表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
この異世界は物足りない  作者: VRクロエ
魔王城の住民編
92/137

フロディスからの提案

更新遅くてごめんなさい! よろしければ評価、ブックマーク等よろしくお願いします!

 ある日、いつものようにセラフィとのんびりしていると、サクラが手紙を持って俺達の元へやってきた。


「ヨゾラ様、こちらをご確認ください。グラヴィウス帝国皇帝のフロディス様からのお手紙になります」

「フロディスから?」

「はい。ヨゾラ様宛に来ております」


 フロディスからこのように手紙が来るのは珍しい。外交に関してであれば、基本的にはビャクが処理してくれているみたいだが、そうではないということは、何か俺個人に伝えたいことがあっての手紙だろう。


 サクラから手紙を受け取り中身を確認する。


「何が書かれておるんじゃ?」


 セラフィも気になるようで手紙を覗き込んでくる。

 どうせセラフィに見られて困ることなど無いので、一緒に見ることにした。


 内容はこのような感じだった。

 ノーヴィストと3国が和平を結んでしばらくが経ち、国内も大分落ち着いてきたことだろうから、そろそろノーヴィストの城を会場としたパーティでも開いてみたらどうだというものだった。

 貴族などはまだノーヴィストという国がどういう国なのかを直接見た者は少なく、前回あった際に城で働く者も充実してきているという話も聞いているので、いい機会なのではないかということだ。


 確かに貴族といえば、城などでのきらびやかなパーティに参加しているイメージは、物語の中などでも出てくるのである。

 俺も前回サクラを帝都に連れて行った際に、食事と称して参加したが、あのようなものをノーヴィストでも開いてみろと遠回しに言っているのだろう。


 正直な話をしてしまえば面倒臭いのだが、国としてしっかりと歩き始めたのならば、確かにやった方が良さそうではある。


「どうするんじゃヨゾラ?」

「そうだな……一応王としての立場で言えばやった方がいいんじゃないかとは思ってる」

「であればいっそのこと、おぬしらしく楽しんでみてもいいんじゃないか?」


 俺らしくか……つまりは自分勝手に、異世界らしい楽しみ方をすればいいってことか。

 まあ地球では――少なくとも日本で普通に暮らしていると、城でパーティをすることなんかはまず無い。そう考えればパーティ自体は異世界らしいと言えなくも無いし、後は俺が楽しめるかどうかだ。


「セラフィも楽しめるパーティにしないとな」

「儂はヨゾラが楽しめているのならばそれでいい」

「ありがとな。退屈させないものにするよ。飯も美味いもん用意出来るようにしとくから」

「それは楽しみじゃ!」


 セラフィはいつも俺についてきてくれるので、俺も出来るだけセラフィが喜べるように準備することにしよう。


「サクラ、ビャクを呼んできてくれ」

「かしこまりました」


 そうと決まれば早速準備しよう。


 ビャクを呼び出して、早速準備に取り掛かる。

 それからの城の中はかなり慌ただしくなった。

 ビャクの指示が飛び交い、多くの獣人が城の中を行き来する。

 俺もそれほどやることが多い訳では無いが、時々セラフィを連れて様子を確認しに行き、ここはこうして欲しい等の意見を言いつつ作業を進めてもらう。

 招待する人物に関しては、各国の王に手紙を出して選定してもらいつつ、外交面で招待した方がいい人物はビャクが見繕い、後は俺とセラフィが個人的に招待したい者は招待する。


 初めてノーヴィストで行うパーティということもあり、皆のやる気もかなり高い。俺とセラフィがやることはほぼ無く、周囲は慌ただしいのだが、俺とセラフィはむしろやることが無くなってしまい、殆どいつも通りの生活を送っていた。

 つまりはそこにサクラも呼ばれているので、サクラも殆どそちらには参加出来ていないのだが、サクラはあくまでも俺とセラフィ専属のメイドなので、むしろあまりパーティのことに集中して本来の仕事を疎かにしてはいけないとビャクが言っていたので別にいいだろう。

 当日招待者の対応等をするのもサクラの仕事ではなく、他のメイドの仕事だとも言っていたので、遠慮なくサクラを呼んで遊びまわっていた。

 何ならサクラも俺達と同じ立場で参加させてみようかとも思ったのだが、サクラがそれは流石にと断ったので、その辺はサクラの好きにさせてやることにしよう。


 ここまで来るための足については、貿易も進んできて交通路の整備もぬかりなく、馬車も揃っているということなので問題無さそうだ。

 問題が出てきたのは貴族等が泊まる宿についてだ。

 俺が招待した友人なんかは城に泊めてしまおうと思っており、ビャクもそれで問題無いと言っていたのだが、問題は俺が招待したわけではない、特に仲良くない貴族達についてだ。

 城は言わば俺の城であり、仕事をしてくれているメイドや騎士たちならばまだしも、言ってしまえば赤の他人である奴らは正直泊めたくない。そうなると、そいつらが泊まるための、質の高い宿が必要な訳だが、これまでは位の高い者が大勢来るということはなく、宿の数が足りていなかった。

