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魔導学生キュリアの日記  作者: 風雅雪夜
2年生
24/30

12/20 その2

まぁ、サンホラでも聴きながら、とりあえず飲もう! 食べよう!

パーティーだもの。

 こってり絞られました。



「すまない、うちのキュリアが」

「すみませんでした」

「い、いえ、お構いなく」

「兄さん、それ多分違うよ」

「先生、キュリアと仲がよろしいようで、その、僕らも安心しました」



 先輩達が先生にフォローを入れて微妙な空気でパーティーがスタートすることになっちゃった。まぁ、私のせいなんだけど。



「はーい! それじゃみんな揃ったところで! クリスマスパーティー兼忘年会を始めたいと思います! みんなー、今日は盛り上がってくよー。カンパーイ!!」

「「「「カンパーイ!」」」」



 ささっと全員分の飲み物を用意して流れるように乾杯の音頭を取り、パーティーを開始させたキリコさん。レネ先輩の妹だから、やっぱりしっかりしてるのよね。レネ先輩の手腕が受け継がれているっていうのかしら。



「それで、私があまり他の生徒と顔を合わせる機会がないのではと思ってフレンドリープロデュース作戦をしたと……。動機はわかったが、もう少しなんかあっただろう?」

「ハルトからは最初のつかみ、第一印象が全てだ、って言われまして。あと、これが最近の流行りだよって」

「よし、わかった。新学期早々、ハルト・ウォードにはお礼参りに行ってやろうな」

「うわぁ、ハルト先輩死んだじゃん」

「まだ死んでないぞ。見ものだろうけど」

「早速面白いイベント来ますね」

「賭けちゃう? 大々的に告知しちゃう?」



 皆ノリノリか。先輩達まで断罪イベントにノリノリとか。ハルト、無事に生きていられるかしら。先生対ハルトってカードは私も興味あるけど。



「よし、キュリア。新年早々ハルトと魔法模擬戦だ。お前が勝つ方に賭ける」

「アレ、私ぃ!?」

「当然だ。私とハルト・ウォードでは勝敗がわかりきって面白くない。お前にやらせるから面白いんだ。それに、お前まだ絡まれるだろ。そういう奴らを黙らせるいい機会だ」



 なるほど。最高学年と戦って実力を示しておけば変な輩に絡まれないってことね。



「ノッた。勝つ」

「失礼しまーす、お料理の追加持ってきました。キュリアちゃん、カツ食べる? 注文通す?」

「そっちのカツじゃないですねぇ。でも、戦う日が決まったら当日の朝食は験担ぎでカツサンドがいいです」

「オッケー! 任せなさい!」



 たまたま来たオルガさんから応援を頂いて俄然やる気になった。

 先輩達もいい感じで賭けになると言って盛り上がっている。これもう大々的なイベントになるわね。どこかに許可を貰った方がいいイベントかな?

 決闘、というか模擬戦? 決闘罪にならないようにしたいわね。決闘罪は犯罪だから。

 でも、上級生相手でも負ける気はしないわね。無属性魔法もバンバン使おうかしら。ちょっと楽しくなってきた。


 戦士の厨房の料理を堪能しつつ普段の私達無属性組の授業について先輩達に話したり、それぞれの属性魔法についてちょっとした勉強会になったり。もう食事付きの勉強会ね。でも、先輩達、顔がキラキラしてる。無属性の魔法に触れる機会なんて私ぐらいだし、無属性を持つ事自体、結構稀なことだし、不明の属性に興味を持つのは当然よね。



「じゃあ、これからキュリアは人を連れて移動する魔法を勉強していくのね」

「依頼の時、チョー便利になるな! すぐ帰れる!」

「移動時間が短縮されるのはいいことですけど、兄さんそこは歩きましょうよ。道中で薬草を探しながら行くのがいいんですから」

「一人での移動はもうできるの? ちょっと見たいな」



 ミケーレ先輩がボソリと呟いた。ミケーレ先輩がそういう願望を口にするのってちょっと珍しいのよね。ミケーレ先輩にも色々勉強でお世話になったからちょっと見せてあげよう。



「じゃあ、ちょっとやってみますね。……転移(セレニウム)



 白い魔法陣を自分の座っている場所に展開して詠唱。そして私は部屋の外にいた。もう自分の移動も物体の移動もお茶の子さいさいよ。では、戻る前に部屋の様子をっと。



「ほんとに消えた……」

「すごい」



 あれ、思ったより静かな反応。もっと、うわー! みたいな反応を期待してたんだけど……。



「まぁ……まぁまぁまぁまぁ!」



 オルガさんが横にいた。いつの間に? 手にケーキを持ってるから今、持ってきてくれたのかしら。急に出てきちゃったからびっくりさせたかも。



「キュリアちゃん、貴女、もうそんなことまで!」

「私だけならできるようになりました」



 オルガさんがとても感激している。そうよね、オルガさんって私の母というか姉というか、身内みたいなものだから感激するのも無理ないわよね。娘か妹がめっちゃ成長したみたいな感じだろうし。



「すごいわ、もう! 折角だから祝いという名の呪いをケーキにかけて祝福しちゃうわ!」

「属性的に反対のことをしようとしてるぅ……」



 オルガさんは手に持った素晴らしいデザインにデコレーションされたクリスマスケーキに闇属性の魔法陣を展開して祝いという名の呪いを付与していく。祝いなのか呪いなのか、わけがわからない。

