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この異世界は物足りない  作者: VRクロエ
異世界学校編
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閑話:ルーシェの料理

 城での食事は、そこまで長い時間は掛からずに解散となった。


 何だかんだで今回会った皇族の3人は、物語の中に出てくるような横暴な感じではなく、良い人達で良かった。

 呼び出された時はトラブルになることも覚悟していたが、そうならなくて安心だ。


 城から出て行く時に他の重役にも会うかと思ったが、そんなことはなく、普通に寮まで戻ってきた。

 帰ってきた頃には夕方になっていたので、今日は何もすることがなく解散となった。

 明日からは普通の学校生活に戻るので、冒険者ギルドで依頼を受けるのは、また週末になるだろう。

 忙しかった二日間の疲れを癒すように、俺は早めに寝ることにした。


 次の日、昼飯を食べようと思い食堂に行こうとした時にルーシェに声を掛けられた。


「ヨゾラ君とセラフィ! 今日は久しぶりに料理をしたんだけど、食べない?」

「料理? 急だな」


 話を聞くとルーシェは趣味の一つで料理をするらしい。

 俺とセラフィが編入してきてからは、色々とバタバタしており作れていなかったが、昨日は早めに休んで朝起きるのが早かったらしく、作る時間があったようだ。


「折角だし頂こうかな。セラフィは?」

「儂も頂こうかの」

「おっけー! それじゃあ持ってくるから待ってて!」


 そう言ってルーシェは寮にその料理を取りに行った。


 クラスメイト達が少しずつ食堂に向かっていく中を俺とセラフィは教室で待っているとセシルがやってきた。


「ヨゾラ、セラフィ、飯食いに行かないか?」

「悪いセシル、今日はルーシェに飯を振る舞ってもらうんだ」

「……え?」


 そのことを伝えると、セシルは表情を引きつらせて一歩後ずさった。


「ルーシェの料理を、食べるのか?」

「? ああ」

「そうか……その、頑張れよ」

「頑張る?」


 セシルの様子に首を傾げていると、ルーシェが戻ってきた。

 手には数個の容器がある。


「あれ、セシル君もいるじゃん。一緒にどう?」

「いや、いい。俺は遠慮しておく」

「そっかー、残念」


 セシルの様子を見て俺は嫌な想像が頭を過る。

 料理が趣味とは言っていたが、もしかするとルーシェの料理はかなり酷いレベルなんじゃないか? そうじゃなきゃセシルも素直に一緒に食べているはずだ。

 よく見ると、教室内にいるクラスメイト達も、俺達のことを恐ろしい物を見るような目で見ている。


「な、なあルーシェ? 料理は失敗とか、してないよな?」

「ん? 結構しっかり出来たと思ってるけど」

「そうか……」


 段々と怖くなってきたが、食べてみないことには分からない。食べる前から不味いと決めつけては、ルーシェに失礼だ。


 俺とセラフィは席に座り、ルーシェから容器を受け取って蓋を開ける。


「あれ? 普通に滅茶苦茶美味しそうだけど」

「でしょ! 私、料理には自信があるからね!」


 中から出てきた料理はどれもこれも美味しそうだった。おかしなところなど少しもなく、色のバランスも良い。


 これで不味いとか在り得るのか? 絶対に美味しいだろ。


「それじゃあ、いただきます」


 料理を見ても周囲の様子は変わらないが、俺は美味しいと確信して料理を口に運ぶ。

 そのお味は――


「……美味い」

「……美味しいの」

「やったね!」


 見た目通り、凄く美味しかった。

 その後も別の料理を食べるが、期待を裏切らず美味しい。店すら開けそうな程だ。


 手が止まらずに食べていると、恐る恐るといった感じでセシルが近寄ってきた。


「本当に美味しいのか?」

「美味いぞ、セシルも食ってみろよ」

「じゃ、じゃあ一口貰おうかな」


 カタカタと震える手で料理を口に運んでいくセシルだったが、口の中に入った瞬間目を見開いた。


「美味い! 美味いぞ!」


 突然涙を流しながらセシルは他の料理も食べだした。

 その様子を見て、遠目で見ていたクラスメイト達も寄ってきて、皆がルーシェの料理を口に運んでは涙を流すという、カオスな状況になっている。


「ヨゾラ、ありがとう!」

「いや、お礼ならルーシェに言えよ」

「ルーシェ、成長したなぁ。俺は嬉しいよ、ありがとう」

「えっと……どういたしまして?」


 会話を聞いている感じ、やはりルーシェの料理はかなりのものだったようだ。

 俺とセラフィは今回が初めてだったので、この見た目の料理がどう不味いのか想像出来ないが、今までの付き合いが長かったセシルや、クラスメイト達は良く知っていたのだろう。

 だからこそ、美味しい料理が出てきて感動しているのだ。


 その後、他のクラスにも友達が多いルーシェの料理は広く知られていたようで、人がどんどん集まってきて軽い騒ぎになった。

 本来、俺とセラフィが食べる予定だった料理は生徒達に食べ尽くされてしまったので、結局食堂に行く羽目になった。

 ルーシェ本人は俺とセラフィに謝りつつも、それを喜んでいるようだったので、まあいいかということになり、ルーシェも一緒に食堂で食事をして午後の授業に移った。


 それから数日、ルーシェが張り切って料理をしてくれたので、食事代が浮いたのでありがたかった。



自由な女神「まさかのお決まり破り!? そんな馬鹿な……」

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