 建物を建てるのはそれほど早く出来る訳が無く、困った状況になっていてビャクが知らせに来たのだ。


「ヨゾラが土台だけでも作ればいいのじゃないか? そのくらいであれば、造作もなかろう?」

「それだ!」


 その話を聞いていたセラフィが解決策を導き出してくれた。

 確かに建物の土台であれば俺が魔法で作ることが出来る。かつて果ての秘境で生活していた家は自分で作ったし、500年を過ごすための場所も魔法で作り出したのを思い出した。


 そういう訳で、ようやく俺の仕事ができ、宿を建てる場所までやってきた。

 ちなみにセラフィもついてきてはいるが、セラフィは光属性と闇属性の魔法しか使えないので、こういった作業には向かないので、本当に見ているだけだ。

 サクラもまだ魔法に関してはそれほどではないので、今回は本当に俺だけでの作業になる。

 とはいえ、すぐに終わるので関係無い。


 俺は魔法を発動させて土台を作っていく。

 綺麗さを求める訳では無い。重要なのは頑丈であるということだけだ。

 外見は後からどうにでもなる。そもそも外見から綺麗に作るのは俺では無理だ。

 用意された木材が、俺の土魔法で固定されていき、あっという間の建物の骨格が出来上がっていった。

 ここさえ出来てしまえば、後の外見と細かい作業は招待された者達が来るまでに出来上がるだろう。


「ありがとうございますヨゾラ様」

「いいさ。むしろやることが無さ過ぎて暇なくらいだったからな」

「相変わらず見事なものじゃな。ここまで器用に魔法を使える者はヨゾラくらいじゃろうな」

「流石ですヨゾラ様!」


 べた褒めである。嬉しいもんだ。

 まあ俺はこの世界の常識から外れる魔法の考え方を転生したばかりの頃はしていたので、周囲から見れば特別に見えてしまうのだろう。

 それでも光属性と闇属性の魔法に関してはセラフィには絶対に勝てないが……なにせ、俺が新たに魔法を生み出しても、その2属性であればセラフィはその場で使えるようになるからな。

 普段がポンコツ過ぎて時々忘れるが、理級精霊というポテンシャルは本当にありえないくらい高い。


「ではヨゾラ様、後はお任せを」

「んじゃ頼むな。おーし、セラフィとサクラ、戻って適当に遊ぼうぜー」

「そうじゃな」

「はい!」


 自分で言って思ったが、なんだかダメ人間が極まってきている気がした。






 ――――――――――






 日々というのは、忙しい程早く進んでいくもので、気が付けばパーティまで後数日というところまで来ていた。

 今回の機会にノーヴィストの王都を見て行こうと考えていた貴族は思いのほか多かったようで、既にかなりの人数が王都に集まってきている。

 中には見たことのある貴族もいるが、殆どは見た目で貴族だということを判断するしかない。俺が見たことのある貴族は、その殆どが帝国の貴族なので、こうして見ているとレジケル王国の貴族もかなり招待されているみたいだった。

 スプリトゥス聖国に関しては、貴族という制度は無く、代わりに聖女という人物が複数人いるらしいが、まだそれっぽい人物には出会っていない。

 そもそも、事前のやり取りで、今回訪問する聖女は1人だけだという話なので、恐らくだがウルジェと共にやってくるのだろう。


 ノーヴィストの獣人達は他国からやってくる大勢の人達への対応で大変そうではあるが、その分の賑わいもある。

 今のところ問題は起きていないので、このままいってほしいものだ。


 俺とセラフィは、主賓として身に着ける服や装飾品などの選定をしており、各職人達の手によって着せ替え人形のような状態になっている。

 男の俺はそれほど気合を入れずに、セラフィの方にその分の気合を入れてくれと言ったのだが、それは許されなかったらしい。

 仮にも魔王なのだからと、それ相応の恰好をしないと満足してくれないみたいだ。


 ちなみにサクラのドレスにも気合を入れてくれと言ってある。

 普段は和服メイドのサクラが、ドレスに身を包んだ姿を見るのが今から楽しみでしょうがない。

 俺の命令だからと沢山用意されたドレスの候補は、サクラが着ない物はミヤに1着渡すということになっている。

 サクラからのお願いなので断る理由も無い。良き友人関係を築けているようで安心だ。

 とはいえ、今回ミヤは騎士長として参加するので、そのドレスを着ることは無いだろう。いつか着る日の為ということだ。


「俺達が呼んだ奴らもそれなりの恰好で参加するんだよな?」

「知らん……が、まあパーティなのじゃから、そうなのじゃろう」


 俺とセラフィが個人的に声を掛けたかった奴らについては、フロディス経由で招待状を渡しており、フロディスから届いた手紙によると、全員参加するみたいで安心した。

 皆長らくあっていないので、単純に会えるというだけで楽しみだ。


 ふと思う。転生する前で、友人と会うというだけでここまで楽しみになったことがあるだろうかと。

 当然地球にいた頃も友人はいたし、それなりに楽しい関係だったが、この世界で出会ってきた友人と比べてしまうと、なんだかあっさりした感情だった気がする。

 そう考えると、俺はこの世界に来て、友人としっかり向き合えているのだろう。

 俺が変わったのか、はたまた環境の違いか……いずれにせよ、嬉しい変化なのだろう。

 今後もこの世界の今いる友人やこれから出会う友人は大切にしていこうと思えた。



自由な女神「世界もそうだけど、ヨゾラ君も変わってきてるんだね……嬉しい変化だよ」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