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久々の帝都

遅くなってごめんなさい! キーボードがぶっ壊れて書けませんでした……

 ビャクが戻ってきたのは4か月が経ってからだった。

 思っていたよりも長かったがよく考えてみれば、ここからグラヴィウス帝都まではかなりの距離がある。それこそ行って帰ってくることを考えれば、さらに数か月掛かっててもおかしくない。

 どうやら、最短ルートを全力で行ったみたいで、向こうでも色々とやっており、移動にかけた時間は俺達がここに来る時の数倍短縮されていたらしい。


 戻って来たのはビャクだけで、アノン達はいない。

 フロディスや帝国の要所につく人達に事の経緯を説明し、当事者であるアノン達はこれから行われる3国と獣人の国による話し合いまでは帝都内での待機となったようだ。


 フロディスは事情を聞いてから素早く場を準備するために動いたようだ。理由としては俺が関わっているからだろうとビャクが推測している。

 今の状況を考えればフロディスと友好な関係を築いていて良かったと思う。

 もし俺とフロディスになんの繋がりも無ければここまで上手くはいかなかっただろう。

 アノンは魔王に唆されたとして向かい風に合っていたかもしれないし、獣人側の軍が退いたのをいいことに攻めに来ていた可能性もある。

 攻めに来るのはもうこの際割り切れるとしても、アノンの事は心苦しい。

 今後はその辺の影響も考えて行動することにしよう。


 さて、そうなれば俺達は帝都に向かう準備をしなければならない。

 足はビャクが用意しているらしい。向かうのは俺とセラフィとビャクだけなので、急ぐのならば徒歩の方が早いがあまり早く着きすぎると他国の人間が揃っていない可能性があるので、今回は馬車で向かうようだ。


 俺はビャクが用意してくれた、無駄に偉そうな服をアイテムボックスにぶち込む。俺はこういったゴテゴテした服はあまり着たくないのだが、必要ならば仕方ない。

 セラフィの分も用意してあり、そちらは白と黒のドレスなのだが、セラフィにはとても似合いそうで、今から見るのが楽しみだ。


「それじゃあ行くか」

「うむ、儂は何もせんとは思うが」

「一応セラフィも俺と似た様な立ち位置っぽいから行かないとな。まあその辺を決めるのは俺達自身だろうけど……まずは面倒事を片付けてからだな」


 この4ヶ月間、流石にビャクが用意してくれた食料だけでは足りず買い出しの為に城下町の方に買い出しに行ったのだが、国内の方もビャクが話を通しておいてくれたみたいで、俺とセラフィの事を知っている獣人が殆どだった。

 俺が魔王というのはまあ自分でもそうなると決めていたので何も気にしていなかったが、セラフィはどうなっているのだろうと思っていた。

 話を聞く感じ、セラフィは魔王ではないが俺と同格であり、俺と同じように扱うようにということになっているらしい。

 まあ結局のところ、俺の立場が獣人の国内で高くなろうが、俺とセラフィの立場も関係も変わらないということだ。


 ちなみに金は人間の物とは違っており、俺達は持っていなかったのだが、立場もあるだろうが金は要らないと快く食料なんかを貰ってしまった。

 流石に申し訳なさが凄いので、そのうちまとめて払いに行こうと思う。






 ――――――――――






 馬車での長旅は本当に何事も無かった。

 実際には魔獣が襲ってきたりはしたのだが、ビャクが本当に優秀で、蚊を潰すように片付けてしまう。


 いや、本当に強いのだ。実際に戦えば分からないが、魔獣との戦闘で言えばアノンすら上回っている。

 俺とビャクが戦えば、本気を出したとしても負ける可能性があるレベルだ。


 ちなみに、魔王としてアノンと戦った時は本気では無かった。

 アノンを殺す気で戦っていれば俺が勝っていただろうし、更に確実性を増すのならばロニとフーシーをセラフィに任せずに2対3で戦って精霊魔法ゴリゴリで戦った方が勝率はよっぽど高い。

 あの時は単純にアノンとタイマンの状況が望ましかっただけだ。

 とはいえ、グランシャリオを食らった時点で俺の負けなのは変わりないので、絶対に勝てるという程でも無いのだが・・・・・・


 そんな感じでビャクの強さに驚きつつ、俺達はグラヴィウス帝都にやってきた。

 魔王を倒すために帝都を出てからもう1年と少しが経っている。

 何だか長かったような、短かったような不思議な感じだが、帝都は懐かしさを感じさせた。


 俺達は帝都に入る前に着替えを済ませなければならない。流石にここに来るまでの馬車の中まで堅苦しい格好をしている訳にはいかないので、結構ラフな格好なのだ。


 帝都が見えた段階で人目に付かない場所に魔法でかまくらのようなものを作ってその中で着替える。


 俺の服は戦装の形をベースに貴族っぽく仕立てたものになっている。

 サイズ感等はピッタリで違和感は無いのだが、何だか重い。無駄に装飾品のような物が着いているせいだろう。


 普段感じることの無い服の重みにげんなりしながら着替えを終えた俺はセラフィの事を外で待つ。

 しばらくして着替えを終えたセラフィが出てきた。


「……」

「……? どうしたヨゾラ、呆けた顔なんぞしおって」


 俺は出てきたセラフィを見て固まってしまった。ここまでの衝撃を覚えたのは制服以来かもしれない。いや、それすら上回ってる気がする。


 純白のドレスにそれを邪魔しないように完璧に流された1本の黒のラインはセラフィの髪をそのまま服にしたようで幻想的だった。

 髪は普段通り何も弄らずにそのままだが、むしろそれがドレスにマッチしていてとても美しい。

 作り物のように整った顔に美しいドレス、更には顔から首にかけて刻まれた不思議な紋章のような痕も相まって、人間では無い異端の種族の王女というのがピッタリな見た目である。