 けれど、ご厚意だ。ご厚意は、受け取っておくものじゃない? 病気や怪我、不幸以外なら頂きたいし。この場合はどうしたって呪いだから、判断に迷うけど。



「ふおおおぉぉぉ〜〜〜。かしこみかしこみ〜〜〜。キュリアちゃんの魔法がぁ〜、すごいと認められよぉ〜。このケーキを食べたぁ〜、皆に幸福あれ〜〜〜。不幸と呪いはぁ〜〜〜、お呼びでないのでぇ〜〜〜、もたらした奴にぃ、倍返しだゴーバックプリーズ! ハァーッ!!」



 ……うん、内容は祝福だわ。呪い形式で祝福を付与してるだけだったわ。呪いって、まじないだから使い方によっては幸福を引き寄せる手段としても使うことはできるわね。

 オルガさんは土属性科の卒業だけど闇属性にも明るい。地味に嫌な呪いならかけるのは得意ってことで、ハロウィンには力を貸してもらったし。そうよね、やろうと思えばちゃんとした呪いだってかけられるわけだし。土属性と闇属性は隣同士だから土属性が使えれば闇属性も使うことはできるわけだし。


 で、呪い(祝福)を付与されたケーキは相変わらずきれいなケーキとしてそこに存在していた。呪い(祝福)を付与されても見た目に変化はない。展開していた闇属性の魔法陣もケーキに吸い込まれるように消えていった。



「久しぶりにちゃんとした呪い付与したわ。どれだけもつかはわからないけど、しばらくは皆にいいことが起こるようになるわ」

「ありがとうございます。ところで闇属性の呪い付与と光属性の祝福付与って何がどう違うんですか? やってることは同じですよね?」



 光属性には祝福付与というオルガさんのやった呪い付与と同じようなものがある。呪い付与は呪いだから人の不幸がメインだけど、光属性の祝福付与と今のオルガさんのやったことは、取った方法が違うだけで内容は同じなような気がする。

 光と闇については、反対であるけれどお互いに影響し合ったり共鳴し合うこともあるから、他の属性とは違って概念的な属性と言われている。呪いと祝福もそれよね。



「それはね、愛よ」

「愛?」



 ちょっとピンとこない。



「祝福が全てのものに向けて愛を込めるのに対して、呪いは憎悪を込めるの。だから、私は今の呪いにはね、キュリアちゃん達を害そうとするものに対して憎悪を抱きながらそのケーキに呪いを付与したの。そのケーキを食べたキュリアちゃん達が誰かから攻撃されたり呪いをかけられたり、また貶められた、なんてした時、その人達に不幸が帰るようにっていう呪いをね。飛んできたボールを威力の高い魔法攻撃としてバットで打ち返す、みたいな感じね。祝福は、ふわふわきらきらが優しく降ってくる感じ、かな? でも、祝福だけでは何も解決しないから、ここはやっぱり相手に強度マシマシ盛り付けして打ち返して超エキサイティングしたいわよね! それぐらいしないとね。二度と呪うなんてことができないように」



 オルガさん、殺意しまって? 私達を害するモノ全てこの腕で滅ぼそうみたいな物騒な殺意しまって?

 でも、気持ちの使い方によるってことかしら。魔法も気持ちも使い方次第で良いにも悪いにも変化する。私達はこういうことに気をつけないといけないのね。



「ありがとう、オルガさん。私、皆に祝いの呪い、届けてきますね」

「ええ、行ってらっしゃい」



 私は笑顔で足元に白い魔法陣を展開させて、部屋の中へ転移で戻る。ドアを開ければ魔法なんて使わなくていいんだけど、ケーキ持って突然現れるのって盛り上がる気がしたのよね。



「メェリィークリィスマァス!」

「「イエエェェーイ! ケーキ! ケーキ!」」



 テンションアゲアゲじゃん、ブラザーズ。

 満足そうな顔で先生は待っていた。盛り上がる兄弟に向けて引いてる視線を向ける先輩とガール。カオスにも程があるけど、私もカオスなものをみんなに振る舞おう。



「こちら、当店店主より特別な加護を付与いただいた、当店オリジナルのクリスマスケーキでございます。食べましょう!」



 イエーイ!! おい、呪いかかってないか? 祝いです! いやこれ呪い。 呪いじゃん? 僕ら何かした? 祝いという名の呪いです! なんでもいいけど美味しそう! キュリアー、切ってー! 失敗しても無属性で時間戻して切ったことをなかったコトにできるのが無属性の利点ですよね。 いや、これも勉強だ。光属性で呪い解除をやってもらおうか、アンリ。 そんなっ、オルガスペシャル、みんなを傷つけるものすべてこの腕で滅ぼそうケーキがぁ! 殺意たっか!!


 そんな賑やかな声を部屋の外で聞いてから満足そうな笑みを浮かべてオルガは厨房へ戻っていった。いい仕事したなぁ、と思いながら。

愛って、恐ろしいものね……


パーティーは、もう少し続きます。

次回は6月第2土曜日。パーティーが終わったら、一度しばらくお休みを頂きます。対ハルト戦、まだ書いてます。書き終わったらまた更新の方を再開します。


今回も読んでいただきありがとうございました。

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