31 使命
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「我々はベルファント王国を滅ぼす。あなた方はもう必要ないのです。私たちはこの大陸を統一して、竜神王さまと新しい国を築くのです」
黒いフードを被った暗殺者達は僕たちに向かって言い放つ。
彼らは、僕と婚約者のロゼが執務室で2人きりになった時、押し入って来た。
タイミングを見計らっていたのだろう。
側近たちが部屋を出た直後のことだった。
僕たちは剣を突きつけられ身動きが取れない。
まずは時間を稼ぐことが最優先だ。
無駄な抵抗をせず、僕は彼らに話し掛ける。
「僕たちを殺したとしても、ベルファント王国は滅びない。甘い考えだと思うよ。王族は僕一人じゃないし、他に替えはいくらでもいる。竜神王?そんな夢物語で国が治められるわけないだろう」
仮面の男たちは僕の話を黙って聞いていた。
それにしても、直ぐに助けが来ないところを見ると、計画的犯行か、、、。
この王城の協力者は誰なのか?
僕が思考を巡らせている間、横のロゼは怖いはずなのに気丈な振る舞いを崩さず、相手を睨み続けていた。
相手側も僕達から目を逸らさない。
場の空気が凍りつく。
すると、仮面の男は口元に不敵な笑みを浮かべ、ようやく口を開いた。
「いや、殺したり面倒なことはしませんよ。お二人にはこの国を去ってもらうだけです」
淡々と言い終えると、彼は懐から小さな板を出した。
仮面の男は、それを右の手の平に乗せて、左手の人差し指で触れる。
その瞬間、眩い光が室内へ放たれ、何も見えなくなった。
しまった!と思うと同時に浮遊感を感じる。
咄嗟に横にいたロゼの腕を引き、抱き込んだ。
ドシン!!と背中に強い衝撃を受ける。
僕らはどこかへ落ちたようだ。
「ロゼ大丈夫?」
腕の中にいる彼女に声を掛け、僕は身体を起こした。
だが、目はまだ眩んでいる。
「ええ、ロイ。私は大丈夫よ」
ロゼの声が聞こえて、ホッとした。
光で眩んだ目が元に戻って来ると、目の前には見たこともない不思議な街並みが現れた。
僕たちは国外に放り出されたのか?
だけど、えーっと、ここは一体何処なのだろう。
通りには変わった服装の人々が行き交い、箱の様なものが人を乗せて動いている。
その道の両脇には沢山の店が立ち並び、建物の高さが恐ろしく高い。
僕は呆気に取られて、しばらく周りを見回していた。
そして、僕の腕から抜け出したロゼも同様に、、、。
「ロイ、ここは一体、、、私達、何処に来たの?」
「僕もここが何処か分からない。あの光は何だったのかも、、」
そんなやり取りを2人でしていると、後ろから肩を叩かれる。
「ロイ!久しぶりだな」
僕は話しかけて来た相手の顔を見て驚いた。
「え?ルイス!?えー、ここで何をしているの?って言うか、ここはランドル王国?」
ルイスに話し掛けて気付いた。
僕はとても動揺していると。
「いや、ランドル王国ではないけど、オレたちは帰り方を知ってるから、一緒に戻ろう」
ルイスは僕に言った。
「ありがとう。場所も帰り方も分からなくて困っていたんだ。そうそう、彼女が僕の婚約者のロゼだよ。一緒にここへ飛ばされてしまったんだ。カッコ悪いだろう」
横にいるロゼがルイスに会釈をした。
何だか彼女の方が落ち着いていて、カッコいい。
「カッコ悪いとか無いさ、相手が悪い奴だったんだろう。ケガがなくて良かったよ。それと彼女はオレの婚約者のエリーゼだ」
ルイスは横に立っている可愛らしい女の子を僕たちに紹介した。
女の子は、優しい笑顔を浮べている。
あっ、エリーだ!と、気付いたけれど、顔には出さなかった。
「初めまして、ルイスの友達のロイだよ。よろしくね」
僕はエリーに挨拶をした。
「はい、存じております。私もマーゴット様とお友達なんです。よろしくお願いいたします」
エリーは全く僕に気付かなかった。
あれ?それよりも国から出たことのない妹と、エリーはどうやって友達になったのだろう?
「ロイ、悪いが時間がない。これから帰るから、2人の腕をちょっと掴ませて貰うぞ。リゼ!ボタンを押してくれ」
ルイスは僕たちの腕を両手で、ガシっと掴む。
エリーはルイスの腹部に左腕を回し、背中へぴったりと抱きついてから、カエルの人形のお腹を右手で押した。
さっきの浮遊感とは比べられないくらいの強い力で、ギューっと引っ張られる。
僕たちは一体何に巻き込まれてしまったんだろう。
そんなことを考えていると、次第に意識が遠のいていった。
その10分程前のこと。
私とルイス様は無事に異世界(私の前世の世界)に辿り着いた。
降り立った場所は私が轢かれて死んだ場所。
前々回に夢で見た、あの場所である。
言うまでもなく、私たちはコスプレのような服装でここに現れた。
通りを行き交う人々は、私達を遠慮なく眺めて通り過ぎて行く。
気にしない、気にしない、気にしたら負け。
「ここがリゼが前にいた世界か!スゴイな馬無しで、箱が人を入れて走っているし、建物もしっかりしていて高いな」
ルイス様は私の前世の世界に興味津々なご様子で、周りの事など気にしてない。
「あれは車と言って。油を燃料にして走っています。建物もコンクリートに鉄などの芯を入れて建てるので強いですよ」
「あの絵が映る板はリゼのスマホよりかなり大きいな」
ルイス様はビルの壁面に取り付けられた大型ビジョンを指差した。
「あれはニュースや広告を流すための画面です。人が多く行き交う場所に大きな画面を設置すれば宣伝効果が高くなります。そして、あの画面は電気で動かしています。電気は小さな雷と思っていただけたら良いかと、、、」
「何だか、ここは楽しいな。質問したいことだらけだ」
ルイス様の表情が生き生きとしている。
「興味を持ってくださり、ありがとうございます。ただこの状態はすぐに出来たものではなく、長い年月をかけて研究開発されたものですから、マネするのは容易ではないと思います。私たちの世界は先ず科学というものが確立されていないですし、そこからですね」
「そうだな、まずは科学か。リゼ、教えてくれてありがとう」
そう言うとルイス様はまた辺りを興味深そうに眺める。
「そろそろ、お二人が落ちてこられる時間になりますよね。私たちが見逃してしまったら大変なことになりますね」
私は時間のことが気がかりで、焦りを感じていた。
「それは心配しなくても大丈夫だ。オレたちと同じように目立つだろうから」
ああ、ルイス様も通りすがりの人たちから見られていたことに気づいていたのね。
「確かに!目立っていますものね。私たち」
「リゼの服装に関する注意が良く分かったよ」
「ご理解ありがとうございま、、、あれ?誰かコケていますよー!!」
私は視界にコケている人達が見えたので、ルイス様へ指差して教える。
ルイス様は私が指した方を見た。
「間違いないな。行くか!」
私たちは使命を全うするため、ロイ王太子殿下たちの元へと駆け出した。
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