確実じゃないから話せないです。ベルファント王国の正教会では、まず、ブランド領主のルソー・ブランド辺境伯爵を探します。彼はとらえられているのか、それとも正教会の関係者なのかで、話が変わってくるからです」
「聖女の呼び出し儀式をした奴らは?」
「ああ、その人たちは全員、使役紋で操られていたので、作業をしただけだと思います。ルソー・ブランド辺境伯爵とベルファント王国のギザン・サマンサ侯爵に会うのが本当の目的です」
「ギザン・サマンサ侯爵とは元ホロロ帝国第4皇子だな。ベルファント王国を荒れさせた張本人とロイから聞いている。シータ大丈夫か?」
「はい、仮に襲撃にあっても、こちらに転移で戻ればいいので問題ないです。ルイス王子やリゼ姉さまも一緒に連れて飛ぶくらいは出来ます」
「お前、オレたちが一緒に行こうとしていると知っていたな?」
「前もいいましたが、ぼくは聞こうとしているのではなく聞こえてくるので、、、。プライバシーに関わりそうなときは遮断出来ます」
「なんだか都合のいい耳だな。まあいい、ならばロイ達と共にベルファント王国に行くとしよう。それから、オレが言うのもなんだが、もう少しアズに優しくしてやれよ」
「はーい、分かりました。ルイス王子殿下、それとリゼ姉さまに伝言をお願いしていいですか?」
「ああ、なんだ?」
「くれぐれもベルファント王国で、大きな白狼が出てこないように精霊へ呼び掛けをしておいて欲しいと伝えてください」
「リゼは精霊の使役が出来るのか?まだ覚醒してないみたいだけどな」
「出来れは使役が出来る様、早めに覚醒してほしいですけど、リゼ姉さまが呼びかけるだけでも精霊には伝わると思います。よろしくお願いします」
「分かった」
シータが去った後、オレは深いため息をついた。精霊の件もあったなと、、、、。
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