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この異世界は物足りない  作者: VRクロエ
魔王城の住民編
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閑話:セラフィ人形

最近は観覧数もとても安定してきました!

いつもお読みいただきありがとうございます! もし気に入っていただけたら感想、評価等よろしくお願いします! 作者が喜びます!

 今日はセラフィと一緒に城を出て適当に散策していた。

 特に目的がある訳では無いのだが、何となくそういう気分だったので、セラフィに声を掛けると普通についてきた。


 2人並んで歩いていると、デートのようにも見えるし俺もそう感じるのだが、俺とセラフィの間に甘酸っぱい雰囲気などは無い。

 別にセラフィとは恋人という訳では無いし、それ以外にも大きく意識するようなイベントが起こったりした訳じゃないのでそれも当然なのだが、俺だけが少しデートを意識しているみたいで何だか悔しい。

 勿論セラフィと恋人になれば、今よりも更に楽しそうではあるのだが、現状セラフィがそれを望んでいるのかは分からないし、俺としてもセラフィに恋愛感情を持っているのか、まだ自分でも微妙なところなのだ。

 まあセラフィ以上に可愛い奴はいないと内心は思ってるが……俺の中で対抗できるのは現状サクラくらいだろうか?


「ほれ行くぞヨゾラ! 次はあっちじゃ!」

「はいよー」


 何だかんだ言ってもセラフィも楽しそうにしているので良かった。

 ノーヴィストは帝国なんかとはまた違った街並みで、店の様子も当然違う。

 帝国は発展した街というに相応しく賑わっており、建物も綺麗に立ち並んでいる。

 それに対してノーヴィストは、元の場所が秘境ということだけあり、自然が多く地形なども殆ど変えずに人が生活出来るように発展させていった国で、建物も自然の風景の中で違和感があまり出ないようにお洒落に作られている。