「……? ヨゾラ?」

「あ、ああ悪い。少しボーッとしてた。よく似合ってる、本当に」

「そ、そうか……ありがとう。ヨゾラも似合っておるぞ」

「おう、ありがとう」


 何だか気恥ずかしくなっていると、セラフィも同様だったのか顔を逸らしながら褒めてくれた。


 変な空気が流れて互いに黙っていたが、いつまでもこのままでいる訳にもいかないので気恥ずかしさを振り払う。


「……戻ろうか」

「……うむ」


 俺達は互いの顔も見れないままビャクの元へと戻った。

 それなりに待たせてしまったと思うのだが、ビャクは俺とセラフィが降りた時とほぼ変わらずに正しい姿勢のまま待っていた。


「よくお似合いです魔王様、セラフィ様」

「ああ、ありがとうな。そうだビャク、俺の事は魔王じゃなくて名前で呼んでくれ。魔王って呼ばれるのはなんか慣れなくてな」

「分かりました。ではヨゾラ様と」


 出来るなら様も無くていいのだが、立場もあるし何よりもビャクは恐れ多いとか言いそうなので無理強いはしない。その辺はもう少し仲良くなってからさり気なく言ってみることにしよう。


 馬車に乗り込み帝都に向かっていく。

 時間が時間なので門の前まで来ると人通りも多く、御者であるビャクが獣人なので注目を集めているが、だからといって喧嘩を吹っ掛けてきたりする冒険者はいない。

 完全に不気味な物でも見かけたかのような、そんな感じになっていた。


 馬車の窓にはカーテンが付いており、少しだけ開けて外の様子を伺っているため、中にいる俺とセラフィのことはハッキリとは見られていないだろう。


 注目を集める中、俺達は帝都の中に入っていった。


 帝都内に何かが変わった様子は見受けられない。

 アノンが帰還したことが伏せられているのか、フロディスが今回の事を公表していないのかは分からないが、きっとまだ獣人との戦争が終わるなんて思ってもいないはずだ。

 噂程度を聞きつけて内心でそう感じている奴もいるかもしれないが、それが和平という形になるとは流石に予想もしていまい。

 まあ、まだ和平が絶対に結ばれると決まった訳でもないのだが……

 ここから更に変な方向にいかないことを願う。


 馬車に乗ったまま帝都の中を進んでいき、俺達は王城に辿り着いた。

 なにやらビャクが兵士とやり取りしている。詳しい話は聞こえてこないが、相当丁寧に対応されているということは分かった。

 それもそのはず、俺達は王族なのだ。しかもそれが敵対している相手ともなれば丁寧にもなる。万が一怒らせでもしたら何があるか分からないのだ。

 まあそんなのは杞憂だと分かっているのは当の本人である俺とセラフィだけだろう。俺にも許せる限度というものはあるが、多少粗相をされた程度で怒る訳もない。つい最近までは一般人だったのだ。いくら王族になったとはいえ、そこまで増長したりはしない。

 だがよく考えてみれば、俺とセラフィが怒らずともビャクが怒る可能性があるので、兵士の対応は正解だったと言える。


 少ししてから馬車はゆっくりと動き出して、車庫に止まる。


「ヨゾラ様、セラフィ様、どうぞお降りください。他国の者達も既に揃っているようなのでこのまま会場に向かいます」

「分かった。お前も来るんだよな?」

「はい、お供させていただきます」

「頼りにしてるぞ」

「お任せを」


 できる執事ビャクは頼もしい返事をしてくれた。

 俺とセラフィが馬車から降りるとビャクは従者らしく俺とセラフィの後ろに立つ。どうやら会場までは兵士達が先導するみたいで、数名が俺達の前に立ち歩き出した。


 俺はなるべく堂々として見えるように胸を張って歩く。隣のセラフィは自然体だが、こいつはいつでも堂々としているのでそれでいいだろう。

 歩きながら王城内の空気がひり付いているのを感じた。元々うるさい場所ではないが、今は一段と静かであり、余計なことを喋れないような雰囲気になっている。

 先導する兵士達にも緊張の色が見えた。


 やがて着いたのは前に来た部屋ではなく、扉からしてえらく豪華な場所だった。

 兵士達は2人を残して脇に逸れ残った2人はゆっくりと扉を開ける。

 中には円卓上のテーブルに3人が座っており、それぞれの後方に従者が立っている。

 その中の1人であるフロディスは、俺とセラフィの姿を見ると、真剣な表情で口を開いた。


「全ての国の王が揃った。これより、4か国会談を始める」





自由な女神「そういえば帝国以外の王ってまだ出てきてなかったよね? 一体どんな人達なんだろう」

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