 イメージ的には昔に行ったスプリトゥス聖都のような感じだ。


 前に比べれば人通りも多くなったとはいえ、まだまだ帝都程ではないのでセラフィは俺を引き連れてどんどん進んでいく。

 道行く人達が俺とセラフィに気が付き道を空けるので人通りが増えても変わらないかもしれない……


 少し歩いていると、他の場所とは明らかに人の数が多い場所があった。

 どうやら店のようだが、何の店かは外からは分からない。


「む? なんじゃこの店は?」

「随分と賑わってるな」


 外までわいわいと賑わっており、流石に気になった。


 何が売っているのか客から分からないかと観察していると、その客の1人が俺とセラフィに気が付いた。


「よ、ヨゾラ様にセラフィ様!?」


 気が付いた客が声を上げれば、当然他の客も気が付く。どんどんとその驚きが連鎖していき、あっという間に店は先程までとはまた違った喧騒を見せた。

 騒ぎになってしまったものは仕方が無い。店は気になるので見ていくことにする。

 俺とセラフィが進んでいくと、先程と同様に人が道を空ける。

 大勢いた客の殆どが左右どちらかに寄ったので、海が割れたかのようだった。


 店の中はいたって普通で、売り物としては結構なんでも置いてあり、ただの雑貨屋といった感じだ。

 ぱっと見、何故ここまで客が多いのかが分からない。


 不思議に思いつつ店内を見ていると、またもや客が集まっている場所があった。

 その商品棚だけ以上に客が多く、外から見えた混雑の原因だとすぐに分かる。


「……見に行ってみるか」

「……そうじゃな。流石に気になる」


 商品に夢中の客たちは俺とセラフィに気付く様子も無いので、左右に避けることは無い。

 商品棚が見える位置までやってきて覗き込むと、そこには想像出来るはずも無い物があった。


「これは……」

「なんじゃヨゾラ! 儂には見えんぞ!」


 そこにあったのは、セラフィの姿をした、とてもよく作られている人形だった。

 セラフィ人形と呼べるそれに、客たちは集まって買い漁っている。完全にアイドルのグッズを買うオタクだ。

 まあ客の男女比にそれ程の差は無いので、セラフィは女性にもさぞ人気があるのだろう。

 勝手に作られてるのはどうかと思わなくも無いが、まあここは地球でもないし、俺自身も口うるさくするつもりは無いので、これからも好きなようにやってくれていい。

 セラフィが嫌がるのならばやめさせるが、あまり気にし無さそうだ。


 折角だから俺も買っていくことにしよう。


 商品棚が見えなくて跳ねている可愛いセラフィはほっといて、俺は無理やり身体を捻じ込んでセラフィ人形を手に取る。

 俺が手に取ってようやく見えたようで、セラフィが驚きの表情をしていた。


「な、なんじゃそれは!?」

「ん? なんかお前の人形みたいだぞ」

「何故儂なんじゃ!?」

「それだけ好かれてるってことだろ。それよりそんな大声上げたら……」


 セラフィが出した大きな声で、客が一斉にこちらに向く。


「ほ、本物のセラフィ様よ!」

「なんて美しい……やはり本物は違う」


 客のテンション爆上がりだ。なにせセラフィが好きで、そのセラフィのグッズを買いに来てる奴らだ。その場に本物がいればテンションも上がるだろう。


 あまりの勢いに珍しくセラフィがたじろぐ。その様子は見てて面白いので放置して俺は会計に向かった。


「これはヨゾラ様!? 申してくださればお城までお持ちいたしましたのに」

「いや、セラフィの人形があるなんて知らなかったんだ。それよりも、今後他の商品を作る予定とかあるのか?」

「はい、よろしければ作らせて頂こうかと思っています。勝手に作って、迷惑では無かったでしょうか?」

「まあいいんじゃないか? ほら、見てみろよ」


 店員が不安そうに聞いてくるので、セラフィの方を指差してそちらを見させる。

 そこには、セラフィが好きな客の勢いにたじろぎながらも、どこか嬉しそうにしているセラフィがいた。

 セラフィはあまり他人に興味を示さないとはいえ、邪な考えの無い好意を拒んだりしない。

 むしろ、自分の国で自分がここまで好かれていることを知って喜んでいるのではないだろうか?


「……なんだか嬉しそうですね、セラフィ様」

「だろ? セラフィも、それに俺も同じ心を持つ人間と獣人なんだ。純粋な好意は素直に嬉しいもんだ」

「そうですね……ノーヴィストの獣人達はどうしてもヨゾラ様とセラフィ様を崇拝し、とても高い存在として見てしまいます。勿論、それは事実ですが、こうして話していて安心感も覚えるということは、確かにヨゾラ様の言う通りなのでしょうね……」


 そうだ、そのことをもっと知ってほしい。

 確かに俺とセラフィはノーヴィストの王として高い立場にある。だが、だからといって神であるという訳では無いし、国民達に対して何かをしている訳でもない。

 だからもっと気軽に接してほしいのだ。獣人を生み出したのは俺かもしれないが、ノーヴィストという国を作り上げたのは、これまでの獣人達と今住む獣人達なのだから。


「次も気合を入れて作らせていただきます」

「ああ、期待してるぞ」


 俺の言葉に店員はやる気を漲らせていたので、次もいい商品が出来るだろう。

 次回のことを楽しみにしながらセラフィを回収し、俺達は店を出た。

 セラフィに買ったセラフィ人形をどうするのかと激しく問いただされたが、正直面白そうだから買っただけで、今後セラフィを揶揄うために使うということは言わないでおいた。

 まあとりあえずは部屋に飾っておくか。


 城に戻ると、サクラがセラフィ人形を見て、少しだけ外させていただきますと何処かへ行った。

 確実にセラフィ人形を買いに行ったのだろう。


 後日セラフィの刺繍がしてあるタオルなどが販売された。

 そのセラフィのグッズと一緒に何故か俺のグッズまで出ていて、しかも大量に売れていた。

 セラフィと2人でその光景を見た時、互いに苦笑することとなった。


自由な女神「セラフィちゃんがグッズ化かぁ……なんだか本当にアイドルみたいだね」

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